冬至。
英語では“the winter solstice”。
“solstice”の意味は「至点(してん)」。
まさに「冬の至点」が冬至。
そして「至点」とは、
太陽の周りを回っている地球が、
太陽から一番離れているときの位置。
北と南の2点の至点がある。
だから冬になると、
北半球は、
1年で一番、太陽から離れ、
最も昼が短くなり、
最も夜が長くなる。
冬至には柚子湯。
柚子の香りがたまらない。
そして樹氷。
蔵王のアイスモンスターは、
温暖化で小型化し、減少する。
共同通信が配信し、
新聞各紙が取り上げた。
〈蔵王アストリアホテルホームページより〉
「冬の風物詩、巨大な樹氷が、
今世紀末で見納めになるかも――」
これは日経新聞の表現。
とはいっても、今世紀末まで、
まだ83年もあるけれど。
発信者は山形大学の柳沢文孝教授。
樹氷はアオモリトドマツに氷や雪が
付着して巨大な塊に成長したもの。
日本海側から50~60キロ、
離れた山あいで成長する。
樹氷は1910年代に初めて確認された。
1920年代は北海道から富山、
さらに岐阜まで、広い範囲で確認できた。
現在は蔵王山や青森の八甲田山、
岩手・秋田の八幡平など、
東北地方が中心だ。
しかし今世紀末にかけて、
今のような巨大な樹氷は、
見られなくなる恐れが高い。
柳沢教授の言葉が印象的だ。
「樹氷は観光資源になっているが、
地球環境を反映するセンサーだ」
ドナルド・トランプにも、
蔵王の樹氷を見せたいものだ。
今日は1日、横浜商人舎オフィス。
裏の遊歩道には落ち葉がいっぱい。
もう年の瀬だ。
わが笠原第11ビル。
見事な蘭が贈られてきた。
マルトグループの安島浩さんから。
毎年毎年、ありがたい。
忙しすぎる私だが、
いつも心が癒されるし、
蘭は人の心をやる気にさせてくれる。
商人舎流通SuperNews。
11月百貨店統計|
冬物衣料・高額品好調で既存店2.2%増/大手企業好調
11月総合スーパー統計|
衣料堅調も食品・住関連マイナス響き既存店0.6%減
11月スーパーマーケット統計|
既存店横ばい/ボジョレー・ヌーボーは大苦戦
既存店前年比は、
百貨店が2.2%増、
総合スーパー0.6%減、
食品スーパーマーケット0%。
三者三様。
時代は変わる。
さて今日は「内と外」の話。
毎日新聞巻頭コラム「余録」。
中根千枝さんの著書
「タテ社会の人間関係」。
東大の教授会と漁村の寄り合い。
どちらも「上下の序列を重視し、
ウチとソトを差別する日本社会の特質」
これを「国技」大相撲をめぐる、
ウチとソトのあつれきに結び付けた。
「交錯するウチとソト、
変わらぬ序列意識と個の不安、
日本社会の現在を映す相撲界の大乱だ」
朝日新聞「折々のことば」第969回。
内と外との区別は、
自と他との区別が
入りこんでくるところでのみ
可能になる
(ガブリエル・マルセル『存在と所有』から)
「白い球面に○を書く。
円周のいずれの側を
内とし外とするかは、
それだけでは決定不能である。
円周のいずれの側に
自分を置くかによって
内/外は決まる」
オセロゲームも囲碁も、
内だと思っていたら、
ひっくり返されたり、
からめとられたり。
「排外主義は自分のいる、
この『内』からのみ発する視線であって、
こちらの『内』と向こうの『内』とが
共存できるのは、互いの『内』を
よく想像できる時だけだ」
良いマネジメントは、
互いの「内」をよく想像することで、
実現される。
良い組織は、
たとえば店舗と本部商品部とが、
自分の「内」と向こうの「内」を、
共存させている。
冬至も夏至も、
昼と夜とが、
それぞれの至点において、
互いの「内」を、
良く想像していたに違いない。
しかしそれが崩れかけているから、
樹氷も今世紀末に。
姿を消すのかもしれない。
〈結城義晴〉