尾﨑英雄さんと岡田元也さん。
㈱フジ会長とイオン㈱社長。
ともに1951年生まれの67歳。
電撃の資本業務提携を発表した。
商人舎流通SuperNews。
イオンnews|
四国の(株)フジと資本業務提携・中四国エリアで1兆円目指す
この資本業務提携には背景がある。
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SM事業会社を6エリアで経営統合/2025年3.1兆円視野に
イオングループのスーパーマーケットは
地域別に6つに再編される。
⑴イオン北海道(株)とマックスバリュ北海道(株)、
年商3100億円規模。
⑵マックスバリュ東北(株)と、
イオンリテール(株)東北カンパニー。
スーパーマーケットと総合スーパーで、
年商2010億円。
⑶マックスバリュ東海(株)と、
マックスバリュ中部(株)の3890億円。
⑷近畿圏の(株)ダイエーと(株)光洋。
経営統合後は3920億円。
⑸マックスバリュ西日本(株)と、
(株)マルナカ、(株)山陽マルナカ。
中四国の3社経営統合で、
その規模は5690億円。
ここにフジの2986億円が加わると、
8676億円となって、1兆円が見えてくる。
⑹イオン九州(株)、マックスバリュ九州(株)、
そしてイオンストア九州(株)の3社統合、
4430億円。
2019年3月に中四国エリアを皮切りに、
順次、統合が進められていく。
イオンはフジの15%の株式を保有する。
だからすぐにこの中四国の経営統合に、
フジが参加することはないだろうが、
それでもかつてのマルナカとフジ。
いずれもイオンのグループとなる。
こんな企業再編は、
これからますます進むだろう。
アメリカ並みへ、いや、
ヨーロッパレベルへの大潮流が、
訪れようとしている。
独立系のローカルチェーンは、
ますますポジショニングが大切になる。
マーケットニッチャーの在り方だ。
そして商人の本籍地と現住所の考え方は、
これまた必須のものとなる。
尾﨑英雄さんの判断――
私は支持する。
さて平和堂アメリカ研修第16団。
ダラス・フォートワースの現場巡り。
クローガー。
このエリアでウォルマートに次ぐ、
第2位のシェアを持つ。
そのフレッシュフェアというバナー。
生鮮食品の鮮度を最重視し、
その新鮮さをお祭りのように訴求する。
それがこの店のコンセプトだ。
店長のキティ(Kity)さんにインタビュー。
15歳でクローガーに入った。
ボックスガールから初めて、
30年間務めている。
52週のマーチャンダイジングから、
チラシの重点商品の展開まで、
具体的なノウハウを教えてくれた。
一所懸命に話を聞いて、
質問をぶつけ続けた。
キティさんはすべての質問に、
手振り身振りで答えてくれた。
チームワークの作り方や、
マネジメントの本質を、
自分の経験をもとに、
よく考えながら話してくれた。
本部やディストリクトオフィスは、
そのキティさんたち店舗に対して、
十二分のサポートをしている。
そのうえでクローガーを誇りにしている。
それがキティさんのマネジメントの根幹にある。
団長の廣政久美子さんも、
18歳で平和堂に入って、
キティさんを超えるくらい、
平和堂一筋。
自然に抱擁。
まさに同志のハグだった。
うれしそうな二人。
そして全員写真。
この研修の最大成果だったかもしれない。
クローガーのもう1店。
マーケットプレース。
非食品強化型で、
ウォルマート対策フォーマット。
左サイドの入り口を入ると、
青果部門と花部門が広がる。
その奥に「BISTRO」。
サービスデリの対面コーナー。
ボアーズヘッドのデリの対面売場は、
クローガーに限らず大人気。
入り口付近の青果からデリまでが、
クローガーの武器である。
そしてクォリティ豊かなワイン売場。
奥主通路は精肉から乳製品の多段ケース。
そしてところどころに、
アクセントとなるプロモーション売場。
10個10ドルコーナー。
精肉にも「SimpleTruth」が増えてきて、
これまた大人気。
クローガーのクォリティブランド。
プライベートブランドの、
キッチンタオル。
「ボーンティと比べてみてください」
