結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2017年12月14日(木曜日)

「大きな町には小さな店を」と名古屋・丸榮百貨店の閉店

日は短くなって、木の影は長い。
IMG_3836.JPG7

商人舎裏の遊歩道。
IMG_3840.JPG7

月刊商人舎12月号の巻頭メッセージ。
Invitation or winter's card Merry Christmas and Happy New Year. Template flat design vector illustration. City life and urban landscape under the snow. Train rides around the mountains. Winter market
[Message of December]
大きな町には小さな店を。

大きな町には小さな店を、
小さな町には大きな店を。
フランスの学者ルネ・ユーリックの原理。

大きな町にはセブン-イレブン。
小さな町にはウォルマート。
イオンの岡田卓也は言い換えた。

アメリカも日本も中国も、
世界中が都市集中化現象をきたす。
人々が都心を目掛けて集まり、生きる。

必然的にそこには、
小型小売店舗が開発され、
Small Store Ageがやってくる。

日本におけるその主役は、
長らくコンビニエンスストアだった。
圧倒的なコンビニ型消費が生まれた。

しかし、このところ、
コンビニの成長にブレーキがかかる。
業態飽和なのか、eコマースの影響か。

ユーリックは、こうも言う。
「まず25%の顧客を獲得せよ。
つぎに40%の顧客をつかめ」

25%の顧客によって信頼が生まれ、
40%の支持によって経営は安定する。
小売店舗競争は本来、寡占を競うものだ。

1967年は「大きいことはいいことだ」。
それが2017年の現在はThink Small。
小さく考え、小さく実行せよ。

世界最大のウォルマートは、
創業者の「Think Small」から始まった。
サム・ウォルトンは小さな競争を重視した。

それが小売業の本質だからである。
ゆえに大きな町には小さな店を。
小さな町には大きな店を。〈結城義晴〉
futuristic city

ユーリックには、
フランスのカルフールが影響を受けた。
1963年ごろから、
この考え方に則って、
巨大なハイパーマーケットを、
パリの郊外の小さな町に、
次々につくっていった。

1988年、それをアメリカで真似たのが、
ウォルマートスーパーセンター。

やはり小さな町に大きな店をつくった。

ウォルマートのサム・ウォルトンは、
「Think Small!」を訴え続けた。

「小さく考えよ」
201609010_sam-walton

巨大な店舗をつくって、
それを最強のフォーマットにする。
しかし考え方は「Think Small!」

1981年3月、岩手県北上市の近隣に、
江釣子ショッピングセンターが開設。
人口8000人の村だった。

核店舗は当時のジャスコ。

まさに小さな村には大きな店をだった。

しかし一方、大きな町には、
セブン-イレブンを初めとするコンビニが、
これまたスピードを上げて、
次々にオープンしていった。

ルネ・ユーリックに注目したのは、
故川崎進一先生だ。

東洋大学名誉教授で、
商業界のRMS初代校長。

「生きよ、学べ」(商業界刊)は、
川崎先生が亡くなられたときに、
遺稿集として編纂した。
51M0VN1679L._SX328_BO1,204,203,200_

さて、また老舗百貨店が閉鎖する。
名古屋の株式会社丸榮。
濱島吉充社長。
07

日経新聞がスクープし、
朝日、毎日などが追随した。

しかし丸榮からのニュースリリースは、
「弊社に関する
今回報道されている内容については、
弊社が発表したものではありません。
現時点で機関決定されている事項は
ございません」

それでも事実だろう。

1615年、十一屋呉服店として創業し、
402年の歴史を誇る。
001
1943年、株式会社丸榮設立。
1949年、名古屋と大阪で株式上場。
1961年、東京証券取引所に上場。
1973年、別館のマルエイスカイルが完成、
百貨店面積は4万9574㎡となって、
最大規模の松坂屋5万0521㎡に次ぐ、
2番手百貨店となった。
049

以降、名古屋では「4M」と言われる。
松坂屋、名古屋三越、名鉄百貨店と丸榮。

しかし、バブル崩壊とともに業績は悪化。
今年2月期決算では8億円の純損失を計上、
7月に上場廃止し、
親会社の(株)興和の子会社となっていた。

さらに来年6月に閉店し、
名古屋市の3万3003㎡の店舗は解体され、
2020年に新しい施設として蘇る。

しかしもう、百貨店としては、
再生されない。

この名古屋市の真ん中の丸榮は、
大きな町の大きな店だった。

〈結城義晴〉

 


<事務局からのお知らせ>
月刊『商人舎』12月号、単品販売いたします。

ご購入希望の方は申込用紙をダウンロードし、
必要事項をご記入の上、FAXをお送りください。
1冊1500円(税別)、送料実費負担(レターパック使用)です。

申込用紙はこちらからダウンロードください

または、magazine@shoninsha.co.jp宛てに
お名前、送付先、ご連絡先、購入部数をご入力の上、
メールにてお申込みください。

この機会にぜひ、ご購読のほどよろしくお願いいたします。


 

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.