横浜も東京も春の雨模様。
春霖(しゅんりん)にはまだ早いか。
春霖は春の長雨といったり、
菜種梅雨と称したり。
春霖や雲の変幻自在なる
〈ホトトギスより 稲畑廣太郎〉
昼頃、いったん商人舎オフィスに出て、
それから新横浜へ。
こだまで熱海まで。
ここで伊豆急伊東線に乗り換える。
リゾート21 キンメ電車。
真っ赤な車体は、
このあたりの名物「金目鯛」を模した。
相模湾は雨に煙る。
伊東に到着すると篠突く雨。
タクシーで海岸通りを走る。
フードストアアオキ。
青木巌会長にもずいぶん会っていない。
榎本太治社長は元気だろうか。
すごい雨の中の夕方の営業。
ちょっと心配した。
タクシーで20分ほどで、
河津桜が咲く川奈ホテル。
雨は激しく降る。
シックなつくりのロビー。
この部屋も落ち着く。
児玉希望の1928年作『盛秋』
すぐに部屋に落ち着いて、
窓の外を見るとまだまだ雨足は強い。
商人舎流通Supernews。
何本か記事をチェックして、公開。
阪急オアシスnews|
カフェ&ビールバー導入の新町店(大阪市西区)3/14出店
取締役専務の松元努さんや、
取締役常務執行役員の志水孝行さんが、
苦労して、しかし楽しみながら、
つくった店なんだろうな。
そこがとてもいい。
それから、
セブン‐イレブンnews|
「7時から23時」の時短営業実験をFC店に拡大する
2月23日にこのブログで書いた。
セブン‐イレブン東大阪南上小阪店の
「あべこべの常識」
完全24時間営業をめぐって、
本部と加盟店が対立している。
オーナーの松本実敏さん(57歳)は、
午前1~6時の5時間、
店を閉めて営業休止中。
これに対して、セブン‐イレブン本部。
「決して24時間営業の原則を
変えるわけではない」
原則主義を貫く。
しかしそれでもこの事態は放置できない。
そこで本部直営の1都7県の10店で実験を始める。
3月中旬から順次、7時から23時まで。
バナーの通り「セブン-イレブン」
この直営10店舗の実験をFCでも始める。
日経新聞もこのニュースを報じている。
ずっと読んでいるとわかるが、
ちょっと本部寄りの記事だ。
本部が24時間の原則を変えない理由。
第1に「社会インフラ」として機能している。
しかし人手不足は逆に、
社会からの要請でもある。
19時間営業でも16時間営業でも、
立地によっては顧客は納得すると思う。
第2にセブンのチェーン運営の仕組みは、
24時間営業を前提に成り立ってきた。
こちらの事情が大きいのだろう。
弁当や惣菜の工場は24時間稼働。
そして深夜の配送もある。
日経によると、
「いきなり全店で見直せば崩壊する」と、
セブン-イレブン幹部。
それはそうだろうが、
加盟店は全店の見直しを求めてはいない。
ケースバイケースで対応できないのか。
日経記事の結論は、
「24時間営業の原則を堅持するか、
時代に応じて新たなモデルを模索するか。
大きな岐路に立っている」
しかし「原則」といえば、
朝7時から夜11時。
セブン-イレブンの名称が、
自らそれを証明している。
イヴァン・イリイチは、
「コンヴィヴィアリティ」と言っている。
「自立共生」と訳される。
『コンヴィヴィアリティのための道具』
オーストリア、ウィーン生まれの思想家。
(1926年~2002年)
「私の信じるところでは、
社会は、新しい生産システムの
全体的効率に対する、
自立的な個人と一次集団の貢献度を
より大きくするような方向で、
再建されねばならない」
「その新しい生産システムは、
そのシステム自身が定めた
人間的な必要をみたすように
作られているのだ」
「実際には、
産業主義的社会の諸制度は、
まさにその反対のことをしている」
セブン‐イレブンのシステムそのものに、
イリイチ的な考え方が求められている。
イリイチの言うとおりにせよ、
というのではない。
そんな考え方があることを知って、
新しいシステムをつくる方向で、
話し合い、討議してほしいと思うのだ。
鈴木敏文さんが作ったシステムも、
時代とともに新しいものが求められる。
川奈ホテルでのディナーが終わって、
深夜に温泉に入る。
雨はもう上がって、
星が見えた。
夜間のライトに照らされた、
河津桜が美しい。
ほんとうに正しく学んでほしいと思う。
そして自分で考え抜いてほしいとも思う。
〈結城義晴〉