自信満々、ナショナルブランドとの、
比較購買を勧める。
そしてハロウィンプレゼンテーション。
最後に最近売り出したのが、
アパレルブランド「dip」
入り口から売場展開まで、
派手に大スペースで販売している。
しかしまだまだ、もう一歩。
クローガーの悩みは深い。
ホールフーズマーケット。
店の導入部は当然ながら、
ハロウィンの展開。
インストアベーカリーは、
クッキーなどの焼き菓子から入る。
そして各種のパンとケーキ。
この多様性とそのマージンミックスが、
利益の源泉となる。
この店のベーカリーの色、
実はイタリアのエッセルンガと同じ。
多分、ホールフーズがそれを学んで、
この店に使ったに違いない。
そして最近、新店や改装店で、
必須といっていいほど、
導入が進んでいるビールバー。
2階のイートインスペースから
売場を眺める。
フラワー・アレンジメントマイスター。
カボチャをくりぬいて、
その上に花を飾ってくれる。
それを興味深げに見ている
平和堂の団員の面々。
w
マイスターの作品を購入。
ハロウィン仕様のアイテムである。
ホールフーズもアマゾン傘下で、
それなりに元気を取り戻した。
うれしいことだ。
トレーダー・ジョー。
店頭のこのカボチャの、
プレゼンテーション。
ハロウィンはもう、
3週間先に近づいた。
1万平方フィートの小型店舗でも、
入り口で切り花や観葉植物を揃える。
アメリカ人の家庭では、
テーブルフラワーは必須アイテム。
入口の広い導入部。
天井に飾られているのは、
ハロウィンのモビール。
チーズ売場の棚の上部では、
可愛らしい人形の演出。
これらは店ごとに2人いる、
アーティストによって作られる。
ワイン売場。
PB「チャールズショー」の
大型パネルが目立つ。
そのチャールズショーは、
右半分のオーガニックワインが、
左のレギュラーワインと、
ほぼ同じ比率になった。
オーガニックが売れているのだ。
スプラウツファーマーズマーケット。
店舗の一番奥に広大な青果部門がある。
独特のレイアウト。
カラフルな青果売場に
引き込まれるように、
お客は誘導される。
そして壁面の見事な、
野菜のプレゼンテーション。
商品のカラーリングも、
陳列技術もすばらしい。
平和堂第16団団員には、
ぜひ学んでもらいたいものだ。
もう一つの核売場は、
店の中央でレジ前に広がるバルク売場。
スプラウツにも、
ボアーズヘッドのデリが、
揃えられている。
クローガーと同じで人気のブランド。
Fish Marketと
BUTCHER SHOP。
フィッシュがブルーで、
ミートが赤。
化粧品のコーナーには、
ナチュラルな素材の商品がそろう。
意外に充実している。
天井はスケルトンで、
採光窓があって、
ローコスト店舗だが、
実に快適な空間だ。
そしてアルディ。
ドイツ最大の単独会社。
1万平方フィート(281坪)の小型店。
リミテッドアソートメントの、
ハードディスカウンター。
95%がプライベートブランド。
しかし生鮮食品も充実してきた。
冷凍食品はドイツと同じ売り方。
平ケースの蓋つき。
レジはたいてい1台だけ開放しているが、
そのチェッカーは座って応対する。
ドイツでは当たり前だが、
アメリカでは珍しい。
しかしそれを貫くのもアルディだ。
アメリカでもアルディは、
揺るがぬポジショニングを有する。
今日の最後は、
トータルワイン。
全米20州に176店舗を展開。
世界中から仕入れた8000種のワイン。
そのほかにビールは2500種類、
スピリッツは3000種類。
ワインとビールの試飲コーナー、
ワインなどを学ぶセミナールームも併設。
ダラスのマーケットリーダーは、
ウォルマートやサムズ。
マーケットチャレンジャーはクローガー。
セーフウェイ傘下のトムサムや、
その親会社のアルバートソンは、
典型的なマーケットフォロワー。
そして多彩なマーケットニッチャー。
それがホールフーズであり、
トレーダー・ジョーであり、
スプラウツやアルディ、
さらにトータルワインである。
その競争の構図を学んだ1日だった。
日本の小売市場も、
テキサスのようになりつつある。
そのスピードが速まっている。
(つづきます)
〈結城義晴〉