遅き日のつもりて遠き昔かな
〈与謝蕪村〉
季語は「遅き日」。
日経新聞電子版の「経営者ブログ」
㈱IIJ会長の鈴木幸一さんが、
蕪村の名句を引用。
日々、日暮れの時刻が遅くなっていく。
それが積もりつもって、
遠い昔が思い出される。
今日は夕方から、
商人舎web会議。
商人舎には3つのサイトがある。
商人舎公式ホームページ、
これが結城義晴の毎日更新宣言ブログ。
さらに月刊商人舎Websiteと、
商人舎流通スーパーニュース。
それらを日々、改善改革する。
そのためにディスカッションする。
1時間半も会議をして、全員写真。
私の隣から、
Webコンサルタントの猪股信吾さん、
不動産コンサルタントの内田憲一郎さん、
㈱プラージュの岩田幸大さん。
そして商人舎編集スタッフの鈴木綾子。
みんな大活躍中です。
全員が持っているのは、
商人舎発刊の単行本。
明日、発刊。
鈴木哲男著『流通RE戦略』
REは「リ・エンジニアリング」の略。
ご期待ください。
明日、発刊です。
さて、イオンの第3四半期決算。
商人舎流通スーパーニュース。
イオンnews|
営業収益6兆3394億円・2%増/営業利益6%増
第3四半期として、
営業収益・営業利益・経常利益、
いずれも過去最高。
しかしイオンリテールも、
マックスバリュ各社も、
まだまだです。
さて昨日の日経新聞の記事。
「競合コンビニ、配送で協業」
本当に新しい時代がやってきた。
セブン‐イレブン・ジャパンと、
ファミリーマート、ローソンの3社。
「店舗に商品を荷下ろしする駐車場を、
共同で借りる取り組みを始める」
背景にあるのが2020年の東京五輪、
そしてパラリンピック。
その期間中は交通渋滞緩和のために、
路上駐車できる場所が制限される。
だから駐車場の確保が難しくなる。
そこで駐車場を共用する。
呉越同舟。
借りる際のルールづくりなどには、
経済産業省が支援する。
他のコンビニやスーパーマーケット、
ドラッグストアや外食店などにも、
この参加を呼びかける。
まず手始めは、千葉県JR津田沼駅前。
セブンとローソンの2社が、
配送トラックの駐車スペースを共用する。
続いてセブンとファミマ。
「別の場所で駐車場をシェアする方向で、
候補地の選定を進めている」
「まず首都圏を中心に共用し、
全国に広げる」
ビッグ3の国内店舗数は、
5万2000店弱。
「全国のコンビニの約9割を占める」
これを「三占」という。
私の造語。
「このうち駐車場がない店舗は、
都心部の駅前や繁華街を中心に
2~3割に上るとみられる」
駐車場のない店舗への配送は、
どの業態にとっても頭痛の種だ。
駐車可能な路上スペースを使う。
それがなければ民間の駐車場を借りる。
近接した店舗同士ならば、
共用するに越したことはない。
もちろん、
物流センターから店舗までの配送は、
従来通り各社がそれぞれ行う。
インフラは共有、
店舗では競争。
これからの競争の定石となるだろう。
経産省とコンビニ5社は共同で、
RFIDの開発実験を展開している。
Radio Frequency Identifier(無線自動識別)。
2025年までに約1000億個の全商品に、
電子タグを貼り付ける目標を掲げる。
キャッシャーレス・レジの実験だ。
日経新聞の結論。
「可能な範囲で組む動きは
今後も相次ぎそうだ」
経産省はコンビニの機能を、
妙に高く評価している。
スーパーマーケットはその分、
割を食っている気もする。
今日の日経ビジネスDigital。
「今日の名言」
今のオペレーションのままだと
お店が回せなくなる時期が
すぐそこまで迫っていると
考えています。
(竹増貞信㈱ローソン社長)
「2025年ごろが節目でしょうか。
24時間、1人で店舗を
回せる仕組みをつくりたい。
それくらいのイメージで進めないと、
環境の変化に追いつけないでしょう」
外食産業などで、
「ワンオペ」と略して使われる。
1人オペレーション。
しかしこれは本来、
コンビニエンスストアの原則から、
大きく外れることになる。
いや鈴木敏文セブン&アイ前会長が、
定めたコンビニの鉄則を破る。
日経新聞には同じ趣旨の記事がある。
「同業種、広がる共同物流」
「同業種のライバルが物流や配送で
連携する動きは活発だ」
⑴医薬品物流連合。
医薬品メーカーの3分の1が参加。
製薬10社程度を束ねるプラットフォーム。
日本通運が構築する。
⑵国内食品大手5社は、
全国規模の共同物流会社を設立する。
味の素やハウス食品グループ本社など。
⑶ビール大手4社は17年9月から、
北海道で製品の共同輸送を始めた。
アサヒビールやキリンビールなど。
⑷アパレルの2社。
ワールドとTSIホールディングスが、
18年9月に商品の共同配送を始めた。
同じ商業施設に出店している店舗が対象。
関東の1都6県の39カ所から開始する。
背景には深刻なドライバー不足がある。
こちらも呉越同舟。
「呉越同舟」とは一般に、
「仲の悪いもの同士が協力すること」
とされる。
しかし「孫子」の兵法では、
「宿敵同士でも、
乗り合わせた舟が大嵐に合えば、
協力することになる」
という意味だ。
したがって孫子は、
「仲の悪いもの同士を協力させるには
共通の目的を持たせる」とする。
これからは「呉越同舟の時代」
M&Aや経営統合、企業同盟にも、
この「呉越同舟の論理」は働いている。
積もりつもった「遠き昔」のことではない。
〈結城義晴〉