商人舎流通SuperNews。
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今日の海外news。
クローガーnews|
インスタカート宅配売価がホールフーズより高い!?
宅配ビジネス大隆盛。
クローガーはインスタカートで、
ホールフーズはアマゾン・プライム・ナウで。
その結果、現時点のシンシナティ市では、
ホールフーズのほうが安くなった。
前代未聞。
このニュースの見方、考え方は、
商人舎流通SuperNewsに書いてある。
日経新聞のフィナンシャルタイムズ特約。
日経が2015年11月に同社を傘下に収め、
ありがたいことに身近になって、
なおかつ読みやすくなった。
3月29日付の記事。
「世界のM&A、最速ペース」
世界の合併・買収は2018年、
史上最速のペースでスタートを切った。
トムソン・ロイターの調査。
18年1~3月のM&A総額は、
なんと1兆2000億ドルを超えた。
1ドル100円換算で120兆円。
前年同期の1.6倍強。
「ライバル企業との合併で、
破壊的な新規参入者に
対抗しようとする動きが
世界的に広がる」
その背景要因は2つ。
⑴資金の借り入れが容易な状況にあること
⑵株高
「この2つが重なると
大きなM&Aが魅力的になる」
さらに1つ。
⑶米国の税制改革
「税制改正の内容がはっきりするまで
見合わせていた案件が、
いまフルスピードで前進している」
一方、トランプ政権の保護主義政策が、
合併の波に立ちはだかるという見方も。
しかしそれよりも、
破壊的な新規参入者の脅威に、
対処しなければならないので、
活発な動きは続く。
「アマゾン・コムの支配の拡大が、
小売りから医療保険まで
様々な企業を型破りなM&Aに
突き動かしている」
例えば「ドラッグストアのCVSヘルスが、
医療保険会社エトナを690億ドルで買収」
これも流通SuperNewsで取り上げた。
CVSヘルスnews|
米国医療保険会社3番手のエトナを690億ドルで買収
フィナンシャルタイムズは言う。
「世界の中でアジアだけM&Aが低調だ。
中国企業が手を引いたことが
一因となっている」
M&Aが低調なほうがいいのか、
いや活発なほうがいいのか。
感情を抜きに考えると、
M&Aの大きな潮流を、
押しとどめることはできない。
かといって、例えば3社あるいは2社に、
産業が収斂してしまうわけでもない。
個性的なマーケットニッチャーは、
必ず残ることができる。
マーケットフォロワーがM&Aされる。
ホールフーズほどに、
ポジショニングが確立した企業まで、
アマゾンの傘下に入る時代なのである。
一方で、こんな動きもある。
今日の日経新聞。
「ビール4社 九州でも共同輸送」
日本のビールメーカーは寡占状態だ。
その4社が今春、九州で、
ビール系飲料などの共同輸送を始める。
昨2017年9月、すでに4社は北海道で、
鉄道を使った共同輸送を開始した。
トラック運転手の人手不足が深刻化。
だから協業の地域を拡大して、
一段のコスト削減を目指す。
今回もJR貨物の鉄道を使って、
ビール系や清涼飲料などを共同輸送。
「アサヒとキリンが福岡県、
サントリービールが熊本県、
サッポロビールが大分県に工場を持つ」
「各工場から貨物駅まで商品を運び、
長距離を鉄道で輸送することで
トラックの全体の運行本数を減らす」
北海道ではすでに効果が出ている。
「長距離トラックの運行本数を
年間880台減らす効果がある」
九州での連携は効果が小規模になるが、
人手不足に伴う物流コストの増加と、
環境負荷の軽減にもつながる。
経済メリットの上に大義名分が乗れば、
4社の協業は成り立つ。
ただし、少なくとも、
4社、いや3社の中に、
入らねばこれにも参画はできない。
M&A以上に、
アライアンスの時代。
英語で「alliance」は、
日本語では「同盟」。
「企業同士の提携」といった意味だが、
ビールメーカー4社のアライアンスは、
緩やかな協業といった意味で、
今後、どんどん起こってくる。
そんな中で中小企業は、
独自のニッチャーとしての顧客と技術と、
社会的信頼を獲得したうえで、
緩やかなアライアンスの中に入っていく。
その必要がある。
だから新しいボランタリーチェーンは、
これからの時代を担う仕組みだと思う。
昨日のインタビューで、
千野和利さんも強調した。
阪急オアシスを中核として、
ハローデイ、エブリイ、
そしてサンシャインチェーンは、
そんなアライアンスの関係を築いている。
そこにイズミヤが入り、
資本の面では関西スーパーも、
H2Oリテイリングが筆頭株主となった。
香港のシティスーパー、
台湾の全聯福利中心。
それ以外にも、
ユニー、フジ、東急ストアも、
緩やかなアライアンスの輪の中にある。
これは千野さんが主導してきた、
新しい同盟の世界だ。
アメリカのスーパーマーケットでも、
ウェグマンズとHEB、マイヤーが、
アライアンスを組んでいる。
インフラは共有し、
店頭は競争する。
これはかつての企業統合や、
企業グループ化とは、
異なる動きである。
しかしこの同盟に加盟する資格は、
それぞれに独自の強烈な個性である。
〈結城義晴〉