今日こそ、月刊商人舎6月号の最終責了日。
原稿を書いて書いて、
書きまくって、
校正もする。
ずっと座っているから、運動不足。
それを補って、頑張ります。
最近、このポーズに凝っている。
「非常口を示す男のポーズ」
よろしく。
さて、6月の商人舎標語。
[Message of June]
数字は好きですか
あなたは数字が好きですか。
実は私は大好きなのです。
数字の向う側の世界を、
数字を通して垣間見る。
そして前向きに、肯定的に、
モノを考える。
数字に媒介してもらうことによって、
雑念やしがらみや怨念が消える。
ゲーム感覚で、むしろ純粋な気分で、
状況が見えてくる。
数字はそういった
浄化の機能を持っているのです。
想像力を刺激する要素を
そなえているのです。
ただし、数字で人を
縛ってはいけません。
せっかくの浄化作用や想像の力が、
いっぺんにかき消されてしまいます。
いちじく
にんじん
さんしょに
しいたけ
ごぼうに
むくろじゅ
ななくさ
はつたけ
きゅうりに
とうがん
数字と商品を素直に結びつけて、
商業ビジネスにかかわる私たちは、
毎日、毎日、夢を、
追いつづけています。
数字は清くて、正しくて、
美しくて、しかしも現実的です。
数字と商品を愛でることこそ、
私たちの仕事なのです。
さあ、あなたは数字が好きになりましたか。
私と同じように大好きになりましたか。
〈結城義晴『Message』より〉
私の単行本『Message』の一節。
1995年の月刊食品商業7月号の、
巻頭言が初出。
自分でも好きなので、
またまた使った。
わらべうたを、
本歌取りのように入れた。
それがちょっと、気に入ってる。
八代亜紀の「舟歌」のように。
お酒はぬるめの 燗がいい
肴はあぶった イカでいい
女は無口な ひとがいい
灯りはぼんやり 灯りゃいい
しみじみ飲めば しみじみと
想い出だけが 行き過ぎる
涙がポロリと こぼれたら
歌い出すのさ 舟唄を
ここから「ダンチョネ節」の本歌取り。
♪沖のかもめに深酒させてョ
いとしあの娘とョ
朝寝するダンチョネ♪
さてさて、財務省。
森友文書改ざん調査報告。
朝日新聞「天声人語」
「この役所はほぼ20年周期で
騒動を巻き起こす宿命なのか」
1979年、大蔵省は「公費天国」と批判された。
「公費使い一晩数十万円。
夜の赤坂“主”は大蔵幹部――」。
1998年には「ノーパンしゃぶしゃぶ」事件。
銀行員らから何度も接待されていた。
そこで大蔵省は、
金融監督庁と財務省に分離される。
前者が現金融庁。
そして2018年の今。
しかし現場職員には、
改ざんへの「強い抵抗感」があった。
「渦中で自ら命を絶った人がいた」
「40年前の不祥事では、
次官ら9人が軽い処分」
「20年前は検察庁に幹部が逮捕されて、
蔵相が辞任した。
省内の処分対象は100人超」
「今回は事務次官以下20人が処分」
しかし検察は不起訴を決めた。
大臣も去る気配はない。
天声人語は嘆く。
「時計の針が一気に40年前へ戻った」
文章も数字も、
私はほんとうに大切にしている。
それを改ざんするなど、
言語道断。
それをした人間には、
罪の意識が一生、
ついてまわるに違いない。
日経電子版の「経営者ブログ」
火曜日の朝は鈴木幸一さん。
日本のインターネットの草分け。
(株)IIJ会長。
この人は手厳しい。
「ITやAI」などの言葉を、
わからずに使うと、
きついお叱りを受ける。
「IT(情報技術)の将来はどうなりますか」
鈴木さんがよく受ける質問。
それへの答え。
「50年を経て、
インターネットに象徴されるITは、
今後も加速がついたまま
幹も枝葉も伸ばしていくことは
間違いないのだが、
ITが変えつつある世界は、
ようやく序章が終わった段階である」
序章が終わった段階か。
「世界で成長している巨大なトップ企業は
IT分野ばかりになりそうだし、
既にこれだけ、ネットの利用によって
暮らし方まで変化をしているのに、
まだ序章ですか」
20数年前、鈴木さんは、
IIJという企業を設立した。
「インターネットは、
その技術もさることながら、
もっとも重要なことは、
この技術は、世界のあらゆる仕組みを
変えてしまう技術革新である」
「歴史上、例を見ない暴虐な戦争による
犠牲者を出した20世紀という時代の
最後を象徴する巨大な技術革新なのだ」
謙虚に、誠実に、
この最後の巨大な革新技術を、
使わせてもらおう。
「新しいネット技術が、
いずれは政治、経済、産業から、
人々の暮らしまで、すべての仕組みを
変えてしまう技術革新である
という考えについては、
創業して26年を経た今も、
変わることがない。
ますますその確信は、
明確な形となっている」
文章を書く時も、
数字を調べるときも、
インターネットは実に便利だ。
革命的だ。
ジャーナリストの立花隆さんも、
草創期にインターネットの価値を、
熱く語っていた。
しかし、だからこそ逆に、
改ざんなども起こりやすいし、
著作権侵害なども頻発する。
そこで鈴木さんは日本を心配する。
「旧来の伝統というか、
やり方を守り、仕組みを変えずに、
その運用を精緻化することに価値を置き、
抜本的な変化を嫌う日本は、
ネット社会においては、
後れを取るのではないかという
当初からの危惧は大きくなるばかり」
「目標とするアウトプットが明確で、
高度に精緻化したアウトプットを
つくりあげることについて、
日本ほど優れた能力を持つ国は少ない」
しかし、日本人は、
「アウトプットの形そのものが明確でなく、
自らイメージし、そのために
仕組みそのものを変える
という点になると、
後ずさりをしてしまう」
後ずさりは多いだろう。
ただし頓珍漢な挑戦もある。
「その意味で、ITの世界で
日本がリーダーシップをとることは、
日本の特質とは逆の行動様式が
要求されるだけに、きわめて難しい」
鈴木さんは悲観的だ。
「ただし、その難しさを乗り越えない限り、
ネット技術にけん引されながら
仕組みを変えていくことが
競争の原点である将来は、
日本にとって、とても、
難しい時代となってしまうのである」
いちいち納得。
今月号は月刊商人舎も、
インターネットの商人舎magazineに、
多数の情報や記事を掲載した。
「紙と網の融合」――。
創刊のときから言い続けている。
商人舎流通SuperNewsも、
月刊商人舎magazineも、
そしてこの毎日更新宣言ブログも、
ITの恩恵によるものだし、
鈴木幸一さんのお陰だ。
決して驕ることなく、
いつも真摯に、謙虚に。
感謝しつつ。
それがインターネットとの付き合い方だ。
ほんとうにありがたい。
〈結城義晴〉