弥生三月は突然やってきます♬
1年先輩のよしあきら作詞・作曲。
メロディーはワルツ。
一月、往ぬる、
二月、逃げる。
そして三月、去る。
「この一瞬の積み重ねこそ
君という商人の全生涯」
商業界の倉本長治先生の言葉が胸に沁みる。
今日3月1日は、
「将棋界の一番長い日」
A級順位戦の最終日。
神様級のA級棋士10人が対戦して、
持ち時間8時間で5局。
深夜までかかって、
名人挑戦者1人と降級者2人が決まる。
AbemaTVがその5局を、
一つの画面に同時に映像化して、
解説の棋士たちが入れ代わり立ち代わり、
次々に局面を読み解いていく。
実にスリリングで面白い。
16歳の藤井聡太七段はまだ、
C級1組なのでA級までは、
最短でもあと3年かかる。
将棋界の一番長い日。
さらに今日3月1日から、
食品の値上げが相次ぐ。
理由はメーカー側の六重苦。
原材料の高騰や人件費の上昇などなど。
アイスクリームはロッテ、江崎グリコ、
森永乳業などが6%から12%の値上げ。
人気のさばの缶詰は、
マルハニチロと極洋が、
7%から10%の値上げ。
練り製品は日本水産と紀文食品が、
5%から15%の値上げ。
シマダヤは冷蔵うどんなどを3%から10%。
来月の4月1日からは、
牛乳やヨーグルトなどの乳製品で、
明治や森永乳業、雪印メグミルクなどが、
1%から8%の値上げ。
冷蔵の焼きそばやラーメンは、
東洋水産や日清食品チルドが、
3%から9%の値上げ。
味の素が食塩やコンソメを5%から11%、
公益財団法人の塩事業センターが、
家庭用の食塩などを6%から25%値上げ。
清涼飲料は2リットルペットボトルを、
コカ・コーラが1本20円値上げ、
サントリーやアサヒも同じく値上げ。
6月1日からは、
日清食品や東洋水産、明星食品などが、
即席カップめんや袋めんを3%から8%値上げ。
しかしこれらの値上げは、
やむを得ないところまで来ている。
そのうえで、10月1日から、
消費増税が始まることになっている。
しかもそれが軽減税率や、
ポイント還元など、
政府の弥縫策にまみれて、
目先の明細は施されているが、
市場の神様の眼はごまかされない。
市場の神様の眼は、
大群の消費者のマインドを動かし、
価格コンシャスを厳しくする。
つまり節約志向、セービング意識が、
ひどく強くなる。
スーパーマーケットをはじめ、
こういった時期にはまたぞろ、
ディスカウント大隆盛となる。
そしてエコノミーブランド型の、
プライベートブランドが、
伸びていく。
商人舎流通Supernews。
ヤマザワnews|
3/1から3カ月間、全65店舗で300品目の値下げを実施
(株)ヤマザワが今日3月1日から5月31日まで、
全65店舗で値下げキャンペーンを行う。
この食品値上げに対する措置だ。
山形県43店舗、宮城県22店舗の、
東北の雄のリージョナルチェーン。
対象商品は、
飲料、調味料、菓子、洗剤など300品目。
本音のところでいえば、
ちょっと心配だ。
顧客のための勇断であればいいが、
やむにやまれぬ売上げ稼ぎならば、
これは確実に失敗する。
発表したからには、
「顧客のため、顧客のため」と、
心底、全員がそう信じて、
やりぬいてほしいところだ。
古山利昭社長の踏ん張りどころだ。
頑張れ。
2015年3月の商人舎標語。
「この一瞬を積み重ねよう!」
朝に希望、
昼に努力、
夕に感謝。
週明けの朝の希望、
1週間の懸命の努力、
週末の夜の感謝。
こうして、
商売は続けられ、
マーチャントの活動は繰り返される。
1年は13週=四半期の4巡。
1年は12カ月。
1年は52週。
このマネジメント単位ごとに、
マーケティングが行われ、
マーチャンダイジングが展開される。
プロモーションが実践され、
オペレーションが稼働し、
マネジメントが全うされる。
ドラッカーは言う。
“As a rule, theory does not precede practice”
「原則として、理論が実践に先行することはない」
52週マーチャンダイジングも、
そのセオリーの本質を見極めた上で、
実践を理論に先行させねばならない。
ただし倉本長治は叫ぶ。
「この一瞬の積み重ねこそ、
君という商人の全生涯」
52週も7日間もエブリデーも、
この一瞬の積み重ねであることを、
絶対に忘れてはいけない。
顧客と向かい合う一瞬の重みこそが、
実践と理論との間に横たわる誤謬を
振り払ってくれる原動力となるからである。
〈月刊商人舎2015年3月号Message〉
昨日、このブログで書いたのが、
「困ったこと」
糸井重里さんの「ほぼ日」巻頭コラム。
「困ったこと」という考え方に立脚すると、
みんな同じ解決法になる。
値上げは困ったこと、
ならば値下げだ。
そうするとマーケットは、
レッド・オーシャンになる。
今日も糸井さんは、
「困ったこと」の続きを考察する。
とても重要なので、
今日も糸井の追っかけ。
糸井さんが例に出すのは、
任天堂の元代表取締役のお二人。
岩田聡さんと宮本茂さん。
スーパーマリオシリーズなどを世に出した。
「ほぼ日」で宮本茂さんと対談している。
「ひとりではつくれないもの。」
ホールフーズのかつての二人のようだ。
創業者のジョン・マッケイと、
ウォルター・ロブ。
元任天堂の岩田さんは問題解決の達人。
「直す=戻す」の後ろ向きの方法ではなく、
「新しい地平を切り拓くような方向」に進んだ。
岩田さんと宮本さんの問題解決の定義は、
「アイディアとは、いちどに
複数の問題を解決するもの」
糸井さんのたとえ話。
「一匹の迷える子羊を救うことができても、
残りの九十九匹に
危険が及ぶような解決だったとしたら、
それはアイディアとは呼べない」
「一匹を救うことが、
九十九匹を
元気づけるようなこと」
それをいつも考えていた。
そして岩田さんは問題解決型の人。
一方、宮本茂さんは、
新しい問題を「おたのしみ」として探し出す人。
「いままでになかったことを考えて、
世の中の価値を増やす」
庭いじりを始めたら「ピクミン」ができた。
似顔画に興味を持てば「Mii」が完成した。
犬をかわいがっていたら、
「ニンテンドッグス」ができた。
問題解決型の岩田さんは、
「宮本茂ファンクラブ」を自称していた。
「困ったことを直す」という発想だけでは、
いま、本当にあい路に陥る。
値上げも増税も、
新しい何かのヒント。
それを「楽しみ」にする人と、
その「楽しみ」を問題解決の実行に移す人。
いまこそ、二人三脚が必須の時だ。
真の相棒がいない人は悲惨だ。
では、三月、去る。
「今日も一日、慌てず、急げ。」
〈結城義晴〉