Frankfurtの朝。
ゲルマン人が「森の民」といわれたことを、
このホテルの窓からの景色が、
実感させてくれる。
今日はドイツの代表的な、
スーパーマーケットを紹介しよう。
「複占」といっていいだろう。
エデカとレーベ。
エデカが2016年年商496億ユーロ、
1ユーロ130円換算で6兆4480億円。
1万1492店。
レーベは389億6000万ユーロ。
5兆648億円。
店数は1万0817店。
両者ともにマルチフォーマット戦略。
ボランタリーチェーンだ。
まずレーベセンター。
入り口には必ずパン屋がある。
これはドイツの定番。
昨年もこの店を見たが、
リニューアルされてすごくいい。
青果部門は国際レベルのデザイン。
つまりアメリカやイギリスにも負けない。
この木組みの大きな島陳列は、
全部、オーガニック。
「Bio Haus」。
オーガニックハウス。
ヴィーガン向けの売場がある。
一番奥に精肉の対面売場。
この対面ケースはR型ではない。
掃除がしやすくて使いやすい。
ドイツの企業はいずれもこれを使う。
左手にパン売場。
シースルーになっている。
コーナーを曲がって、
デリカテッセンの対面売場。
落ち着いた印象の店に仕上がっている。
ボックスストアのアルディやリドルが、
ローコスト店舗であるだけに、
オーソドックスなスーパーマーケットには、
質感が求められる。
リカー売場はショップ形式をとっている。
グロサリーはアール型のゴンドラ。
真ん中にBio商品が集まる。
そして最後は冷凍食品売場。
平ケースで蓋つき。
これはどの企業にも共通している。
通常レジとセルフレジがある。
これもオーソドックス。
レーベのレギュラータイプ。
電車の車庫跡を利用している。
天井が高くて、窓から光が入る。
サラダバーがユニーク。
上部のガラスの蓋が上げ下げできる。
青果から奥まで壁面と島陳列の融合。
天井が高い店の快適さは、
他の何物にも代えられない。
その高い天井の下に、
何本もパイプを設置して、
そのパイプにスポットライトを取り付ける。
店舗左手は精肉からデリカテッセンへ。
この店は特別にR型ケースを使っている。
店舗中央は冷凍食品の平ケース。
そして店舗右手がグロサリー。
アパレルは扱わない。
レジは左右セットで5台。
つまり10台。
商品はレーベの他のフォーマットと同じ。
そのうえでこの店の快適な空間。
本当にいい。
フランクフルト市内に、
車庫改良型のこのタイプが2店ある。
最後にレーベシティ。
都市型スーパーマーケットで、
この店は地下1階にある。
商品ラインは全く変わらず。
ただし改装が施されていないので、
ちょっと古い感じがする。
それでも自慢の精肉とデリカテッセンは、
必ず対面売場で接客対応する。
これがアルディ、リドルとの戦い方だ。
この店には珍しく、
車椅子とベビーカーの専用レジがある。
レーベがシックなクォリティを出せば、
エデカは、
最新の斬新なトレンドを、
どんどん取り入れて対抗する。
天井は黒いスケルトン。
青果部門から入る。
右手はカットフルーツにカット野菜。
最新モデルで、レーベをちょっとリード。
真ん中に試食台。
パイナップルは甘かった。
そして中央平台の島陳列。
左手が果物。
ドイツはクレート陳列が常道。
だからどの企業も同じになる。
そこでスポットライトを多用して、
特徴づけをしている。
市場的な広場を形成して、
その中央に島陳列。
葉物、トマト、キュウリなど、
美しい。
ジュースも冷蔵ケースで販売。
青果部門が長々と続く。
最後は花のプレゼンテーション。
根菜類もバラ売り、量り売りが主体。
青果売場の各所にスケールがある。
スケールの両サイドにはかご陳列の野菜。
グロサリー売場。
ゴンドラを斜めに切って、
引き込み線のような効果を出している。
フェイスアップされた陳列は美しい。
ドイツ人の徹底ぶりが、
オペレーションに現れる。
精肉の対面売場は角形什器。
ハム・ソーセージから始まる。
ドイツの最重要カテゴリーだ。
その精肉の対面販売の前のエンド。
斜めに設定されている。
故渥美俊一先生なら怒るかもれない。
パスタの売場上段は単品販売。
ゴンドラ什器は低い。
乳製品のチルドコーナー。
デリカテッセンの島型の対面コーナー。
屋根がついて、ショップ型になっている。
一角には寿司売場もある。
カウンターで、
買った商品を食べることができる。
チーズのコーナーにも、
イートインカウンター。
島型売場だから、
什器と什器の角が空いてしまう。
その角のスペースに、
木製のイートインコーナーをはめ込んだ。
椅子を出すと、ここで顧客は、
座って食べることができるようになる。
これは参考になる。
ナチュラルチーズは、
アイテム数が多い。
ドイツは畜産国で、
精肉や加工肉とチーズが豊富だ。
チーズは「KASE」。
エンドのサイドに、
段ボールカットの
プロモーション商品を突き出し陳列。
インストアベーカリーのコーナー。
パネルでは焼きたてを謳う。
スケルトンの天井と低めの什器。
ブラックの店内で、
商品のカラフルさが活きている。
レジとサッカー台。
木造りがいい。
エデカの斬新さは、
ドイツでも際立っている。
2強のあとは、
ローカルチェーンのテグート。
ドイツの6つの州で、
280店ほどを展開する。
スイスのミグロス傘下。
入口の手前には、
右サイドにイートインコーナーと、
コーヒー&パンの対面売場。
即食需要に対応する。
入口を入ると、
クレート陳列の青果売場。
ハム・ソーセージは、
蓋つきの冷蔵平ケースで販売。
この店は特別に、
「省エネ」をコンセプトにしている。
チーズの売場も、平冷蔵ケースで、
省エネ型に統一されている。
鮮魚売場の対面売場。
対面売場には最低限の人を配しているが、
あとはセルフセレクションで、
ローコスト運営だ。
都心型のテグートも、
省エネに取り組んで、
ユニークさを出している。
最後は、Bio専門店。
アルナトゥーラ。
天井は独特。
LEDのスポット照明。
黄緑色がコーポレートカラー。
柱や風船の黄緑が、
アクセントになっている。
オーガニックの野菜。
対面売場はデリカテッセンから、
ベーカリー、コーヒーショップまで、
つながっていて、
最低1人で対応できる。
レジは座って作業を行うが、
実に親切だ。
この会社は、
スイスのミグロス傘下にある。
資本集中。
それがドイツ小売業の方向性だ。
特にスーパーマーケットは、
ボランタリーチェーンの形態を、
最大限に活かすのが、
やはりドイツのやり方だ。
さらにローカルチェーンやBio専門店は、
スイスの巨大チェーン傘下となる。
だからそれも俯瞰すると、
エデカ、レーベ、ミグロスの三占。
資本は集中せざるを得ないのか。
(つづきます)
〈結城義晴〉