ちょっと驚いた。
昨日の国会証人喚問ではない。
松本晃さんの突然の辞任。
カルビー(株)会長兼CEO、70歳。
今日、帝国ホテルでの退任会見。
「ジョンソン&ジョンソンでも、
社長を9年務めた。
カルビーでも一区切りと判断した」
しかし、メディアはほとんど、
理解不能。
1970年、京都大学農学部卒業、
72年、同大学大学院農学部博士課程修了、
伊藤忠商事入社。
86年、センチュリーメディカル出向、
93年、ジョンソン&ジョンソンメディカル入社。
99年、ジョンソン&ジョンソン社長就任。
そして2009年6月、
カルビー会長兼CEOに就任。
今年2018年6月に退任。
相談役や顧問にも就任せず、
すっぱりとやめる。
会社のほうも、
次の体制は未定。
しかし、松尾雅彦相談役の逝去が、
松本さんの退任に影響したのではないか。
私は勝手に思っている。
間違いかもしれないが。
松尾雅彦さんは、
先月2月12日、永眠。
享年76だった。
カルビー創業者・松尾孝さんの三男で、
1941年、広島生まれ。
1965年に慶應義塾大学法学部卒業。
カルビー入社は1967年で、
1992年、代表取締役社長就任。
近代化されたカルビーは、
松尾雅彦さんによってつくられた。
しかし2005年、代表取締役会長に就いて、
創業家以外の専門経営者の時代を迎える。
このころ私は、
松尾さんから頼まれて、
同社社員総会で講演したことがある。
そのころも、いい社風だと感じた。
その社風をさらに強化するために、
2009年、松尾さんによって、
松本晃さんが呼ばれ、
会長兼CEOに就任。
松本さんは「悪しき文化をぶっこわす」と、
茹でカエルになりかけていた同社の、
体質転換に挑む。
「Change or Die!」
「変われ! さもなくば死ね!」
松本流に訳せば、
「変わる気があるのか?
それがないなら、
死んじまえ!」
就任9年で連結売上高は7割増、
営業利益率11.4%にまで引き上げた。
2011年には東証一部上場を果たした。
このブログでも松本さんを取り上げた。
例えば、日経新聞夕刊「あすへの話題」
テーマは「株主ラストの企業統治」
「とかく企業は
株主ファーストとなりがちで、
業績を優先するあまり
大企業ですらお粗末で恥ずかしい
不祥事を起こしてしまう」
「株主ファーストの考えをいったん捨てて、
株主ラストにすることが
本当は正しい企業統治だと思う」
いいねえ。
松本晃の経営。
とくに上場製造業にとって必須だと、
私はモデルにしている。
一方の小売業。
イオンは春に動く。
日経新聞がスクープ。
イオンリテールは2020年度を目途に、
商品分野ごとの専門企業を、
20社前後設立する。
企業ごとに権限は委譲され、
専門性の高い商品開発や売場づくりを、
企業ごとに展開する。
もちろん企業であるから、
採算管理も徹底して、
専門企業ごとの競争によって、
全体としても収益改善する。
月刊商人舎1月号で特集した。
「イオン岡田元也の真意」
現在は、21の商品部を持つ。
キッズ、ホームファッション、
衣料のレディス、メンズなどなど。
それを専門化した領域ごとに分社化する。
現在の日本のアパレル、
そしてホームファッションでは、
ランキングトップではない。
これらの領域で専門化を進める。
Independentな専門企業群の集合体で、
総合を形成する。
その結果として2020年に10兆円、
営業利益3400億円を目指す。
早ければ2019年2月期中、
つまり今期から分社化を始める。
イオンスタイルや総合スーパーには、
各店内に専門会社売場を設けるか否かも
それぞれの専門新会社ごとに判断する。
一方、店長はテナント構成を含めた、
店舗全体の売場構成を管理する。
ここに一つの課題が横たわる。
商品部ごとに会社にして、
マーチャンダイジングすることは、
イメージできる。
しかし売場づくりまでするとなると、
これまでの商品部とは異なる。
カルビー松本晃流に言えば、
「Change or Die」である。
成功例はある。
イオンリカーやイオンバイクである。
「変われ! さもなくば死ね!」
日経ビジネスオンライン「今日の名言」
我々は今、
前例のない世界に
生きています。
〈國部毅 三井住友フィナンシャルグループCEO〉
「課題を自分で発見して
解決策を作っていく、
という発想ができる人材が必要です。
採用の段階からそういう人物を評価して、
入社後も教育していくことが重要です」
カルビーもイオンリテールも、
前例のない世界に生きていく。
具体的な課題を、
自分で発見して、
自分で解決策をつくっていく。
今夜は夜桜が美しい。
花の命は短い。
月と桜。
前例のない世界であろうが、
正々堂々の仕事には、
「訴追される恐れ」はまったくない。
〈結城義晴〉