テキサス州ダラスの朝。
いつもここに来る。
1963年11月22日。
ジョン・F・ケネディが暗殺された場所。
合掌して、フォートワースへ。
HEBプラス。
非食品を強化した、
ウォルマート対策店舗。
店舗横に「キューブサイド」。
近くオープンする。
ネットの注文品を受けとるための、
ピックアップストア。
一丁目一番地は、
今日のおすすめ青果。
寿司のコーナー「SUSHIYA」。
青果部門は、
腰高の白木什器で展開。
日本と同様、
青果部門の強い店が、
お客を引っ張る。
葉物は多段ケースに
クレートで陳列。
作業効率のいい方法だ。
生鮮部門の中央には、
クッキングコネクション。
人を配置して試食させるコーナー。
精肉売場の最高級プライムビーフ。
テキサスは、全米一の肉食文化。
だから最高品を扱う。
精肉の奥はミールフレッシュのコーナー。
PBのミールキットを提案する。
PBミールキットの「ハローフレッシュ」。
こちらは味付けされて、
焼くだけのステーキ。
アメリカも簡便即食がキーワード。
クオリティの高い商品を揃える一方で、
コモディティ商品は安売りする。
1ガロン1.48ドルの牛乳。
1リットル約40円。安い。
ペット売場が広い。
エンドはロープライスの
価格訴求商品が中心だ。
ハロウィンのコーナー。
HEBは毎年、
背の高いお化け風船を飾る。
広い売場でも目立つ。
真っ赤なレジ。
ウォルマートが青なら
HEBは補色の赤を採用する。
HEBの都市型スーパーマーケット、
セントラルマーケット。
青果部門から始まる。
導入部はプロモーション商品の量販。
ハーブも氷を敷いて、
鮮度感をアピール。
トマト畑は素晴らしい。
根菜類だけでもこれだけの品種を揃える。
そして青果部門の最後は、
リンゴのコーナー。
アメリカ人にとって、
リンゴは多様性のある食品だ。
だから品種を揃える。
もう一つの食事メニューは
バナナ。
今日が食べごろのバナナ、
1~2日後に食べごろのバナナ、
3~4日が過ぎたら
ちょうど食べごろのバナナ。
アメリカでは常道の売り方だ。
青果部門を過ぎると
右サイドにシーフードの対面コーナー。
氷を敷き詰めて、
泳いでいるように、
一定方向に並べる。
美しい。
シーフードに続いて、ミート売場。
加工食品は背の高い什器で展開する。
品ぞろえは豊富で、世界中から、
珍しい商品を集めてくる。
HEBの商品部とは異なる組織で、
このスペシャルな品ぞろえを構築する。
冷蔵ケースの上段に、
牛の人形が飾られている。
とてもしゃれた乳製品のコーナー。
ワンウェイで誘導された売場の最後は、
デリカテッセン。
インストアの惣菜が並ぶコーナー。
清潔感漂う真っ白な売場に改装された。
ダラス・フォートワース都市商圏は、
ウォルマートが30.1%のシェアを持つ。
クローガーが16.7%で2位。
HEBの本拠はテキサス州サンアントニオ。
有数のローカル&リージョナルチェーンだ。
このダラス・フォートワースでは、
店数も少なく、シェアは3.0%に過ぎない。
それでも、圧倒的な存在感を示している。
テキサスの最後に、
HEBの2つのフォーマットで締める。
最後はコンビニ、
クイックトリップ。
Fortune「働き甲斐のある企業」。
ダラスに本部を置くローカルコンビニ。
中央に99セントのホットドックグリル。
平和堂第16団の団員が群がって購買し、
それを撮影している。
ちょっと異様なほど。
セブン-イレブンがベンチマークする、
クイック・トリップを最後に、
ダラス・フォートワース空港から飛び立つ。
北アメリカ大陸は、
ずっと雲がかかっている。
3時間ほどでサンフランシスコが見えてきた。
夕暮れのベイエリア。
明るいうちにサンフランに着いて、
ちょっとほっとした。
夕食は久しぶりに和食を楽しんだ。
夜が明けて、
いよいよサンフランシスコ。
まずはターゲットを紹介しよう。
全米8位の小売業。
その売上高は718億7900万ドルで、
前年比3.4%の伸びを示す。
100円換算で7兆1879億円。
しかしサンフランシスコでは、
23店舗を配置して、
シェアは1.8%に過ぎない。
ターゲットを象徴するキャラクター犬。
天井を張った店内。
ウォルマートに対抗する、
ディスカウントストア。
アパレルがターゲットの強みだ。
入り口の一丁目一番地では、
普通のマネキンとふくよかなマネキン。
壁面の大型パネルの写真も、
普通の女性とふくよかな女性。
ターゲットの客層を見事に表現している。
さらにふっくらした体系のマネキン。
超リアルだが、ちょっとかわいい。
長い奥主通路。
天井の照明が床に映り込んで、
清潔感がある。
そして店舗の一番奥に、
シーゾナルコーナーがあって、
現在はハロウィンプロモーションの展開。
食品は加工食品や冷凍食品、飲料など、
コンビニエンスフード。
青果は最低限の品揃え。
それがディスカウントストアだ。
アパレルはコーナーごとに、
必ずマネキンをディスプレーする。
かわいいキッズのステージ陳列。
ドラッグストア部門は、
2015年にCVSヘルス社に売却した。
だからがCVSファーマシーが運営する。
ターゲットの新プロモーション什器。
赤いショッピングバッグを模している。
2年ほど前から登場した。
ターゲットは、
マーケットチャレンジャー。
ウォルマートに対抗し、
ウォルマートと異なるポジションをとる。
それが実によく表現され、
勉強になる。
アメリカに来たら、
どんな業態の人たちも、
ウォルマートとターゲットは、
基本中の基本として学ばねばならない。
昼食はインアウトバーガー。
きびきびした動きのスタッフたち。
いつ見ても、どこの店でも、
そのオペレーションはすばらしい。
店の外側はドライブスルー。
店員がタッチパネルを持って、
注文を受けているが、
このドライブスルーも大人気だ。
平和堂団員も1人ずつ並んでオーダー。
だから長蛇の列。
でき立てのハンバーガーと、
山盛りの揚げたてポテトのセット。
私はいつも、裏メニューの
プロテインバーガー。
バンズの代わりに、
レタスが巻かれている。
これがヘルシーで、
しかもおいしい。
このあとホールフーズ、
トレーダー・ジョー、
バークレーボウルから、
ナゲットマーケット、
ウィンコフーズまで、
サンフランシスコ都市圏で学ぶ。
1962年3月、大統領のケネディは、
「コンシューマー・ドクトリン」を発表。
第一に、安全である権利。
第二に、知らされる権利。
第三に、選択できる権利。
第四に、意見を聞き遂げられる権利。
この消費者の4つの権利が、
すべての店に貫かれている。
それがアメリカ小売業の素晴らしさだ。
(つづきます)
〈結城義晴〉