結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2017年12月26日(火曜日)

とくし丸「グッドライフアワード」受賞と塩野七生「経験と想像力」

2018年までのカウントダウン。
26! 27・28・29!!
30! 31!!

あと6日。

それにしても、
年末気分が盛り上がらない。
不思議。

総務省と厚生労働省の発表。
日経新聞の記事。
「失業率11月2.7%、
24年ぶり低さ」

11月の完全失業率は、
季節調整値で2.7%。

10月から0.1ポイントのダウン。
5カ月ぶりに改善し、
24年ぶりの低さ。
こちらは総務省。

11月の「有効求人倍率」も1.56倍。
こちらは厚労省。

全国のハローワークで仕事を探す人、
1人に何件の求人があるかを示す数値。

約44年ぶりの水準に上がった。
前月比で0.01ポイント増、
高度経済成長期の74年1月以来、
43年10カ月ぶりの高水準。

完全失業者は178万人で、
1年前から19万人減少。
1994年12月以来の少なさ。

「完全失業率」には、
「ミスマッチ失業率」が3%程度含まれる。
求人があっても条件で折り合わずに、
起きてしまう失業。

だから3%割れは、
「完全雇用」状態に近い。

企業の求人に対して、
実際に職に就いた人の割合を示すのが、
充足率。

それは11月に14.2%。
比較できる2002年以降で最低を更新。

11月の正社員の有効求人倍率は、
1.05倍で過去最高。

賃金水準が高い正社員が増えて、
家計の心理が改善し、
消費も持ち直している。

総務省の11月の家計調査。
2人以上世帯の消費支出は27万7361円。
物価変動の影響を除いた「実質」で、
前年同月比1.7%アップ。
3カ月ぶりの増加。

消費は少しずつ回復している。

いい感じで年末際の商戦へ。

カウントダウンの26! 27! 28!
そこまでいけば、
クリスマス商戦と同じ、
短期決戦。

忙しいけれど、
体を動かして仕事する。
まっしぐらに。

それはそれで壮快だ。

この一瞬の積み重ねが、
君という商人の全生涯。
〈倉本長治〉

さて、住友達也さんからメールが来た。
(株)とくし丸代表取締役、
兼オイシックスドット大地(株)代表取締役。
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報告の第1は、とくし丸が、
環境省「第5回グッドライフアワード」で、
環境大臣優秀賞を受賞。

おめでとう。

高齢者の「食環境・生活環境」を、
とくし丸がサポートして、
その活動が認められた。

第2に、そのとくし丸は、
日本全国に展開して、
残すは5県となった。

しかし来年2月に、
熊本県での開業を準備中。

残りのとくし丸空白県は、
宮城、新潟、宮崎、沖縄の4県のみ。

住友さんは宣言する。
「2018年には、必ず全国47都道府県で、
とくし丸が走れるようにしたいと思います」

連絡は⇒http://www.tokushimaru.jp/zenkoku/

現在、とくし丸は全国で、
約270台が稼働中。
顧客の数は、約4万人。
しかもその顧客の平均年齢は、
ほぼ80歳前後。

第3に、このネットワークを活用して、
「おばあちゃんのレシピ大賞」を実施する。

ますます盛んで、
これも年末に向けて、
明るいニュースだ。

思えば2年半前、
月刊商人舎2015年4月号で特集した。
ネットスーパー! 移動スーパー!!
ポスト・モダンのノンストアリテイリングはどっちだ?!
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とくし丸も全国区となって、
うれしい限りだ。

前近代の個人事業主が、
近代化のスーパーマーケットと、
マッチングしてとくし丸を展開する。
それ自体が「商業の現代化」だ。

その2015年4月号の巻頭Message。
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世間良し、天も良し。

買い手良し、
売り手良し、
世間良し。

近江商人の商売哲学にして、
世界商業の現代化原理。
「三方良し」。

リアル店舗のスーパーマーケットも、
ネットスーパーのイトーヨーカ堂も、
移動スーパーの「とくし丸」も。

あなた良し、
わたし良し、
天も良し。

こうでなくてはいけない。
商売の神様も仏様も、
解脱の手助けはしてくれない。

それが小売業の近代化の次に、
商業の現代化を果たすときにも、
貫徹すべき大原則である。

規模のメリットを追求し、
生産性の向上を追いかけ、
結果、行き詰まってしまった近代小売業。

ここまでは工業化すべきであり、
ここから先は工業化してはならない。
二つの性格を持った産業。

それが私たちの小売業、
私たちのチェーンストア、
私たちの消費産業。

リアル店舗小売業も、
ノンストアリテイリングも、
ネットスーパー、移動スーパーも。

買い手良し、
売り手良し、
世間良し。

あなた良し、
わたし良し、
天も良し。
〈結城義晴〉

さてさて、日経新聞オピニオン「時論」。
「失望が生むポピュリズム」
塩野七生さんが帰国して、
インタビューに応じた。

「ギリシア人の物語」全3巻を書き上げた。
私、大大大ファン。
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「歴史を見てみると、
魚は頭から腐る。
頭は一番重要で、それが政治」

企業経営と全く同じ。

「民衆は相当、最後に至るまで、
健全なんですよ。
しかし政治が最初に腐ると、
民衆がいかに一生懸命にやっていても
国力がどんどん下がってくる。
だから政治が機能してくれなきゃ、
困るんです」

トップマネジメントが最初に腐ると、
社員がいかに一生懸命にやっていても、
企業力がどんどん下がってくる。

「私は民主政自体はやっぱり
最良の制度だと思ってます。
民主政下で初めて、
自由が花開くからです」

「自由とは基本的には思考の自由で、
イノベーションにつながるわけですね。
今までにない新しい考え、戦略、戦術が
生まれる可能性がずっと高い」

会社組織もその意味で民主政で、
思考の自由がなければならない。

それがイノベーションにつながる。

アレクサンドロス大王は、
ペルシャを支配下においたものの、
死後、覇権は長続きしなかった。

「王政の欠陥は、
後継者がふさわしいかどうか
分からないということなんです」

「総司令官の戦略、戦術の成功は
しょせんは兵士たちの働きにかかる。
総司令官が一介の兵士たちのことを
一番分かるのは経験したからではない。
彼らには想像力がある」

「経験しないと分からない人は、
想像力がない」

「よく下積みをやらなければ
下積みの気持ちは分からないと言う。
それはトップクラスには当てはまらない」

トップクラスというのは、
超一流の人物のこと。

鈴木敏文前セブン&アイ会長。
自分では実務を経験しなかった。
店も見ようとはしなかった。

しかし、鈴木さんには、
トップクラスの想像力があった。

「戦後復興に携わった下河辺淳さんが
国土事務次官を辞める時、
松下電器産業の松下幸之助さんに、
『ぜひウチに来てくれ』と言われた」

さすが下河辺淳さん、
さすが松下幸之助さん。

「でもその時に『工場からやってくれ』と
条件を出されたから
やめた方がいいと考えた」

「松下幸之助さんは経営者として、
相当にバランスの取れた男です。
しかし彼にも下積みをやらないと
下積みのことは分からない
という考えがあったのではないか」

「下河辺さんに言わせれば
『それくらいの想像力がなくて
国土計画なんてやっちゃいられない』と」

商人は想像力がなければいけない。
もちろん政治家にも学者にも、
ジャーナリストにも、
コンサルタントにも、
超一流であるためには、
そんな想像力が必須だ。

経験は何にも勝る貴重なものだ。
しかし経験しないと分からない人は、
想像力がない。

〈結城義晴〉

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