結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2018年03月23日(金曜日)

商人舎流通SuperNewsの業態別動向と山崎正和の「公正と公平」

第90回選抜高校野球。
「春のセンバツ」が始まった。

まさに「球春」

毎日新聞「余録」が取り上げた。
「2018年、めでたく野球の春は
コウジエンにもコウシエンにもやって来た」

岩波書店の「広辞苑第7版」は、
今年1月12日発刊。
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この7版でやっと、
「球春」という言葉が辞書に並んだ。
「野球のシーズンが始まる、春先の頃」

被災間もない阪神大震災、
東日本大震災後の大会も、
そんな球春の危機であった。

「白球、そして36チームの
ひたむきなプレーが運んでくる
90度目の春である」

今日の初日は、
もう福島の聖光学院高校が勝利した。

順調に日程を消化すれば、
4月4日の水曜日が決勝戦。

高校生の球春は短い。
桜散るの言葉のままだ。

さて、商人舎流通スーパーニュース。
毎月20日を過ぎると、
業態ごとにそれぞれの協会から、
前月の統計結果が発表される。

【統計】のボタンを押すと、
ズラリと統計数値が並ぶ。
その2月編。

2月百貨店統計|
既存店▲0.9%で3カ月連続減少/インバウンド39%増

インバウンド消費は絶好調。
前年比38.7%の伸びを示した。

月刊商人舎2017年12月号。
免税商売に覆われていく日本
2020年!! 1億6000万人のMarketing
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さらに札幌5.2%、大阪5.2%、福岡5.0%。
この3都市の5%超えの成長。
東京0.6%、横浜0.5%。

これらも訪日外国人の影響だ。

ほかの都市や府県では、
百貨店業態は必要ないがごとき数字。

インバウンドがなければ、
百貨店業態の今は考えられない。

2月総合スーパー統計|
売上高1.3%増/低温で衣・住不調/食は農産中心に好調

これは日本チェーンストア協会のデータ。
しかしチェーンストア統計と呼ぶには、
ちょっと抵抗がある。

コンビニもドラッグストアも、
ファストフードも、
チェーンストアだからだ。

この協会はもともと、
総合スーパーが牽引していた。

しかし現在は、
大手食品スーパーマーケットが中核。

それに総合スーパーも、
食品の構成比が5割を超えている。

協会には、やはり総合スーパー業態を、
一部でも運営する企業が17社と多い。

ニトリホールディングスも大創産業も、
丸井グループもDCMホールディングスも、
この協会に入っている。

その意味では総合性を持つ。
だから商人舎ではこの統計を、
大雑把ではあるものの、
総合スーパーの動向を示す指標とする。

2月は前年比1.3%増だった。

食品がプラス2.2%、
衣料品がマイナス0.5%、
住関連品がマイナス1.2%。

ユニクロのファーストリテイリングが、
万が一にもこの協会に加盟すれば、
衣料品はもっと良い数字を出すだろう。

2月スーパーマーケット統計|
青果4.4%増と好調で既存店売上高3カ月連続増

3つの協会が協力し合って調査する統計。
食品の消費トレンドは底堅い。
既存店前年比は0.7%増。

青果がプラス4.4%、
畜産がプラス1.9%、
惣菜がプラス1.2%、
日配品がプラス0.9%、
一般食品がプラス0.3%。

水産だけがマイナス1.9%だった。

2月日生協統計|
総供給高3.1%増/宅配は35カ月連続で前年超過

生協は2つの業態を持つ。
店舗生協のスーパーマーケットと、
宅配ビジネスだ。

2月も店舗販売は0.5%増、
宅配は1.4%増、
また宅配の43.7%を占める個配は、
2.5%増で一番堅調だった。

2月コンビニ統計|
低温降雪で客数減だがホット商品好調で既存店0.3%増

問題はこのコンビニ統計だ。
何しろ2月からは、
7チェーンの統計になってしまった。

スリーエフがローソンに変わったからだ。

かつてのサークルKサンクスは、
ファミリーマートになってしまったし、
統合の加速は留まることを知らない。

セブン-イレブン、
ファミリーマート、
ローソン。
御三家。

その後にイオンのミニストップ、
北海道のセコマ、
山崎製パンのデイリーヤマザキ。

悪いけれど、ヤマザキは、
他のチェーンと比べると一段と落ちる。

北海道のセコマは店名セイコーマート。
この企業は北海の地に土着して、
きっとサバイバルするだろう。

イオンのミニストップも、
同社の小型店「まいばすけっと」などと、
連携を図って残るのだろう。

だとすると、日本のコンビニは、
どんどん飽和に向かって、
やがて5チェーンくらいに淘汰される。

2月の傾向は、
新店を加えて全店で2.4%増、
既存店は前年比プラス0.2%。

店数は5万5395店で1.5%増。

業態別に見ると、
圧倒的にドラッグストアが伸びている。

そのドラッグストアも、
食品の構成比上昇が成長を支える。

私は日本のドラッグストアも、
アメリカやヨーロッパのように、
経営統合が進むとみている。

そのM&Aが急激に進むのは、
全体の伸び率が鈍化し、
止まった時である。

欧米の先行例を承知して、
日本の業態別動向を見ていると、
「既に起こった未来」として、
日本の動静が浮き上がってくる。

最後に、「折々のことば」
第1058回。
公正であれば
公平でなくてよい
〈美学者・評論家 山崎正和〉
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ある賞の選考会の終了後、
山崎さんがふと口にした言葉。

公正であれば、
公平でなくてよい。

倉本長治の「商売十訓」
第八訓は、
公平で公正な社会的活動を行え

倉本長治は、「公平で公正」。
山崎正和は、「公正であれば、
公平でなくてよい」。

編著者の鷲田清一さん。
「フェアであることと
不偏であることとは同じでない」

「賞の選考にあたっては、私も、
平坦でない作業にこもる熱い思いに
心を動かされた作品は、
つい肩入れし強く推す」

「受けた衝撃が深ければ、
その仕事の意味もきっと重いはず。
選考会では、委員がそれぞれに
受けた衝撃の意味を、
フェアに聴きあい、探りあう」

これは商売における、
ロイヤルカスタマーへの対応と、
通常の顧客との応対に似ている。

ロイヤルカスタマーには欧米では、
ロイヤルティプログラムを用意する。

日本でも、ロイヤルティを、
強く持ってくれる顧客には、
店の側も「肩入れする」

それもよいのだ。
「公正であれば」
「フェアであれば」

これはすべての業態に共通することだ。

〈結城義晴〉

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