月刊商人舎11月号。
その目次。
[Cover Message]
10月10日、イオンは傘下のスーパーマーケットと総合スーパーの国内経営統合指針を明らかにした。翌11日にはユニー・ファミリーマートホールディングスがドンキホーテホールディングスとのM&Aを公表した。すると続いて12日にはイオンと中四国の雄フジとの資本業務提携が発表された。日本小売産業が平成最後の再編に向かう。「Retail同盟戦線」異常あり!! 産業レベル、業態レベルで、寡占から三占、複占へと至る。これが本誌の見解でもあるが、それが総合スーパーとスーパーマーケットの両業態を舞台にして、具体化してきた。その背景には「食」を中心にした総合スーパーの雪崩的業態変質現象がある。それは日本だけのことではない。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、そして中国。グローバルな視野で、21世紀小売産業の「M&Aの真実」を見極めよう。果たしてこの「変容」は進化なのか。
そして今月の[Message of November]。
よく読んで、考えてください。
さてニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港。
万代ドライデイリー会米国勉強会。
最後の全員写真を撮って、解散。
私はデルタ航空で、
サンフランシスコに向かった。
6時間弱でベイエリアの上空。
一晩ゆっくり寝て、朝、
今度はサンフランシスコ国際空港へ。
万代知識商人大学第3期生を迎えた。
しかし西部カリフォルニア州では、
大がかりな山火事。
サンフランシスコ北方のビュート郡では、
死者が42人に上った。
カリフォルニア州史上最悪の火事である。
これまでの最悪のものは、
ロサンゼルス・グリフィスパーク火事。
1933年のことだった。
今回はそれを超えた。
この大火事の影響で、
サンフランシスコ地区には、
全体に煙と粉塵が舞っている。
しかしそれでも全員そろって、
リムジンバスに乗り込み、
向かうはウォルマート。
スーパーセンターは総合スーパー。
世界最強のフォーマット。
この陳列を見よ。
ローコストオペレーションで、
この美しい陳列。
それが現在のウォルマートだ。
バナナは青果部門の最後に、
ボリューム陳列。
店舗入口の左サイドには、
デリカテッセンの対面コーナー。
もともとはドイツ語のデリカテッセン。
アメリカでは略して「デリ」という。
そして対面販売で売る場合を、
「サービスデリ」と呼ぶ。
ミート部門に入ると、
通路真ん中の冷蔵平ケースのエンドに、
1ポンド(454グラム)98セントのターキー。
ロールバックで大展開。
ウォルマートの基本戦略は、
エブリデーロープライス。
1年間、特売価格を固定する作戦。
しかしさらに基本的に13週90日間、
超特売を打つ場合がある。
それが「ロールバック」。
もちろん例外的に、
4週間、6週間の場合もある。
サンクスギビングデーには、
すべてのアメリカ人がターキーを食べる。
だからこのエンドがある。
ウォルマートはしつこい。
次の平ケースのエンドにも、
同じように98セントのターキー。
振り向くと反対側のエンドには、
1ポンド68セントのターキー。
さらに1ドル68セント、1ドル98セントの商品も。
ウォルマートのゴンドラエンドは、
1SKU、2SKUが定石。
このエンドからゴンドラ全部が、
クリスマス商材。
主通路にはアクションアレーの島陳列。
班ごとに視察し、ディスカッションする。
非食品売場が全体の7割くらいのスペース。
玩具売場はホリデーシーズンに向けて、
派手なデコレーション。
そして広大なクリスマスショップ。
通常はホームセンター用品売場だが、
この時期はクリスマスショップに変わる。
屋外のガーデンセンターは、
子ども用自転車売場に変わる。
ファーマシーは調剤薬局。
スーパーセンターも、
ネイバーフッドマーケットも、
ウォルマートは調剤を常設している。
オンライン商品は、
屋外の「カーブサイド」で、
ピックアップすることができる。
チェックスタンドはレギュラーレジと、
このScan&Go。
セルフレジでありながら、
Scan&Goのアプリを、
スマホにダウンロードして、
自分でスキャンしながら買物すると、
簡単にレジ通過することができる。
ウォルマートは進化し続けている。
それにしつこいくらい売り込む。
それが印象に残った。
続いて、
ホールフーズ。
毎年、この店を訪れるが、
改装してより便利になった。
青果部門は言葉がないほど美しい。
Amazonロッカーが設置されている。
ホールフーズはバナナの売り方を、
さまざまに工夫する。
客数が減っても、美しさは変わらない。
バルク売場も壁面の美しさが際立つ。
サラダパックは、
商品の顔が前を向くような陳列。
ホールフーズの専売特許だ。
チーズ売場は、
対面とセルフで展開する。
チーズ売場はスペシャルティ部門。
そして奥壁面中央に、
「ランド&シー」部門。
つまり精肉と鮮魚。
シーフード部門の対面コーナー。
縦陳列でカラーコントロールが行き届く。
ミート部門も同様に、
縦陳列で見やすく選びやすい。
オーガニックミートを中心に、
ホールフーズにしかない品揃えだ。
通路上には平冷凍ケースで、
冷凍魚などが並ぶ。
乳製品はリーチインケース。
壁面の大胆なデザインで、
売場は快適そのもの。
ワイン売場も品ぞろえ充実。
その中にこのエンドのセラーがある。
中央にはホールボディ。
ヘルス&ビューティケアは雑貨。
店舗右翼は惣菜部門。
中央にセルフデリ、壁面は対面売場。
ベーカリーからピザ、寿司、ラーメン、
さらにサンドイッチまで。
オーダーメニューの対面コーナー。
そして最後はイートインコーナー。
グロサラントには、
こんな雰囲気の空間が必要だ。
そしてラガービールバー。
昨年8月にアマゾンに買収されたが、
ホールフーズは相変わらず、
孤高の存在感を発揮している。
最後はトレーダー・ジョー。
こちらは全米のどの店も、
必ず繁盛している。
全商品がセンターから供給される。
青果、鮮魚、精肉、乳製品。
冷凍食品、グロサリー。
店内装飾やPOPは、
全店に配置された、
プロのアーティストが担当する。
そしてデモンストレーションコーナー。
これも必ず人が入って、
新製品を中心に試食させる。
第一エンドには感謝祭アイテム。
新製品のエンドもあって、
今週のNewアイテムが紹介されている。
レジはあくまでフレンドリー。
これがトレーダー・ジョーの特長だ。
初日の視察はこの3店。
いずれも模倣困難性を備えた店だ。
大満足して、サンフランシスコへ。
ベイブリッジもライトアップされている。
フィッシャーマンズワーフへ。
ピア39のシーフードレストラン。
老舗のスイス・ルイス。
万代知識商人大学第3期生の級長。
日下幸生さんが冒頭のあいさつ。
万代ドライグロサリー部チーフバイヤー。
そして結城義晴の歓迎のあいさつ。
楽しむことも勉強だ。
お客さまを楽しませることが、
我々の仕事だから。
メニューはクラムチャウダーと、
ダンジネスクラブ。
サンフランシスコ特産のカニを、
一人一杯ずつ。
クリスマスイルミネーション。
フィッシャーマンズワーフの、
クリスマスツリーは今日、
セッティングされた。
サンフランシスコの最悪の火事。
このクリスマスツリー。
最悪の時にも、
おめでたいことはやってくる。
そしてウォルマートスーパーセンター、
ホールフーズとトレーダー・ジョー。
模倣困難な店々が、
人々の心と生活を支えている。
(つづきます)
〈結城義晴〉