10月3日、水曜日。
実は、ドイツ統一の日。
ドイツ語で、
「Tag der Deutschen Einheit」
1989年11月10日、
ベルリンの壁が崩壊し、
翌1990年10月3日に東西ドイツが、
再統一した。
ドイツでは祝日。
昨夜から成田に宿泊し、
今朝、第2ターミナルに集合。
今日からイオンリテール㈱の海外研修。
もう5年で10回目になる。
これまではずっとアメリカだったが、
今回はヨーロッパ。
まずドイツに向かう。
それからイタリアを訪れる。
団長は経営企画本部長の細田昌幸さん。
これまでの研修の経緯と、
今回の趣旨を語ってくれた。
そしてこれからのイオンリテールに、
大変革が待っていることを宣言した。
私はもう何度も細田さんと、
アメリカにご一緒している。
私はなぜ今回はアメリカではないのか。
イギリスとフランスではないのか。
なぜロンドンとパリではないのか。
その理由を語った。
そしてフランクフルㇳとミラノの、
対極にあるポジションの、
研修効果の高さを強調した。
右の極と左の極。
その両極の幅があるほど、
世界観は広くなる。
その両極を体内化できれば、
組織は高いパフォーマンスを獲得する。
だからドイツとイタリアの両者から学ぶ。
私のあとは今回の事務局の東昌世さんが、
流れるようなスピーチ。
イオンリテール教育担当部長。
すばらしい。
それから参加者全員が、
簡単な自己紹介。
イオンスタイル豊田店の井上良和店長。
月刊商人舎2月号に登場してもらった。
特集は、
「優れた店長 愚かな店長」
今年、イオンリテールで、
表彰された店長ばかり。
19人のうち、
8人の人たちが一度、二度、三度と、
私の研修に参加してくれている。
いい旅になりそうだ。
プロ添乗員の土生和広さん。
もう8回、ご一緒している。
そして全員写真。
出発ボード。
11時25分発JALフランクフルト便。
動く歩道を歩いて91番ゲートへ。
新しいターミナルでは、
天井からの採光がある。
JALの桜ラウンジで原稿書き。
そのときには必ずこれ。
JALカレーとビール。
最高です。
そして乗り込んだ。
千葉の上空。
秋の千切れ雲。
飛び立って1時間、
海が見えてきた。
あとはシベリア上空の長い長いフライト。
雪をかぶった山脈。
1981年の真冬、12月末から1月初めに、
このシベリアを旅したことがある。
アエロフロートの狭い座席で、
8時間くらいじっと我慢した。
しかし現在のJALは快適。
それでもずっと雲に覆われていた。
その間ずっと、原稿を書き続けた。
おかげでいいものが書けた。
月刊商人舎10月号、ご期待ください。
11時間後、バルト海が見えてきた。
そしてドイツ連邦共和国。
ゲルマンの大地だ。
フランクフルト市が見えてきた。
ドイツ第5の都市。
ベルリン、ハンブルグ、ミュンヘン、
ケルン、そしてフランクフルト。
ランディングしてすぐにリムジンバス。
市内中央を流れるマイン川。
有名な大河ライン川の支流だ。
フランクフルト中心部の旧市街の広場。
レーマー広場、
市庁舎広場。
切妻屋根のゴシック式木造建造物が並ぶ。
第二次大戦で街はすべて破壊されたが、
戦後、観光のために復興された。
そしてドームに向かう。
その大聖堂。
神聖ローマ帝国時代には、
歴代皇帝の戴冠式が執り行われた。
そのドームのそばのホテルとレストラン。
すぐにビールで乾杯。
メインディッシュは、
シュバイネハクセ(Schweinshaxe)
豚スネ肉のロースト。
食事が終わるとドームに灯がともった。
みんなで写真。
ドイツらしい古い街並み。
ドームを後に、ぶらぶら歩く。
レーマー広場ではミニコンサート。
ロックバンドが演奏している。
それを取り囲むように、
聴衆が集って、一緒に歌う。
ロウソクに灯をともして、
東西ドイツ統一を、
静かに、深く、祝っている。
資本主義の西ドイツ、
共産主義の東ドイツ。
その両極をまとめたドイツ連邦共和国。
パフォーマンスは高かった。
私にとって、
長いながい一日だった。
しかしこのイオンの研修会は、
不思議なことだが、
アメリカでは独立記念日に、
現地に到着することが多い。
ドイツでは統一記念日。
どちらも新しい国が生まれた記念日だ。
さて日本のそれは、いつなんだろう。
建国記念の日は2月11日だが、
それは古い古い神話の世界の話。
ドイツ流に、
現在の国のスタートを考えると、
日本のそれは、
終戦の日の8月15日かもしれない。
ドイツの人たちの、
両極を得た統一記念日の態度を見ていて、
ふと、そんなことを思った。
(つづきます)
〈結城義晴〉