東京、横浜は朝から雨。
それも篠突く雨。
「篠」は群生する竹や笹のこと。
だから「篠突く」は、
篠竹を束ねて突き下ろすように、
激しく降る大雨。
「菜種(なたね)梅雨」は、
菜の花が咲くころに降る長雨。
3月中旬から 4月上旬のもの。
だから今は、ちょっと違う。
「筍(たけのこ)梅雨」という言葉がある。
もともとは伊勢や伊豆の船乗りの言葉で、
筍がにょきにょきと出てくるころに、
船乗りが重視した吹く風のことだった。
それが転じて、筍が生えるころに、
降り続く長雨を言うようになった。
長雨ではないけれど、
今日の雨はその「筍梅雨」か。
そんなことを考えながら、
JR浜松町の駅から大門まで歩く。
日本の情緒を感じることができれば、
雨に濡れるのも悪くない。
(株)True Dataのオフィスに着くと、
びしょ濡れになった。
現在の社長は米倉裕之さん。
2000年10月に発足したときの旧社名は、
カスタマー・コミュニケーションズ(株)。
2017年7月に社名を変更。
同時に新たなスローガンを掲げる。
「見えない真実を、見に行こう」
事業の中核は5000万人規模のBig Data。
いわゆるID-POSデータの集積。
それが「True Data」。
このデータベースを駆使して、
製配販に向けて、
さまざまなマーケティング支援をする。
毎月恒例の取締役会は、
サクサクと終わった。
事業が順調に進んでいると、
取締役会も波乱なく終了する。
来月は株主総会。
頑張ろう。
さて商人舎流通SuperNews。
アマゾンnews|
18年度ウォルマートを抜いて衣料品販売トップに躍進
この記事の中で、
米国アパレルの売上げ順位とシェアが出てくる。
最新の2017年度の数字だ。
ベスト3は、
第1位 ウォルマート(8.6%)
第2位 アマゾン(7.9%)
第3位 ターゲット(4.8%)
ウォルマートは世界最大小売業。
スーパーセンターを主力に展開する。
日本ではディスカウント総合スーパー。
そのアパレル部門の合言葉は、
JUST。
JはJeans。
UはUnderwear。
SはSocks。
TはTShirt。
これが現時点でのアパレル首位の原動力。
第3位のターゲットも、
ウォルマートと同じ業態のライバル。
しかし総合ストアの両雄を、
今年度はアマゾンが抜いてしまう。
アマゾンは今年、前年比で1.5%増の予測。
すると9.4%のシェアになって、
今年度のウォルマートの上に行く。
歴史的な転換点ということになる。
もっとも、アマゾンは自分で仕入れて、
自分で売場をつくる小売業ではない。
サイトを運営して、
そこに商品供給する企業が、
売上げをつくることになるのだが。
アマゾンの伸びを支える最大の理由は、
ミレニアル世代のネット購買急増にある。
このジェネレーションは、
1980年~2000年に生まれた世代だ。
パソコンや携帯電話が当たり前の世代で、
eコマースで衣料品を買う。
日本でも同じようなトレンドが広がる。
その日本のアパレル販売ベスト3を、
イオンが試算している。
1位がファーストリテイリング、
2位がしまむら、
3位がイオン。
ここにやがてアマゾンが割り込んでくる。
アメリカのランキングを示しておこう。
第4位 コールズ(4.5%)
第5位 TJX(4.3%)
第6位 メイシーズ(4.1%)
第7位 ギャップ(4.0%)
第8位 コストコ(3.7%)
第9位 ノードストローム(2.9%)
第10位 ロス・ストアズ(2.7%)
百貨店は4位のコールズ、
6位のメイシーズ、
9位のノードストローム。
それよりもオフプライスストアが強い。
5位のTJXと10位のロス・ストアズ。
アパレル専門店チェーンのギャップは7位。
日本の専門店チェーンの位置取りとは、
ずいぶん異なる。
コストコも8位で、
有数のアパレル業者ということになる。
以下、20位までは、
商人舎流通SuperNewsをどうぞ。
リミテッドやシアーズ、ペニー、
ランクが下がっている。
これに対して、昨日の日経新聞。
柳井正さんが登場。
ファーストリテイリング会長兼社長。
「ネット販売比率2倍に」
柳井さんが日経新聞に語ったのは、
世界のユニクロのネット販売比率を、
今後2年程度で現在の2倍以上にすること。
つまり20%まで高める方針だ。
現在、ユニクロのネット販売比率は9%、
売上高はグローバルで約1400億円。
それを2年で3000億円程度に増やす。
世界トップはスペインのZARAで、
約3300億円。
それに近づけようという意気込み。
アジアを中心に海外出店を進め、
ネット限定商品も充実させる。
店舗受け取りなど利便性を高め、
実店舗の強みを生かした販売手法で
アマゾンなどネット勢に対抗する。
ネット販売比率を上げるため、
「通販サイトやシステム、物流の再構築を
世界でやっている」
アマゾンがウォルマートを抜くことを、
読み切っている感じだ。
ファーストリテーリングの決算は8月。
2018年8月期の連結売上高は、
初めて2兆円を超える。
その牽引役は海外のユニクロ事業だ。
現在19の国・地域に約2000店を展開。
海外事業は店舗数で国内を抜いた。
17年9月~18年2月期の上期では、
売上高も海外が国内を上回った。
今期も欧州で20店、東南アジアで40店、
中華圏で100店を出す計画で、
日本よりも積極出店を続ける。
その柳井さんの見方。
「リアルとバーチャルの境目がなくなる」
米国のミレニアル世代に代表される、
若い消費者を中心にネット購入が広がる。
だからユニクロも、
成長余地の高いネット販売を伸ばす作戦。
そして柳井さんはジェフ・ベゾスに対して、
競争意識むき出しで対抗する。
「アマゾンは情報から何から、
全部持っていく。
そういうところとは組めない」
ユニクロは「クリック&コレクト」を充実。
ネット注文した商品を、
店舗などで受け取る方式。
日本ではコンビニ3大チェーンでも、
受け取れる業務提携が済んでいる。
欧州連合(EU)や中国などでもこれを実施。
店舗で販売員が採寸する。
この情報を活用して、
顧客の体に合った「服」をつくる。
つまり「情報製造小売業」。
この「情報をもったSPA」の考え方で、
ウォルマートを抜こうとするアマゾンに、
真正面から対峙する。
〈結城義晴〉