久しぶりに「ほぼ日」の巻頭言。
糸井重里の「今日のダーリン」
「努力できることが才能である」
「天才とは1%のひらめきと99%の努力」
「あんまり言われるものだから、
ひとつの普遍的な法則として
信じられかけています」
ここで糸井流の反発。
「努力というと、どうしても
“苦労”とか”つらい”という
イメージがつきまとうのですが、
苦しそうでもつらそうにでもなさそうに、
やるべきことをやっている人も
いるように思います」
それから糸井の真骨頂。
「精神や身体にかかっている
負荷は同じだとしても、
わざわざ”苦しいことつらいこと”
みたいに表さなくてもいいんじゃないの、
と、ぼくは考えています」
大賛成。
「努力は尊いという
信仰みたいになっちゃうと、
苦しいから価値がある
みたいなことにもなりがちです」
そうそう。
「苦しいから価値がある」ではなくて、
「価値があるものを生み出すから、
価値がある」
こんなに努力しているんだ、
と見せつけるような言い回しは多い。
そんなスタンドプレーのアピールこそ、
卑しい。
そこで糸井の提案。
「1%のひらめきを支える99%」を、
「努力」と言わない。
「“善き習慣”と名付けたら
いいのではないかと思うんですよ」
「つらいとか苦しいとか
ことさらに言うのでなく、
ある毅然とした緊張感を持って
やることをやっている、
ということこそが、
“善き習慣”というものであります」
そして、善き習慣は、
善き精神から生まれる。
「これは思うんですけどさ、
努力より強いです、たぶん」
「愚痴を言ったり、
文句を垂れたりしながらも、
毎朝顔を洗うように
続けていることこそが
“1%のひらめきを支える
99%の土台”でしょう」
「そして、これは、
たのしくだって、
できそうですよね」
善き習慣。
善き心。
これです。
さて今日は朝から、
イオンリテール㈱の吉田元さんが来社。
人材育成グループマネージャー。
両サイドはイオンコンパス㈱のお二人。
細川みゆきさん(右)と吉井美佑さん。
今年7月のアメリカ研修の打ち合わせ。
最新の情報を交換して、
より良い研修にします。
ありがとう。
夕方、大久保恒夫さん来社。
㈱リテイルサイエンス社長。
大久保さんの近著。
ビジネス社刊『AI流通革命3.0』
この本の出版記念パーティーを開催する。
日程が決まった。
4月4日木曜日の17時~20時。
東京・白金台の八芳園。
大まかな当日のスケジュール。
第1部は大久保さんの講演、
それからゲストとの対談など。
第2部が「AI流通革命3.0研究会」の発足。
ここでは先進企業の事例発表がある。
そして第3部が懇親会。
AI流通革命研究会事務局は村木明子さん。
㈱リテイルサイエンスのマネージャー。
私もいろいろと意見を言ったが、
詳細が決まったら事務局から発表される。
楽しみな出版記念パーティーと研究会だ。
大久保さんの来訪を挟んで、
大高愛一郎さんも来訪。
2008年2月、私は商人舎を発足させ、
それからコーネル・ジャパンをつくった。
私が副学長で、大高さんは事務局長。
わがパートナーにして同志。
その年の5月には、
増井德太郎さんとも一緒に、
ラスベガスに行って、
コーネル大学の教授陣と打ち合わせ。
増井さんは当時、
日本セルフ・サービス協会会長、
㈱紀ノ国屋社長だった。
コーネル大学からは、
エドワード・マクラフリン教授と、
ウィリアム・ドレイク教授(左)。
もう、11年前になる。
懐かしい。
私のつくったカリキュラムが、
コーネルの教授陣から評価され、
了承された。
そしてジャパンの履修生たちに、
コーネル修了証を発行してもらうことが、
正式に決まった。
私はそのことにこだわった。
大高さんはずっと私を支えてくれた。
2018年5月7日のブログにある。
大高さんに会うたびに、
その時のことを思い出す。
愛一郎さんの父上は、
ヨークベニマル社長の故大高善二郎さん。
日本のスーパーマーケットは、
ある種の踊り場にあった。
大高善二郎さんはいつも、
高い志を持って、
次の時代を見ていた。
「これまで私たちの国は、
トヨタやソニーによって
食わせてもらってきた。
これからは私たちが
国を食わせなければいけない」
私は、善二郎さんから、
たくさんのことを教わった。
「われわれのコストダウンの努力を、
率直に価格に反映させる。
その結果、去年の今月と比べて、
同じ商品を同じ量、買っていただいて、
1カ月に1万円分、お客様に還元できたら、
それがこの地域のお客様全員に、
1万円のベースアップをしたことになる」
この考え方はもちろん、
ヨークベニマルに引き継がれているが、
不思議なことに現在、イオンに近い。
ああ。
大高愛一郎さんはコーネル大学で、
Master of Management in Hospitalityを修了。
日本では「ホテルスクール」と呼ばれる。
あの星野リゾートの星野佳路さんと同窓。
その後、帰国して、
いくつかの会社で経験を積み、
現在はセブン&アイ・ホールディングスで、
デジタル戦略を担当。
そしてこの3月1日に転職する。
今年53歳にして、全くの新天地に臨む。
その心意気や、良し。
もちろん善き精神に、
善き習慣が宿っている。
心配ない。
健闘を祈りたい。
〈結城義晴〉