結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年04月02日(火曜日)

万葉集の「人の心をたねとして」と「ただしさ・たのしさ」

俄然、万葉集が注目され始めた。

新しい元号。
令和。
万葉集から採用された。
巻五「梅花の歌」三十二首の序文。
「初春令月、気淑風和」

日本の古典といっても、
漢文だったわけで、
その意味では当時、
中国の影響がまだ非常に大きかった。

ただし万葉集の作品群は漢詩ではなく、
日本の和歌や長歌を万葉仮名で記した。

これは漢字の音(おん)を借用した仮名文字。
その万葉仮名を使って歌や文章を綴った。

万葉仮名は奈良時代の終わりには、
字形を崩して、画数も少ない文字となり、
平安時代にはその傾向が強まって、
やがて平仮名となり、片仮名となった。

現在の中国の「簡体字」も、
同じ道を歩んでいることになる。
もっとも中国は表意文字の簡体字化だが。

ちなみに万葉集は奈良時代のもの。
現存する日本最古の歌集で、
約4500首がおさめられている。
上は天皇や貴族から、
下は貧しい農民や防人の歌まで含まれる。

「古今和歌集」は平安時代のもので、
日本最初の「勅撰和歌集」。
醍醐天皇の命を受けて、
紀貫之らが編纂した約1100首。

さらに「新古今和歌集」は、
鎌倉時代に編纂されたのもので、
後鳥羽上皇の命令で、
約2000首が集められた勅撰和歌集。
これには藤原定家らが携わった。

鎌倉時代の古典学者僧・仙覚は、
優れた万葉集の研究者だが、
「万葉集注釈」(仙覚抄)という研究書の中で、
「古今和歌集」の序文に次の歌があり、
それが「万葉集」のネーミングになった、
と説明する。

やまとうたは
人の心をたねとして
よろづのことのはとぞ
なれりける

「よろづのことのは」は、
「万の言の葉」。

だから「万葉」の集。

これが正しいか否かは不明だが、
なかなか、いいし、
これを信じたくなる。

「人の心をたねとして」がいい。

このコンセプトは「令和」の時代を通じて、
考え方の基本にしたい。

考案者はどうやら中西進先生で、
昨日、このブログで書いたとおりだった。

「万葉集」の万葉学者といえば、
中西進。

多くの人が、ピンとくる。
91HguMaLVqL中西進

歌人ならば、基本は万葉集。

だから正岡子規も、
「萬葉集を讀む」という文章を書いている。
111010944160001
子規は「古今和歌集」を批判し、
万葉集の復活を提案している。

斎藤茂吉は「万葉秀歌」で、
好きな歌を約400首、選んでいる。
316T6HAJ0TL._SX285_BO1,204,203,200_
柿本人麻呂の歌が多い。
茂吉は人麻呂が好きだったのだろう。

今年1月12日に亡くなられた梅原猛さん。
「水底の歌」は今年、
ベストセラーになるかもしれない。
61EIYZpYalL._SX349_BO1,204,203,200_ 51AVH49B4EL._SX327_BO1,204,203,200_

佐佐木幸綱さんも書いている。
200701000095万葉集佐々木幸綱

これから令和の時代には、
ずっとこんな本を携えて、
「人々が美しく心を寄せ合う」社会を、
目指したい。

言葉だけでなく、
「人の心をたねとして」。

パソコンやスマホならば、
子規や茂吉は「青空文庫」で、
読むこともできる。

今日は一日、横浜商人舎オフィスで、
原稿書きと入稿、校正。
IMG_45499

しかし商人は素早い。

今日の商人舎流通スーパーニュース。
イオンリテールnews|
近畿カンパニーで新元号「令和」決定祝賀記念セール開催
aeon_20190402_01
近畿カンパニーの90店。
「祝! 新元号決定セール」を、
今週金曜日の5日から、
来週火曜日の9日まで、
5日間展開する。

近畿カンパニー支社長は今、
土谷美津子さん。
取締役執行役員副社長で、
ビオセボン・ジャポンを創業した人。

いいねえ。

何でも一番最初というのは、
ウォルマートと同じだ。

ウォルマートは、
どんなプロモーションに対しても、
「早仕掛け・早仕舞い・際の勝負」

最後に今日の「折々のことば」
第1421回。

「地域での活動の入り口には、
“正しさ”ではなく、
“楽しさ”が必要なのです」
(コミュニティデザイナー山崎亮)

編著者の鷲田清一さん。
「週刊医学界新聞」まで読んでいる。
すごい。

「地域包括ケアにおいては、
職業意識で動く医療職と
余暇を割いて動く住民との間に
ずれがある」

「さほど関心がない住民にも
参加してもらうには、
合理的理由より先にまずは
“面白そう”と感じてもらわねば」

商売も全く一緒。
「ただしさ」よりも、
「たのしさ」だ。

けれども最後には、
「ただしさ」が必須となる。

「令和セール」も楽しさを演出したい。

その意味で、
勅撰和歌集の古今集や新古今集よりも、
万葉集は断然、人の情に満ちている。
「たのしさ」「かなしさ」が、
あふれている。

〈結城義晴〉

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.