月刊商人舎4月号特集は、
2018生鮮3部門クライシス!!
奥田則明さんとの徹底討論は、
面白かった。
奥田さんは1970年代に、
ダイエーのウナギを開発した。
かつてウナギは、
鰻屋や料亭でしか食べられなかった。
高級料理だった。
その高級料理の鰻を、
大衆商品のウナギにした。
創業者の中内功さんのロマン、
それを奥田さんはウナギで実現させた。
千野和利さんのインタビューも、
実に意義のあるものだった。
日本の高質スーパーマーケットは、
クイーンズ伊勢丹の故田村弘一さんが、
業界に先駆けて開発した。
伊勢丹百貨店ご出身。
その高質スーパーマーケットを、
完成させ、進化させ、
EATALYに負けないフォーマットを、
千野さんがつくった。
阪急百貨店ご出身。
それが「Kitchen&Market」
すばらしい。
さて昨日、横浜商人舎オフィスを、
(株)USEIのお二人が訪ねてくれた。
社長の朝川康誠さん(右)と、
常務の嶋内仁さん。
朝川さんは立教大学院の結城ゼミ3期生。
つまり私の愛弟子。
パチンコホールの経営者で、
会社に破壊的革新を起こしている。
嶋内さんは商人舎特任研究員。
人事組織の専門家で、
慶應義塾大学大学院後期博士課程修了。
二人ともMonthly商人舎で、
連載を書き続けてくれている。
忙しい社長と常務でありながら、
毎月毎月、力の入った記事を書き続ける。
朝川さんの連載は、
「経済心理学の世界へようこそ」
58回を数える。
嶋内さんのタイトルは、
「ポストモダンのチェーンストア組織論」
こちらは61回となっている。
経営やチェーンストアについて、
2時間くらいも議論して、
私は自分で話しながら、
自分の理論を確認する。
こんなことが話し合える相手は、
そうそういない。
二人ともMBAを修了していて、
高い知識レベルを持った商人だ。
だから話が発展して、
私にも意義のある時間が過ごせる。
ありがたい。
さて今日も商人舎流通SuperNews。
充実の記事が17本。
[決算]記事も9本。
ファーストリテイリングnews|
上期売上高17%・営業利益31%増の過去最高
中間決算の記者会見に柳井正さん登場。
私は参加できなかったが日経新聞が報道。
「私は引退するつもりはないし、
創業者なので一生関わりたいが、
人間なので体力や精神力は衰える」
一生かかわりたいというのは、
僭越ながら私と同じ。
死ぬまで仕事する。
柳井さんが言う後継者の条件。
「全員から支持が受けられる人、
決断できる勇気を持っている人」
勇気ある決断。
いいねえ。
ウィンストン・チャーチルの言葉。
Courage is what it takes to stand up and speak;
courage is also what it takes to sit down and listen.
勇気とは、起立して声に出すことである。
勇気とはまた、着席して耳を傾けることでもある。
柳井さん。
「いつも午後3時30分には帰宅しているが、
それでも業績は好調だ。
現状の経営陣に何も心配していない」
この中間期で、
通期の2兆円の見込みを発表した。
さらに連結売上高3兆円の目標にも、
「あと数年で確実に達成できる」
「むしろ3兆円以降を
どうやっていくかが問題」
どうするかと言えば、
「商品と顧客サービスで
本当に差別化できる企業」を目指す。
ドナルド・トランプ大統領に言及。
「一国だけで存在することは不可能だ」
そして、言った。
「“何とかファースト”はありえない」
柳井さんに対して失礼かもしれないが、
座布団三枚!!!
ちなみにファースト・リテイリングは、
「Fast Retailing」。
トランプは、
「America First」。
同じファーストでも、
ファースト違い。
ローソンnews|
6573億円4%増/11%減益/チェーン売上高2兆円超
商品売上高、つまり加盟店含む売上高が、
2兆円を超えた。
イオンモールnews|
年商2881億円6.8%増・経常利益5.6%増/海外黒字化
イオンモール絶好調。
そしてイオンは、
プラットフォーマーへと傾斜する。
私はそう見ている。
U.S.M.H.news|
年商6922億円1.1%増で業界1位/マルエツ・カスミ好調
ユナイテッドは、
スーパーマーケット業界トップを堅持。
マックスバリュ関東がもっと頑張らねば。
イオン北海道news|
1866億円1.2%・経常利益4%の増収増益は過去最高
イオン九州news|
2320億円2.8%減・経常利益45.4%増/利益率が課題
イオン北海道とイオン九州は、
鮮明に明暗を分けている。
ベルクnews|
年商2114億円9.2%・経常利益99億円4.2%の増収増益
ああ、ベルクが2000億円を超えた。
100店を超えたこともうれしい。
亡き原島功さんも喜んでいるに違いない。
ハローズnews|
新店・改装で年商1214億円5.8%増・経常利益8.3%増
創業60周年で増収増益。
大したものだ。
MrMax news|
既存店改装重視で営業収益1183億円・経常利益30億円
ミスターマックス・ホールディングスに、
会社を変えて、再出発。
期待しているよ。
毎日新聞巻頭コラム「余録」
ときどき、いい。
アーセン・ベンゲルの言葉。
〈アーセナル公式ホームページより〉
英国サッカーのアーセナル監督。
日本ではかつて名古屋グランパス監督。
私は一度、ジャパン監督を、
引き受けてもらいたいと思っている。
「監督業をしていれば、
何の苦労もなく、
日々を過ごすのは不可能だ。
喜びに舞い上がることもあれば、
恐ろしく落ち込むこともある。
サッカーへの愛を失うことなく
失望に対処する方法を
身につけねばならない」
この「監督業」という言葉を、
「経営者」や「店長」に置き換える。
「何の苦労もなく、
日々を過ごすのは不可能だ。
喜びに舞い上がることもあれば、
恐ろしく落ち込むこともある。
会社や店への愛を失うことなく
失望に対処する方法を
身につけねばならない」
「代表監督は
マゾヒストでなければ務まらない」
これもベンゲルの言葉。
しかしこれは「経営者」や「店長」に、
お薦めはしにくいかもしれない。
ただし、私の経験からも、
トップはマゾヒストでなければ務まらない。
そのベンゲルの一言。
「結果は重要なのでない、
結果がすべてなのだ」
決算発表の時期にはとくに、
この言葉をかみしめねばならない。
〈結城義晴〉