月刊商人舎4月号。
特集は、
「値段下げずに売る商売」
令和元年が5月から始まる。
万葉集から採用された元号。
だから特集タイトルも、
七五調でつくってみた。
この特集の根拠は、
昨今の消費マーケットの動静にある。
それを一言で称すれば、
「転変時代の漸変消費」
転変は「てんぺん」、
漸変は「ぜんぺん」。
転変はくるくると変わること、
漸変はゆっくりとしか変わらないこと。
その真意は、雑誌を読んでいただきたい。
ケーススタディは、
ヤオコー久喜菖蒲店、
サミットストア鍋屋横丁店、
阪急オアシス新町店。
さらに、イオンスタイル上麻生、
イオンリテール南関東カンパニー。
いずれもアップスケール型店舗。
特集の趣旨に沿っていた。
私の記事では、
万代神戸北店と、
ロピア・ノースポート店も、
紹介した。
そして今月のMessage。
ワンプライスに命をかけよ!
価格はたった一つ。
それがワンプライス商法。
同じ一つの商品に対して、
値段を上げたり下げたりしない。
より良い商品を探し出し、つくりだして、
そのうえで徹底的に無駄を省いて、
初めからぎりぎりの価格を出す。
真っ正直商売、最高のインテグリティ。
アメリカのトレーダー・ジョー。
日米のコストコ・ホールセール。
そしてウォルマート。
日本のセブン-イレブン。
成功している商売は例外なく、
ワンプライスに命をかける。
初めから終わりまで、
一物一価を貫徹する。
一番古く、歴史に残るのは三井高利。
1673年に開業した江戸時代の「越後屋」。
「一銭にても空値申上げず候間、
御値切り遊ばされても負けは御座なく候」
そしてジョン・ワナメーカー。
1886年、米国フィラデルフィアの百貨店。
ワンプライスと返品保証を謳って、
絶大なる人気を誇った。
戦後の日本では、倉本長治らによって、
「正札販売運動」が展開された。
イオンの前身「岡田屋」の岡田卓也も、
正札販売にのめりこんでいった。
平成から令和に変わる日本の今。
ある種のお祭り騒ぎの一方で、
小売業の六重苦に追い打ちをかけるように
NB値上げと消費増税・軽減税率導入。
その2019年春、「値下げ」商略が登場する。
他に手立てがないから値下げする者。
今になって、慌てて安売りする者。
売上至上主義に陥る者。
それらは絶対に衰える、滅びる。
マーケットがシュリンクする日本で、
それは自らの未来の、
先食いに他ならないからだ。
価格はたった一つ。
他にない、より良い商品を生み出して、
そのワンプライスに命をかける。
自らの命をかけぬ者に客の命は守れない。
〈結城義晴〉
一昨日からシェラトン都ホテル大阪。
昼頃、新幹線で帰浜。
滋賀の米原では伊吹山。
静岡の富士は、
裾野だけちょっと見えた。
そして神奈川に入ると、
丹沢山系が現れる。
最高峰の蛭ケ岳には雪が残る。
東海道新幹線、今年、何度、
行ったり来たりしているだろう。
それでも毎回、楽しめる。
さて、商人舎流通Supernews。
2019年2月期決算発表記事。
続々と登場するが、その記事は、
流通スーパーニュースのタイトルの下の、
バーの左から4番目の[決算]を、
マウスや指でクリックすると、
ずらりと並んで出てくる。
今日の決算記事。
イオンnews|
年商・経常利益過去最高を更新/純利益は3.6%減
ライフnews|
連結収益6987億円3%・経常2%の増収増益/小売収益は過去最高
アークスnews|
年商5122億円0.3%減、地震被害響くも経常利益0.2%増
ローソンnews|
7006億円6.6%増・経常11.4%減/成城石井好調
こちらは上半期決算。
ファーストリテイリングnews|
上期売上高6.8%・営業利益1.4%増の過去最高
昨日の決算記事。
ユニー・ファミマnews|
営業収益6172億円/ユニーの全株売却で減収
良品計画news|
営業収益4097億円8%増過去最高/ネット売上高10%増
私がソウルにいた一昨日。
イズミnews|
年商7321億円0.3%増・経常利益8.1%減の増収減益
U.S.M.H news|
年商6943億円0.3%増・経常利益13.6%減の増収減益
ニトリnews|
売上高6081億円6.3%・経常利益8.6%の増収増益
エコスnews|
年商1211億円3.2%増・経常利益5.7%増の好調決算
先週の記事。
フジnews|
営業収益3123億円1.3%・経常利益3.4%の減収減益
サンエーnews|
営業収益1898億円2.1%増、人件費アップで減益
平和堂news|
営業収益4376億円0.1%減・経常利益1.9%減で減収減益
セブン&アイnews|
年商6.8兆円12.5%増、営業収益・利益ともに過去最高
イオンもセブン&アイも、
良品計画もニトリも、
ライフコーポレーションも、
過去最高。
しかしイオンは期初計画には満たず。
セブン&アイも米国セブン-イレブン頼み。
イズミ、サンエーといった優秀企業も、
増収だが、減益となった。
今日の記者会見で、
ライフ社長の岩崎高治さん。
増収増益で満足げで、
「人、店、商品への
積極投資を3本柱に掲げ、
減益覚悟の18年度だったが、
うまく着地できた」
しかし、
「第4四半期は極めて厳しく、
減収に陥った」とか。
この岩崎さんの認識は、
私の「転変時代の漸変消費」の分析と、
シンクロしている。
消費と小売りの現場では、
10月の消費増税でまた落ち込むのか、
といった観測が出始めた。
令和元年は厳しい8カ月になる。
そんな時こそ、
命をかけるひとつのものを、
明らかにしなければならない。
〈結城義晴〉