そして2日目の朝は、
ホテルの会議室で、
セミナー。
この海外視察の狙いと心構え。
それからドイツやフランクフルトの概況、
ヨーロッパ小売業のランキングや動静。
そのうえでドイツ小売業の全体像。
さらに有力企業の歴史と特徴。
鳥の目、魚の目で、
ヨーロッパとドイツを俯瞰した。
そして日本とアメリカと、
ドイツの違いを指摘。
閉店法の存在と小型店の発達。
まずは頭でドイツ小売業を理解して、
早速、視察研修にスタート。
まずはメトロへ。
キャッシュ&キャリーの会員制卸売業。
ここにカードをかざして入店する。
この店の店長はユラシェックさん。
大学でマーケティングや経営を学んだ。
そしてメトロに入って店長となって40歳。
2フロア1万6000㎡の倉庫型店舗を、
くまなく案内して、質問に答えてくれた。
素晴らしいツアーとレクチャーだった。
感謝の握手。
隣は事務局を担う東昌代さん。
イオンリテール教育担当部長。
次はそのメトロのハイパーマーケット、
リアル。
1階が広大な食品売場。
野菜も果物もすごく安い。
1ユーロ130円の為替レートで換算しても、
その安さは感じられる。
リーチインケースと平ケースが並ぶ。
ちょっと古い感じの日本の総合スーパー。
冷凍食品の広大な平ケース売場。
そして対面のミートコーナー。
ドイツだけに加工肉から始まって、
最後に生肉の売場が登場する。
ハム、ソーセージは、
立派な簡便食品である。
そのハム、ソーセージ売場に、
顧客が集まる。
飲料やビールはケース陳列の、
大量販売。
ベーカリーは店ごとに趣向が凝らされている。
そしてワインと酒の売場。
ビール王国のドイツだが、
ワインはすごい伸びを示す。
動くスロープを登って2階非食品フロアへ。
ベビーとキッズはいい。
スポーツもまあ、いい。
しかしメンズとレディスは苦戦。
日本の総合スーパーと一緒だ。
リアルのハイパーマーケットは、
再投資やリニューアルが施されない。
ちょっとあきらめ気味か。
日本の総合スーパーも再投資しなければ、
生き残れない。
ランチはクラインマルクトハレへ。
生鮮の専門店や飲食店が集まった市場。
八百屋はフランクフルトの名店を集めた。
これでもかと市場型のショップが並ぶ。
陳列も見事だし、鮮度もいい。
そのうえ安い。
右手にはずっと精肉専門店が並ぶ。
その中で行列の店。
ホットドックの原点のような店だが、
たった二人でソーセージとパンを提供。
これが実にうまい。
1500㎡の市場には60店のテナントが入る。
2階に上がると通路にイートインスペース。
活気ある1階の風景が見える。
上から見ると美しい。
買い物客が行き交う。
青果専門店のカラフルな売場。
この賑わいを日本の店にも再現したい。
2階のどん詰まりにワインバー。
ドイツはビールの国。
水を飲むように、ビールを飲む。
しかしワインの産地でもある。
その白ワインの濁り酒。
いわゆるワインのどぶろく。
この時期にしか飲めない。
グラス200㎖で2ユーロ。260円也。
フェーダーヴァイザー。
カウンターの後ろに、
さりげなくサーバーが置いてある。
このプラスティックタンクから、
グラスに注いで提供する。
私も細田昌幸経営企画本部長と勉強。
店内は、地元客だけでなく、
観光客も集って、大賑わい。
この市場のバルコニーにテントを張って、
バーにした。
樽のテーブルを囲んで、
カジュアルな立ち飲みもよし。
今回の研修はイオンリテールの
優秀店長に表彰された強者たちだ。
見聞を広め、世界的な視野を養う研修。
この市場だけはアルコールも了解。
食べて、飲んで、触って、
地元の食や暮らしを体験しなければ
店舗の品揃えや、本質がわからない。
だから大いに、楽しむのだ。
ドイツはヨーロッパの中枢を担う国。
合理性と質実剛健。
その徹底力に学びたい。
徹底とは厳密に詳細に継続すること。
厳しく、細かく、続ける。
それをわれわれ日本人は、
ドイツ人ほどには得意としない。
同じビジネスを志向する同志として、
その徹底ぶりを学びたい。
(つづきます)
〈結城義晴〉