暦を振り返れば、
立冬。
二十四節気で、
秋分と冬至のちょうど真ん中。
朝日新聞巻頭コラム。
「天声人語」
「東京暮らしの肌感覚では
いままさに秋たけなわの候だが、
北国では一足早く
初冬へと移りつつある」
その通り。
京都新聞巻頭コラム「凡語」
寄せ鍋で顔寄せ箸寄せ心寄せ
ヤマキ㈱が公募した川柳の入賞作を紹介。
そして今日の「鍋の日」の心寄せを訴える。
「いい(11)な(7)べ」の語呂合わせ。
鍋でも楽しみたい気分になる。
東京新聞一面コラム「筆洗」
「不正はもうやっていない」
SUBARU(スバル)の不正検査問題。
2017年末以降、
不正な検査はしていないと説明していた。
しかし実は今年10月26日まで続いていた。
完成検査不正に関わるリコール対象車は、
10万台が53万台となり、
その費用は総額で319億円になる。
「過ちて改めざる、
是(これ)を過ちという」
孔子の「論語」にある言葉だ。
子曰、過而不改、是謂過矣。
筆洗のコラムニスト。
「再発防止に必要なのは
言葉ばかりの反省やおわびではない。
問題のある仕組み自体を
改めることだったのに、
それを忘れた」
そして山口誓子の俳句。
寒昴(かんすばる)天のいちばん上の座に
冬の夜空の昴は、
天の一番上の座にある。
「高い空にあった信頼の星は落ちた」
過ちて改めざる。
ああ。
月刊商人舎11月号を責了し、
印刷・製本に回して、
出来上がるのを待つだけ。
この待つ時間がいい。
今日は一日、横浜商人舎オフィス。
午前中に、丸山英之さん来社。
第一屋製パン㈱執行役員営業本部長。
㈱イトーヨーカ堂から森永製菓㈱を経て、
㈱ロック・フィールドで取締役。
そして第一屋製パンで営業を取り仕切る。
製パン業界の将来や、
イトーヨーカ堂のこと。
伊藤雅俊さんや故塙昭彦さんのこと。
いろいろ話した。
午後にはイオンリテール㈱の面々。
私の右が東昌世さん(人事部教育担当部長)
左は吉田元さん(人材育成グループマネージャー)
両サイドはイオンコンパス㈱の、
三好智さんと細川みゆきさん。
10月のフランクフルトとミラノの旅。
参加した東さんがとめどなく語り続けて、
その収穫と成果が明らかになった。
来年も、もっと大きな成果を上げたい。
西日本新聞コラム「春秋」
題だけなら日経新聞と同じだが、
中身は全く違う。
「江戸時代の武士の話法なら、
相手は”貴殿”で自分は”拙者”。
呼び掛けるときは”~さま””~どの”」。
幕末になると変化する。
「西郷くん」「坂本くん」。
長州で松下村塾を開いた、
吉田松陰が始めたという説あり。
「松陰は武士から農民まで
さまざまな立場の若者を塾に受け入れた」
だから「塾生が身分にとらわれず
対等に学べるよう、”君”や”僕”、
“~くん”という敬称を使わせた」
農民出身の伊藤博文も、
松陰の薫陶を受けた。
1890年に初代総理大臣として、
第1回帝国議会に臨んだ。
そして議員を、
「~くん」と呼ばせた。
以来、国会での議員の敬称は、
今も「くん」づけになった。
安倍晋三くん、麻生太郎くん。
しかし野田聖子さん。
「慣例にとらわれず、
委員を”~さん”で呼んだ」
女性初の衆院予算委員長。
理由は「一般社会では男女の別なく
“さん”付けだから」
コラムニストはこれを歓迎する。
「先達がいる。土井たか子さんだ。
女性初の衆院議長は”~さん”を使った」
その真意はガラスの天井に対する挑戦だ。
「女性が圧倒的に少ない
国会の現状を変えたい。
その思いは2人に共通しよう」
西日本新聞の九州は、
どちらかと言えば、
男尊女卑的な空気が残る土地柄だ。
だからこそ新聞は、
この「さん」づけを重く見る。
「松陰が身分の壁を払おうと
考えた”くん”が、
男女の格差をなくす”さん”に替わる
“敬称維新”が起きてもいい」
「敬称維新」によって、
松陰が目指した身分の壁が払われ、
真の公平な社会が生まれてほしいものだ。
そしてそれは男女の格差だけではなく、
本当のダイバーシティの実現につながる。
政府自民党や国会議員も、
「さん」づけには文句を言わず従っても、
水田水脈議員の発言は容認されている。
SUBARUと同じように言葉だけでは、
「過ちて改めざる」だ。
「敬称維新」のその先こそ重要だ。
〈結城義晴〉