2018年7月最後の日。
最高気温は34℃。
暑い。
今日は東京の九段下。
ホテルグランドパレス。
その昔、上野光平先生や、
杉山昭次郎先生と、
よく利用した。
上野先生は西友ストアー副社長から、
流通産業研究所所長・理事長。
63歳で亡くなった。
杉山先生は流通システム研究所所長、
商人舎最高顧問。
2013年5月22日に逝去。
享年87だった。
今日は「宗像守お別れの会」
日本チェーンドラッグストア協会事務総長。
11時半に2階ダイヤモンドルームに参集。
宗像守さんの大きな遺影が、
こちらを向いている。
弔辞は3名。
まず文部科学大臣の林芳正さん。
それから青木桂生さん。
日本チェーンドラッグストア協会会長、
㈱クスリのアオキホールディングス会長。
昨日、私は6時間も青木さんと一緒だった。
何度も何度も弔辞の文面を推敲していた。
いい弔辞だった。
宗像さんの功績を丁寧に整理した。
「商業統計にも日本標準産業分類にも、
位置づけられていなかったドラッグストア。
その業態化を果たしたうえで、
6兆8500億円の産業にした」
「セルフメディケーションを唱え、
薬事法改正、調剤ポイント付与など、
難問を次々に解決した」
「地域健康のplatformを具現化する
街の健康Hub Station構想を
打ち立てた」
青木さんは最後に、
わが国の医療介護制度大転換のいま、
2025年10兆円産業を実現させ、
宗像さんの遺志に報いることを宣誓した。
さらに今西信幸さん。
宗像さんの後任の協会事務総長。
そのあと、弔電の披露。
真っ先に安倍晋三総理大臣。
「宗像様と初めて、
お話をさせていただきました際に、
“すべては目に見えない誰かに、
安全と安心を届けるための仕事です”
と、力強く仰られた」
目に見えない誰かに、
安全と安心を届けるための仕事。
宗像さんらしい表現だ。
そのあと、献花。
壇の横には協会会長、副会長が並ぶ。
左は会長の青木桂生さん、
その隣から副会長の樋口俊一さん、
江黒純一さん、浦上晃之さん、
池野隆光さん、皆川友夫さん。
〈青木さんは(株)クスリのアオキホールディングス取締役会長
樋口さんは薬ヒグチ&ファーマライズ(株)名誉顧問
江黒さんは(株)クスリのマルエ取締役会長
浦上さんはゴダイ(株)代表取締役社長
池野さんはウエルシアホールディングス(株)代表取締役会長
皆川さんは(株)アカカベ代表取締役会長〉
献花が終わると3階でお清め。
宗像さんの功績などが展示されていた。
これは協会における主な活動。
宗像さんの制作物。
そして著書の陳列の真ん中に、
「セルフメディケーションが日本を救う」
私はこの写真が一番好きだ。
多くの人たちが、
宗像さんの冥福を祈った。
そして全員が口をそろえた。
「惜しい、勿体ない」
「かけがえがない、代わりがいない」
「産業の損失だ、日本の損失だ」
私はこう思う。
「深刻な高齢化社会を迎える日本にとって、
本当に大きな痛手だ」
この後は協会が真の一致団結を果たし、
議論すべきは徹底的に議論して、
政治家を動かし、役所の協力を得て、
ドラッグストアの基幹産業化を、
何としても成し遂げてほしい。
最後に一人、
宗像さんの遺影と向かい合った。
そして約束した。
6月27日のこの毎日更新宣言ブログ。
前日に亡くなった宗像さんを追悼した。
評伝|宗像守はドラッグストアに「永住権と本籍地」を与えた。
「日本のドラッグストア産業にとって、
本章はこれから始まる。
現在はまだ、序章である。
だからこそこれから、
宗像守の存在は必須だった。
だが、それはかなわない。
残った者たちが、
宗像守の遺志を引き継ぐしかない。
幸いにしてこの産業は若い。
経営者たちも若い。
それが希望の灯だ。
今は、心からご冥福を祈りつつ、
宗像守のビジョンを反芻するばかりだ」
合掌して、黙祷。
日経新聞経済コラム「大機小機」
「財政再建が困難な理由」
コラムニスト一直さんは硬骨漢。
「政府は今年の骨太方針で、
民主党政権以来掲げてきた
“基礎的財政収支の2020年度黒字化”
という財政健全化目標の旗を降ろした」
「経済再生なくして財政健全化なし」
財政健全化の達成時期を、
政府は今年の骨太方針で5年延長した。
橋本龍太郎政権の財政構造改革から20年。
公的債務は社会保障費の急増を主因に
大きく膨らんだ。
にもかかわらず、
政府の財政再建への姿勢は、
むしろ後退している。
「増税では選挙に勝てない」
この政治論理が岩盤となっているからだ。
日本の公的債務の大きさは、
先進国では突出している。
景気拡大はすでに6年目に入っている。
しかし財政は好転していない。
なぜか。
労働力人口が減少している。
潜在成長率が1%しかない。
これが現在の成長構造である。
マクロ政策で成長率を引き上げるには、
限界がある。
どうすべきか。
「まず、あるべき社会保障体制の姿を
明らかにする」
「そのうえで社会保障費の増加に、
歯止めをかけることが不可欠だ」
「財政再建の構図が明確になれば
消費需要も投資需要も喚起され、
成長力が高まるはずだ」
一直さんの提案は、
宗像守のロジックと同じだ。
10兆円産業を実現させ、
街の健康ハブステーションを構築し、
セルフメディケーションを実現させる中で
国の高齢者医療費を大幅に削減させる。
マクロ政策ではなく、
ドラッグストアの活躍が、
財政再建の一助となる。
それは是が非にも成し遂げねばならない。
日本チェーンドラッグストアの活動原則。
宗像守が定めた。
民主的な組織と運営を貫くこと。
議論の場であること。
目的達成のために力を合わせること。
正義を貫くこと。
志高き人々の集団たれ。
とてもいい活動原則だ。
そして活動原則は、
守られねばならない。
宗像さん、ありがとう。さようなら。
「お別れの会」が終わって、
横浜商人舎オフィスに戻った。
そうしたら、
「母、心肺停止」の報あり。
慌てて、実家に戻ったが、
4時30分、慢性心不全で、
母が逝った。
医者は言った。
「老衰としてもいいでしょう」
結城ヨシコ、享年93だった。
満足のいく人生だったに違いない。
若い時から美しい人だった。
最後の表情は、
ほんとうに安らかだった。
横浜の空は快晴だった。
家族だけで葬ることにした。
ふたりの大切な人を見送った日だった。
〈結城義晴〉