静岡新聞巻頭コラム「大自在」
日本の近代産業の礎を築いた、
渋沢栄一翁の言葉を引用。
「四十、五十ははなたれ小僧、
六十、七十は働き盛り、
九十になって迎えが来たら
百まで待てと追い返せ」
まさに現在の「100年時代」を言い当てた。
コラムニスト。
「第二の人生を目前に控えるわが身も
渋沢流に倣えば、まだ
働き盛りということになる。
もうひと踏ん張りと覚悟せねば」
同感だ。
この人も同じ。
鈴木國朗さん。
㈱アイダスグループ代表取締役社長。
超一流の流通コンサルタント。
30数年来の親しい友人。
今日は月刊商人舎の新年号のために、
アイダスグループのオフィスを訪問。
2時間にわたって議論した。
もう、終わったというころ、
今年1年を振り返って、
Go! Go! ポーズ。
鈴木さん、乗ってこない。
でも、やっぱり、一緒に、
Go! Go! ポーズ。
この、ノリがいいのが、
鈴木國朗先生。
ありがとう。
互いに六十、七十は働き盛り、
九十になって迎えが来たら、
百まで待てと追い返そう。
さて、日本生産性本部の調査。
労働生産性の国際比較。
日経新聞が一部を報じたが、
OECDデータに基づいて、
1時間当たり労働生産性を算出。
就業1時間当たりの「付加価値」。
日本は47.5ドル。
購買力平価換算では4733円。
働き方改革によって、
労働時間短縮効果が出たのだろうか。
16年に比べると1.4%上昇。
アメリカは72.0ドル/7169円。
日本はその7割弱の水準。
順位はOECD加盟36カ国中20位。
さらに先進7カ国のなかでは最下位。
1970年以降、ずっと最下位が続いている。
一方、1人当たり年間労働生産性は、
日本は8万4027ドル/837万円。
OECD加盟36カ国中21位。
イギリス8万9674ドル/893万円、
カナダ9万3093ドル/927万円。
それらを下回って、
OECD加盟36カ国中21位。
さらに日本の製造業は9万9215ドルで、
OECD加盟主要31カ国中15位。
日本全体の指数よりも製造業は高いが、
それでも近年の為替レートの影響で、
ドルベースの水準が伸び悩んでいる。
2010年比で6.0%減。
小売業の生産性も、
抜本的に考えねばならない。
売上げを追いかけるだけでなく、
人時生産性の数値の改善を、
計画的に組み立て直さねばならない。
それは国別指標の競争において、
その順位を上げるという意味ではない。
楽しくなければ店ではない。
楽しくなければ仕事ではない。
楽しくなければ人生ではない。
52週MDの鈴木哲男さんが、
よく、使うフレーズだが、
鈴木國朗さんや結城義晴の望みでもある。
もっともっと楽しく仕事したい。
それが生産性の向上につながる。
この思考回路が構築できないか。
一方、一昨日の日経新聞「大機小機」
私の尊敬するコラムニスト墨田川さん。
「景気動向指数は教えてくれる」
「内閣府が毎月発表する景気動向指数は、
なかなか役に立つ統計である」
その理由を2点挙げてくれる。
第1に「景気のレベルの変化がわかる」。
「現在進行中の景気上昇局面については、
2012年11月から14年3月の間に
同指数が順調に上昇した」
しかしその後は一進一退。
最新時点(18年10月)のレベルは、
2015年を100として104.5。
2014年3月の105.6より低い。
「日本経済のレベルは4年半以上も
高まっていないことになる」
「景気動向指数をみると、
それがよく分かる」
景気動向指数の第2の良いところは、
「バイアスのない景気判断が得られる」
同指数の判断は自動化されている。
指数算出の方法がルール化され、
そのルールが公表されている。
「概して人間の判断には
バイアスがあるものだ」
政府の景気判断も民間エコノミストも。
しかし景気動向指数にはバイアスがない。
そのうえで、墨田川さんの見立て。
今回の景気上昇過程は2012年12月当初、
「改善を示している」だった。
しかし14年4月からは、
「足踏みを示している」となった。
その足踏みが16年9月まで続いた。
その後再び「改善」になって、
今年の9、10月は再度「足踏み」。
だから同判断文によれば、
12年12月から今年10月までの
71カ月にわたる景気上昇期間中、
31カ月は「足踏み状態」だったことになる。
1週間前の12月13日に、
内閣府の景気動向指数研究会が、
安倍内閣の今回の景気回復は、
高度経済成長期の「いざなぎ景気」を、
超えたと正式に認定した。
2012年12月を起点として、
昨2017年9月時点まで。
しかし、墨田川さんの見方では、
今回の景気上昇局面において、
上昇期間の「長さ」には、
それほど大きな価値はない。
大いに、同感。
内閣府研究会の長期景気回復宣伝は、
ちょっとフェイクっぽいということだ。
それよりも労働生産性を、
コツコツと改善する努力のほうが、
正しい方向だ。
四十、五十のはなたれ小僧も、
六十、七十の働き盛りも、
仕事を楽しみながら、
そのことにまい進したい。
〈結城義晴〉