日経新聞が単独インタビュー。
カルロス・ゴーン容疑者。
日産自動車元会長。
〈徳間書店刊『ゴーン・ショック!』〉
勾留先の東京拘置所。
約20分間の英語でのやり取りは、
逮捕後初のマスコミ発言だった。
ちょっと意外な気がするが裁判所は、
家族や事件関係者の面会を禁じているが、
それ以外の一般の面会は禁止していない。
日経は本人の同意を得て面会した。
「なぜ勾留が続いているのか理解できない」
「証拠は日産がすべて持っている。
どうやって証拠隠滅できるのか」
「私は逃げない。
しっかりと(法廷で)自分を弁護する」
日産の社内調査に対しては、
「策略で反逆だ」
健康状態は、「大丈夫だ」
現在の自らの状況について、
「人生山あり谷ありだ」
同感。
一方、朝日新聞は、今日、
川野幸夫さんの単独インタビュー。
日本スーパーマーケット協会会長、
㈱ヤオコー会長。
消費増税の際に、
政府が進めるポイント還元策に対して、
川野さんは懸念を表明した。
「流通業界も消費者も混乱に陥る」
ポイント還元策に反対する姿勢は、
すでに明らかにされている。
「対象になる中小企業の範囲を
限定的にするよう経済産業省に求めていく」
この「ポイント還元策」は増税後9カ月間、
キャッシュレス決済で購買すると、
中小小売業の買物客には、
国の負担で還元される。
⑴独立系中小小売店では購入額の原則5%分
⑵コンビニ加盟などの中小小売店では2%分
だが大手小売業の直営店は還元策の対象外。
日本スーパーマーケット協会と、
日本チェーンストア協会、
日本チェーンドラッグストア協会。
3団体は昨年末、経産省に要望した。
「ポイント還元策の撤回」を含めた見直し。
特に「中小企業の線引き」を、
問題視する。
ここで基準になるのが、
中小企業基本法だ。
同法が小売業の中小企業を規定する。
「資本金の額又は出資の総額が5千万円以下
又は従業員50人以下」
経産省の現時点の説明。
「同法の定義を基本に、
ほかの要件を設けるかどうか検討中。
年度内の早い段階で決めたい」
同法の定義のままならば、
資本金5千万円以下の大企業が対象に入る。
ヨドバシカメラ、スギ薬局、
さらにファーストリテイリングのGUなど。
ポリティカル・マーチャントの川野さん。
「中小企業とは呼べないような企業まで
対象となり健全な競争環境が破壊される。
年間売上高を要件に加えるべきだ」
「個人的には」と断ったうえで、
「10億円以下での線引きが
現実に即していると思う」
さらに「価格競争が激しくなり、
結果的に中小の小売業者が
困ることになりかねない」
「混乱が商品を納入するメーカーを含む
サプライチェーン全体に広がる」
「メーカーに
価格を下げるよう求める圧力が
一部で出てくるだろう」
これはポリティカルな発言だ。
川野さんのヤオコーも対抗策を検討中。
5%の割り引きセールやポイント還元など。
結局は自社が原資を負担して、
こういった対抗策を実施することになる。
消費増税に絡んで、
さまざまな弥縫策が出される。
まさに弥縫策で、
ほころびだらけだ。
これでは公正な競争原理が働かず、
日本経済全体にとっても、
混乱は極まるばかりだ。
消費税10%への引き上げはいいと思う。
きっぱりと、それだけでいい。
消費増税を政治や選挙対策に、
利用すべきではない。
あくまでも、
全体最適を目指すべきだ。
さて今日は、東京・九段下。
ホテルグランドパレス。
第185回DMS定例会。
ドラッグストアMD研究会。
新春政策セミナー。
ドラッグストア業界の老舗の研究会。
冒頭に研究会会長の挨拶。
石田岳彦さん。
ウエルシア薬局㈱取締役副社長。
その後、特別講演。
まず、
結城義晴。
テーマは、
「流通業のすでに起こった未来」
それをドラッグストアに向けて語る。
ピーター・ドラッカーは言う。
「すでに起こった未来は、
体系的に見つけることができる」
アメリカのドラッグストアは、
2社によってリードされている。
すなわち「複占」状態だ。
ウォルグリーンブーツアライアンスと、
CVSヘルス。
ウォルグリーンはクローガーと、
ネットビジネスで協業し、
CVSヘルスはターゲットと同盟する。
さらにCVSケアマークは、
ウォルマートのPBMを担当する。
PBMは薬剤給付管理会社のこと。
アメリカでは巨大チェーンが、
業態ごとに複占となり、
その巨大チェーン同士が同盟を結ぶ。
もちろん、時間を経て、
この現象が起こってきた。
それを日本における、
「すでに起こった未来」と考えるか。
今、絶好調のドラッグストア業界だけに、
こういったものの見方に応じて、
さまざまな考察をしてくれるかどうか。
それでも私は「すでに起こった未来」を、
多角的に例証していった。
ご清聴を感謝したい。
私の後の講演は、
今西信幸さん。
チェーンドラッグストア協会事務総長。
そう、故宗像守さんの後任。
テーマは、
「ドラッグストア業界、
10兆円産業化への道」
さらに「ドラッグストアに期待される役割」
椎名敏也さんが講演。
㈱日本リテイル研究所代表。
椎名さんも宗像守さんの後任。
この後、AとBに分かれて、
分科会が開催され、
最後に意見交換会。
「宗像守お別れの会」は、
昨年7月31日に同じホテルで開催された。
私は自分の講演の始まりと終わりに、
宗像さんへの哀悼の意を表した。
合掌して、1日を終えた。
〈結城義晴〉