一月、往ぬる。
最後の日です。
株式会社商人舎を発足させて、
11年が過ぎようとしています。
明日から12年目。
おかげさまで、
ありがたいことです。
英語で”decade”。
10年ひと昔。
それを超えて、
20年を目指す。
2008年の正月から、
1000枚ほどの年賀状を出している。
今年2019年は12回目となる。
したがって1万2000枚ほど。
同じようにご返事もいただく。
こちらはちょっと少ないから、
1万枚弱になるか。
その12回のお年玉はがきの中で、
今年初めて2等が当たった。
当選番号は、下4桁が1763。
1万本に1本。
お目出度いというか、
運がないというか。
しかし、12年間にいただいた、
年賀はがきの枚数から考えると、
妥当な当選かもしれない。
それでも私は、
こんなところで運を使いたいとは、
全然、思わない。
しかし今年の2等賞。
送ってくださったのは、
磯田雅人さん。
㈱アドバンス代表取締役社長。
磯田さん、ありがとうございます。
商人舎や私よりも、
磯田さんとアドバンスに、
今年はいいことがあるに違いない。
日経新聞の最終面連載『私の履歴書』
2019年1月は、
石原邦夫さん。
東京海上日動火災保険相談役。
日本最大の保険業のトップ。
その人生はそれこそ、
カルロス・ゴーンほどではないけれど、
「山あり谷あり」
しかし成功物語であることは間違いない。
今日の最終回に、
その人生が凝縮した話が出てくる。
石原さんが北海道本部長になったとき、
ある代理店のトップに聞いてみた。
「どんな社員が頼りになりますか」
答えは、
「ともに泣き、
ともに笑ってくれる人」
石原さん。
「苦楽をともにしたもの同士の共感が
勇気を与えてくれた」
石原邦夫さんも、
フェルメールが好きで、
全作品を見て回った。
ヨハネス・フェルメール。
現存する作品は世界に三十数点。
それも各地の美術館に、
点在している。
だから朽木ゆり子さんが、
こんな本を書いている。
『フェルメール全点踏破の旅』
実にスリリングで面白い。
私も行く先々で、
時間を見つけてはフェルメールを観る。
ニューヨークのフリックコレクション。
「婦人と召使」
メトロポリタン美術館。
「水差しを持つ女」
そして「真珠の首飾りの少女」
ただし大塚国際美術館。
私はこんな作品も好きだ。
「デルフトの小路」
同じ趣味を持つけれど、
それでも石原さんの物語は、
保険業界の成功者のそれだった。
典型的な成功物語。
ピーター・ドラッカーの言葉。
「一人の力で成功することは
絶対にない。
一人の力が他人の協力を得たとき、
初めて事業は成功する」
ともに泣き、
ともに笑ってくれる人を、
いかにつくれるか。
お年玉年賀はがき2等では、
ともに笑ってくれはしない。
しかし事業の成功者の話をしていると、
説教臭くなってしまうのはなぜだろう。
ドラッカーの言葉まで、
説教じみて聞こえてくるから不思議だ。
フェルメールは、
たった一人で描き続けた。
そして43歳で亡くなった。
フェルメールは、
自己を探究し続けた。
組織人の石原邦夫さんは、だから、
フェルメールに魅せられるのだろう。
それが人間だ。
〈結城義晴〉