1995年の1月17日。
23年前の今日、
阪神淡路大震災が起こった。
6434人が亡くなった。
私は㈱商業界の社員で、
食品商業編集長だった。
震災直後の雑誌に、
巻頭言を書いた。
それを自著『Message』にも掲載した。
「阪神大震災」
阪神大震災、
お見舞い申し上げたい。
亡くなられた方々の
ご冥福を祈りたい。
尊い命を、家族を、同朋を、
奪い取られた悲しみはつきない。
家を、店を、
財産を失った絶望は深い。
しかし、人びとは、
たくましかったし、
モラルは高かった。
被災地の商業は任務を果たし続けた。
スーパーマーケットは、
生存のための配給基地となった。
コンビニは、
余震の続く闇のなかの灯台に変わった。
フードサービスは、
温かい食べ物の炊き出し係に徹した。
メーカーや問屋は、
補給部隊の役を担った。
小さな店も、大きな企業も、
皆が、このときこそと、
日ごろの仕事の腕を発揮した。
いつもよりも素早く、力強く、黙々と。
そのそばで、
瓦礫のなかに
埋まったままの人たちも、
また、いた。
雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ、
商業は働き続けねばならない。
店は客のために、是が非にも、
開けておかねばならない。
有事のときにこそ、頭を柔らかくし、
冷静に、活躍せねばならない。
人びとが立ち上がる礎に
ならねばならない。
商業人は、
どんなときにも、
明日を、
見つめていなければならない。
私たちは、震災に勇敢に
立ち向かった仲間を心から尊敬しよう。
商業という仕事を貫いた同志たちを
誇りにしよう。
こんなときだからこそ、深く深く、
私たちの役割の大切さを自覚しよう。
そして、この阪神大震災を
永く記憶にとどめておこう。
崩れ果てた廃墟のなかで、
人びとに喜んでもらった
この感動を、
これからの支えにしよう。
未来のために。
客のために。
店のために。
蘇える街のために。
私たち自身のために――。
〈結城義晴〉
朝日新聞「折々のことば」
第993回。
死と隣合せに
生活している人には、
生死の問題よりも、
一輪の花の微笑が
身に沁みる。
(太宰治『パンドラの匣』から)
「いつすべてが止むかと
心細い思いでいる人には、
赤子の寝息だって、
犬の遠吠えだって、
蟻の行列だって、
真夜中の竹林のそよぎだって
いいのだ」
太宰の表現力。
「何かいのちの弾みのようなものが
伝わってくれば。
いのちが明滅する気配に
ふれていられれば」
いのちの弾み。
いのちが明滅する気配。
太宰はそれを文章で提供しようとした。
しかしそれは店でも売場でも、
商品でもよろしい。
「寄せては去る、
その微かなくり返しが心を慰める。
灰色の論は要らない」
阪神淡路のあと、
2004年10月23日に、
新潟県中越地震が起こり、
さらに2011年3月11日に東日本大震災。
そして昨年4月16日に熊本地震。
一輪の花の微笑。
いのちの弾み、
いのちが明滅する気配。
私たちはそれを提供し続けたい。
今日は午後から、
新横浜国際ホテル。
新春全国セルコグループトップ懇親会。
セルコチェーンの理事長は、
佐伯行彦さん。
(株)さえきセルバホールディングス社長。
しかし現在、療養中で、
長男の佐伯啓太さんが、
メッセージを代読した。
そのあと、副理事長の井原實さんが挨拶。
(株)与野フードセンター社長。
さらに来賓の挨拶は、
林陽哲さん。
経済産業省流通政策課長。
林さんはアマゾンとアリババに、
直接、取材をした。
そして商品からの利益はなくても、
収益性を担保していることを確認した。
内容は昨日のこのブログと類似していた。
このあとの来賓祝辞は、
大手食品卸売業のトップのみなさん。
業界でも有名なメッセージ合戦。
まず國分勘兵衛さん。
国分グループ本社(株)会長兼CEO。
AIやIoTなどデジタル革命の趨勢を語って、
食品産業の未来を予見した。
そして三菱食品(株)社長の森山透さん。
上杉鷹山の「見切り千両」を語った。
働き 一両、考え 五両、
知恵借り 十両、コツ借り 五十両、
ひらめき 百両、人知り 三百両、
歴史に学ぶ 五百両。
そして見切り 千両。
さらに無欲 万両。
見事に言い切った。
三番目は佐々木淳一さん。
(株)日本アクセス社長。
製配販で取り組む「値上げ」について。
言いにくい話をズバリ、ソフトに。
四番目は三井食品(株)社長、
萩原伸一さん。
株高とバブルの話は面白かった。
最後に五番目は、
伊藤忠食品(株)社長・高垣晴雄さん。
セルコチェーンは地場産業として、
大いに頑張ってほしいと、応援。
来賓祝辞が終わると、
協同組合セルコチェーン役員登場。
全員が一人ひとり紹介された。
乾杯の音頭は、副理事長の川崎博道さん。
(株)サンシャインチェーン本部会長。
そして懇親。
まずはいまだセルコチェーンの牽引車。
相談役の平富郎さん。
もちろん(株)エコス会長。
平さんは数えの傘寿、満79歳。
富士登山をご一緒したのが71歳のとき。
結城「もう登れません」、
平「まだまだ登れますよ」
ああ。
そして川崎さん。
さらにボランタリーチェーン協会から、
全日食チェーン社長の平野実さん。
そして國分勘兵衛さん。
お正月にはいつもお会いします。
日本アクセスの佐々木さん。
今年も活躍してもらいます。
今回はどんどん進行して、
中締めは副理事長の桑原孝正さん。
(株)さえきセルバホールディングス副社長、
(株)セルバ社長で、
佐伯さんの相棒。
一番最後に、二人の副理事長。
井原さんと桑原さん。
これからの数年。
日本のボランタリーチェーンは、
激動の中にあるに違いない。
もしかしたら、
ホールディングカンパニーのもと、
緩やかな統合の時代が、
やってくるかもしれない。
その時にも必要なのは、
一輪の花の微笑。
いのちの弾み、
いのちが明滅する気配。
人間の命にかかわる仕事が、
食品産業である。
〈結城義晴〉