台風21号が四国に上陸して、
近畿を抜け、日本海を北上して、
昨日5日の午前9時に、
北海道西岸で温帯低気圧に変わった。
日本中がそう一安心した途端、
今日6日の未明、午前3時8分に、
震度7の大地震。
ああ、日本地震列島。
気象庁は正式名称を発表した。
「平成30年北海道胆振東部地震」
胆振は「いぶり」と読む。
陸のプレートの地殻内で、
断層面がずれて起きた、と専門家。
震源は深さは約37キロ。
活断層の地震としては異例の深さ。
マグニチュードは6.7と推定されるが、
道内全域の約295万戸で停電が発生した。
北海道電力は1951年の創設である。
しかし全道内全域の停電は初めてだ。
2011年3月の東日本大震災時にも、
全域の停電は発生していない。
今回の大規模停電の理由は、
「電力の需給バランスの崩れ」にある。
苫東厚真発電所は震源の近くに位置する。
石炭を燃料とする火力発電所だ。
6日未明の段階では全号機が運転中だった。
地震勃発によって、緊急停止した。
同発電所は165万キロワットの発電能力。
道内最大の火力発電所だ。
地震発生の時点で、
北海道の使用電力の半分を供給していた。
この苫東厚真発電所の停止から、
連鎖的に道内の火力発電所が停止した。
電力は常に、需要と供給が、
同量になる必要がある。
そうしなければ「周波数」が安定せず、
最悪の場合には大規模な停電となる。
家庭や店舗、工場に送られる電気は常に、
プラスとマイナスが入れ替わっている。
その入れ替わりの回数が、
「周波数」である。
「周波数」が一定に保たれねば、
停電となってしまう。
そして「周波数」を一定にさせるためには、
発電量と使用量が一致しなければならぬ。
周波数が乱れると、
発電機や電気機器が壊れる危険性がある。
スーパーマーケットの売場の、
生鮮食品のジャストインタイムと同じだ。
供給量と需要量が一定でなければ、
ロスが発生する。
つまり発注量や製造量が多くて、
購買量が少なければ、
廃棄ロスとなる。
逆になれば機会ロスとなる。
電力の「周波数」も同じことだ。
だから電力会社は常に、
需要と供給が一致するように、
発電能力を調整・運用する。
北電は北海道全域の枠組みで、
調整と運用をしている。
今回は苫東厚真発電所の停止によって、
供給量が大きく減少した。
そこで北電は周波数を乱さないよう、
連鎖的に全発電所を停止させた。
世耕弘成経済産業大臣の発言。
「連鎖的に他の発電所も、
自動的に発電を止めた。
そうしないと、電力の周波数が乱れて、
電力供給がうまくできないことになる」
火力発電所を稼働させるためにも、
電力が必要だ。
今後は水力発電所を動かして、
火力発電所に送電して、
発電を再開させていく。
ただ、送電線なども被災している。
だから復旧に時間を要する。
では本州から送電して、
北海道を救えないのか。
両地域を結ぶ送電線の容量は、
約60万キロワットでしかない。
道内の電力需要をカバーできない。
したがって復旧には1週間ほどかかる。
商人舎流通SuperNews。
北海道胆振東部地震news|
停電・断水で休業相次ぐも小売業各社店頭販売実施
イオン北海道とマックスバリュ北海道が、
停電の中でも店頭で、
食品や生活用品を販売している。
イトーヨーカ堂は全道11店で、
やはり店頭販売を開始した。
セブン-イレブンも水や常温商品を販売。
ダイイチは一部店舗で、
冷凍食品を解凍して1人5個まで無料提供。
イオンもセブン&アイも、
こういった災害のときには、
ある時には補完し合い、
ある時には協働し合って、
地域社会のために活動しなければならない。
アークスはほぼ全店で営業している。
コープさっぽろは全店停電だが、
一部店舗で店頭販売。
スーパーマーケットや生協は、
まさにライフラインだ。
ファミリーマートもローソンも、
そして地元のセイコーマートも、
水やグロサリーを販売。
コンビニは街の灯台だ。
ツルハとサツドラ、ホーマックは、
一部店舗で営業。
ドラッグストア、ホームセンターも、
復旧、復興には欠かせない業態だ。
それぞれに全力を挙げて、
店舗営業の再開を目指している。
それ以外の全道の小さな店も、
頑張ってほしいと思う。
「元気を出そう・元気を売ろう」
元気を出そうよ。
それがあなたの仕事です。
元気を売ろうよ。
それがあなたの役目です。
お客さまに笑顔が戻る。
街に活気が蘇える。
あなたの商品のおかげです。
あなたのサービスのたまものです。
たとえ売場が、
空になろうとも。
たとえ補給が、
途絶えようとも。
あなたは店を開けようよ。
あなたは売場に立ち続けようよ。
店で元気を出そう。
売場で元気を売ろう。
元気があなたの付加価値です。
元気があなたの利潤です。
苦しい時にも、
元気が買える。
どんな時でも、
元気が貰える。
たとえ地震に
襲われようとも。
たとえ台風に
見舞われようとも。
店を開けよう。
売場に立とう。
元気を出そう。
元気を売ろう。
それがあなたの仕事です。
それがあなたの役目です。
店を開けよう。
売場に立とう。
元気を出そう。
元気を売ろう。〈結城義晴〉
最後に今日の朝日新聞、
「折々のことば」第1220回。
足並みそろうと
全滅しちゃうので。
(雑草学者・稲垣栄洋)
「開花の時期をずらしたり、
背丈を違えたり、
植物はつねに
多様性を拡げようとする」
(インタビュー《弱い雑草の「戦わない強さ」》より)
環境のどんな異変にも対応できるよう、
「とりあえず、
たくさん用意しておきましょうね」
というのが稲垣さんの言う多様性。
編著者の鷲田清一さん。
「人はついバラつきを嫌い、
標準化を図るが、
生き延びる工夫はどうも
植物のほうが上らしい」
震災のときの小売業にも、
植物のような多様性が必要だ。
それぞれの店が、
それぞれの力を発揮する。
そして元気を出そう、
元気を売ろう。
頑張れ。
〈結城義晴〉