結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2018年04月28日(土曜日)

「ありがとう」には「ありがとう」の「咳にくしゃみ」の黄金週間

箱がある。
外から中が見えない箱には、
人のまねばかりするサルがいるらしい。
よく見たら、箱には、
中を覗けるくらいの穴がある。
わたしは、
中にいるというサルを見ようと、
穴に目を近づけて覗いてみる。
なにか見えただろうか。
なにも見えなかった。
おそらく、穴は、
人まねをするサルの目玉で
その都度ふさがれてしまうのだ。

「今日のダーリン」
ほぼ日の糸井重里さんが、
毎日書くエッセイのようなもの。
hoboniti

――作用と反作用
みたいなことなのだろう。
なにかに働きかければ、
必ず同じ力で働きかけられる。

「ありがとう」って
言ったときには、
「ありがとう」って
言われているんじゃないかな。

また「ありがとう」って
言われているときには、
「ありがとう」って
言ってるんじゃないか。

だれかに笑いかけているときは、
笑いかけられている。
笑いかけられているときには、
笑いかけている。
そういうぽかぽかした
日差しみたいな「作用反作用」が、
あるんじゃないかなぁと
思ったのだった――

春の大型連休が始まった。
5月1日はメーデー、
5月2日を休めば最大9連休。

気象庁の予想。
前半の5月1日までは全国的にほぼ晴れる。
後半の2日と3日は曇りや雨。
4日から6日は晴れる。

25度以上の夏日となる地域も多い。

「ありがとう」の作用と反作用。
「微笑み」の作用と反作用。

本気でやってもらいたいのは、
南北の朝鮮。
中国とアメリカ。
そこに日本も加わりたい。

毎日新聞「余録」

朝鮮半島のことわざを紹介する。
「石臼(いしうす)も底の抜ける日あり」
二つの異なる意味で用いられる。

一つは、
永久不変のものはないたとえ。
もう一つは、
どんな名人であれ失敗はあるという意味。

「咳(せき)に嚔(くしゃみ)

これは実にいいことわざだ。

一つの意味は、
タイミングがうまく合うこと。
もう一つは、
いいところで邪魔が入るたとえ。

余録。
「石臼の底も抜けるならば、
北朝鮮と韓国の首脳が
お互いに南北軍事境界線を越え合う
パフォーマンスを見せても
驚くにあたるまい」

「両首脳の呼吸は”咳に嚔”」
板門店宣下.png8

しかし。
「注目の北の非核化で
新たな踏み込みはなかった」

新聞各紙の見方はここに収斂する。

「完全な非核化を通じ、
核のない朝鮮半島を実現する」

共同宣言はそう謳った。

「いくつもの相反する意味、
用法が出てきそうな文言である」

それでも一歩、進んだと私は思う。

ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ。

東日本大震災の後の、
私のスローガン。

それは南北朝鮮問題にも適用できる。

このスピード感。
それが現代。

しかしスピード感と同時に、
ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ。

それが現代化というものだ。

日経新聞夕刊の「あすへの話題」
玉村豊男さん。
老人ロック エッセイスト。
nikkeiyuukann

「このナイフは……切れないね」

「肉が硬いんじゃなくて」

「ナイフが切れないんだ」

「でも、隣はラクに切っているよ」

見ると、若い女性客が、
同じステーキの肉を
スイスイ切り分けて口に運んでいる。

「ナイフじゃなくて、
われわれの力が足りないのか……」

ふたり合わせて147歳の私と友人は、
そう言って嘆き、手を休めた――。

ジャムなどの瓶の蓋が固くて開かない。
調味料や菓子などが入った小袋の、
ギザギザの端を指先で裂こうとするのだが
切り口がよく見えないし、
見えても指先に力が入らないので、
いつまで経っても裂くことができない。

わかる。

ガスに点火しようとするときも困る。
着火棒のスイッチを押そうとしても、
指の力が足りず、カチッと音がするまで
押せないのだ。

こういう道具はチャイルドロックという。
子どもがいたずらできないように、
わざと固くしてある。

しかし、こんなような、
「簡単に操作できないようにしてある道具は
チャイルドロックというより老人ロックで
そのために日常の道具が
十分に使えない年寄りが
たくさんいるのではないかと
私は想像している」

同感だ。

しかし老人も子どもも、
笑いかけたら、笑い返す。
ありがとうには、
ありがとうが返ってくる。

作用と反作用。

そこは「咳に嚔」でありたい。
そんな大型連休の商売模様でありたい。

〈結城義晴〉

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