ものなべて
秋は心を痛ましむ
落葉の舞も
風の唱歌も
新潟日報「堀口大学文化の記憶」より。
若き日の短歌集「風と落葉」の中の一首。
「人は私を秋の詩人だという。
私は秋が好きだ」と
随筆に書いているように、
秋の詩人を自認していた。
私も秋が好きだ。
秋の詩人ではないけれど。
横浜商人舎オフィスに届いたのが、
「明治マーケティングレビュー」
季刊誌だが、私の連載タイトルは、
「小売業のスーパーマーケティング」
㈱商業界の社長を退任してから、
ずっと書かせてもらっている。
だからもう11年目が終わる。
朝からオフィスに出て、
午後、桜木町駅前。
雨模様だ。
その後、オフィスに戻って、
月刊商人舎11月号を責了。
雑誌には「編集後記」がある。
もう、雑誌にかかわって41年。
ずっと編集後記を書いてきた。
どんなメディアも、
意外に後記の読者は多い。
今月号の月刊商人舎の編集後記。
特別に、発行前に公開しようか。
【月刊『商人舎』11月号編集後記】
10月はドイツ、イタリア、イギリス、アメリカの南部と西部、そして中国の上海に16日間。その間に日本では歴史に残る3日間があった。本当に不思議なことだが、それらがすべて本号に集約された。行動することに、意味がある。どんな動きも無駄にはならない。(義)
なんでもかんでも「平成最後の・・・」と言われる風潮はいかがなものかと思う。というわけで、平成最後の「11月号」、お届けいたしまーす!!!(綾)
台風24号による塩害で、横浜の紅葉も色づく前に枯れ気味・・・。でも空は高いし、うろこ雲やいわし雲など楽しめて、今年の秋はいつもより長く感じる。(佳)
嗚呼、一時たりとも安穏としてはいられないのか。総合スーパー、スーパーマーケットで働く人々のご苦労が偲ばれる。だが、目まぐるしく進化する時代に翻弄されるのは彼らだけではない‼(磯)
社名が変更されても、いつまでも以前の名称で呼んでしまう。一つ前ならいざ知らず、二つ三つ前なんてこともあり、我ながら嫌になる。(倉)
岡田元也社長の「何のために存在するのか」。その一言は、等しく皆に向けられている。(亀)
――――ご愛読、感謝します。
いい雑誌となりました。
さて、商人舎流通SuperNews。
昨日はアメリカのニュースが多かった。
その中で2本の記事に注目。
ウォルマートnews|
従業員が清算機器をもって売場でチェックアウトする
ターゲットnews|
「スキップ・ザ・ライン」の携行チェックアウト機器導入
ウォルマートとターゲット。
11月から導入しているのが、
新しいチェックアウトシステム。
クレジットカードの利用客に対して、
精算機器を持った従業員が
売場でチェックアウトする。
ネーミングは、
「チェックアウト・ウィズ・ミー」。
ターゲットも真似をしたのか、
それとも偶然の同期か。
こちらのネーミングは、
「スキップ・ザ・ライン」
サンクスギビングデーに向けて、
さらにホリデーシーズンにおいて、
レジの待ち時間が少なくなる。
ウォルマートは、
私と一緒にチェックアウトしましょう。
ターゲットは、
列に並ぶのをスキップします。
この2社が始めたからには、
アメリカでこの年末商戦から、
ブームになるかもしれない。
さて今日はアメリカの中間選挙。
日経新聞電子版「経営者ブログ」
IIJ会長の鈴木幸一さん。
日本のインターネットサービスの草分け。
タイトルは、
「二極化をあおる危険」
「選挙に先立って、
さまざまな調査が公表されていて、
二極化が進む米国の
危機的な状況を示している」
「どの結果を見ても、
学歴、人種、所得格差等々、
米国の社会はますます二極化され、
分断社会になっている」
日本も少しずつ、
二極化された分断社会になってきた。
「ブルーカラー層が多い地域の
“忘れられた人々”を助けることを
主眼とする”米国第一主義”こそ、
トランプ大統領の選挙戦略」
“何とか”ファーストは、
危険だ。
「過激な言葉によって、
人種間、所得格差、学歴、
あるいは共和党と民主党という
党派間に至るまで、
激しい二極化を促す状況を
つくり上げているのは、
極めて危険な状況である」
「ポピュリストの台頭、
独裁者を生む土壌は、
極端な二極化が、
その第一歩である」
ラテンアメリカやアフリカで、
それは証明されている。
アドルフ・ヒトラーも、
そんな中から登場してきた。
「しかも、始まりは
民主主義の基本とされる
選挙で選ばれた扇動家が、
民主主義を崩壊させ、
独裁者となる例が多いのは、
よく知られた事実である」
ナチスも選挙で選ばれてきた。
そのヒトラーの言葉。
「大衆の多くは無知で愚かである」
「大衆は小さな嘘より、
大きな嘘の犠牲になりやすい」
「熱狂する大衆のみが操縦可能である」
「大衆は理性で判断するよりも、
感情や情緒で反応する」
トランプの集会を見ていると、
同じようなことを感じる。
「役に立つのは、
人を殴れる人間だけだ」
「女は弱い男を支配するよりも、
強い男に支配されたがる」
「私は間違っているが、
世間はもっと間違っている」
ああ、何ということだろう。
鈴木幸一さん。
「歴史的事実として、
多民族国家において、
すべての集団に対し、
社会的、経済的に
平等を実現したことはない」
そう、すべての集団に対して、
社会的・経済的平等は、
実現できないものなのだ。
「多民族国家でありながら、
民主主義を守ってきた米国は今や、
あらゆる面で二極化の道を歩み、
その溝を埋めようとする努力よりも、
過激な言葉によって、その溝を
ますます深くしている」
二極化の溝を埋める社会的努力こそ、
文明社会の必須条件だと思う。
「騒々しく、一方で、
どこかしら大衆に訴える力のある
トランプ大統領の発言を耳にするたびに、
危惧の念が膨らむばかりである」
ものなべて
秋は心を痛ましむ
落葉の舞も
風の唱歌も
ドナルド・トランプに、
秋を憂う心情のかけらでもあったなら。
そんなことを思う秋の日だ。
〈結城義晴〉