パリのノートルダム大聖堂。
信じられない火災。
心が痛む。
ケルンの大聖堂、
ミラノのドゥオーモ。
そしてノートルダム寺院。
日本でいえば、
法隆寺か清水寺か。
金閣寺か銀閣寺か。
そんな世界遺産が燃えてしまった。
信じられないことだ。
初めてパリを訪れた1992年、
私はやはり必須のスポットとして、
ノートルダム大聖堂の尖塔に登った。
もちろんルーブル美術館も、
凱旋門やエッフェル塔も、
他の名所も体験した。
しかしノートルダムは、
なんといってもパリの象徴である。
すぐに修復の話が持ち上がっているが、
元通りにはならない。
歴史を取り戻すことはできない。
言葉がない。
さて、日経新聞の記事。
「10連休、景気かく乱も」
「日経らしくない」と称される、
中村結記者の執筆。
皇位継承に伴う10連休まで2週間。
この記事の趣旨は、
「長い休みは
景気のかく乱要因になる」
まず連休中の個人消費。
世界最大の旅行代理店JTBの予測。
国内外への旅行者数は2467万人。
前年比1.2%増。
そのうち海外旅行は、
前年比6.9%増。
その海外旅行の総消費額は、
前年比8.6%増。
つまり旅行消費は増える。
これもGDP(国内総生産)には貢献する。
ただし、日本の小売りサービス業は、
それほど変わらない。
民間エコノミストの予測。
「連休中の消費は景気を押し上げる」
これも妥当な見方だ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の試算。
前年比9265億円分の上乗せが期待できる。
もちろん10連休中の旅行費や飲食費。
1兆円近い上乗せだ。
2018年の個人消費総額は、
GDPベースで見て名目で約305兆円。
その18年の名目成長率は0.7%だった。
だから連休のわずか10日間で、
「1兆円近くの押し上げ」は大きい。
しかし中村記者の判断。
「この押し上げ効果がそのまま
景気回復を後押しするとの見方は少ない」
その理由は「反動減」
1兆円の上積みの反動が来る。
内閣府の3月の景気ウオッチャー調査。
「連休後を心配する声」が多い。
2019年の春季労使交渉。
「企業の賃上げ幅は
18年に比べて小さかった」
第一生命経済研究所の指摘。
「連休後は一気に節約モードに
シフトする可能性がある」
しかし連休後の5月20日には、
内閣府から1~3月期のGDPが公表される。
日本経済研究センターの最新調査。
「1~3月期の実質成長率見通しの平均は、
前期比の年率換算でマイナス0.06%」
中村記者の結論。
「わずかでも
2四半期ぶりのマイナス成長に陥れば、
うたげの後の消費者心理は
さらに曇る」
宴のあとの消費者心理。
反動減の上にさらに曇る。
これも「転変時代の漸変消費」である。
ああ。
最悪を覚悟して、
最善を尽くす。
これしかありません。
ただひたすら、
自分のお客様を見て、
自分のお客様に尽くす。
消費全体や景気動向は、
10連休がかく乱要因になろうとも、
自分のカスタマーの生活に密着する。
そしてそのカスタマーを、
ひとりずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ、
増やしていく。
そうする限り、
悲観することはない。
「利は内にあり」
ただし、余裕はない。
利益は確実に減ずるだろう。
川野幸夫ヤオコー会長、語るごとし。
「これからは体力勝負となる」
規模の問題ではない。
そこで「体力」の定義。
「ストレスに耐えて、
生を維持していくからだの防衛能力と、
積極的に仕事をしていく
からだの行動力をいう」
(猪飼道夫等編「体育科学辞典」より)
文部科学省も「体力」を、
二つに分けて定義する。
第1は「運動をするための体力」
第2は「健康に生活するための体力」
前者を「行動体力」といい、
後者を「防衛体力」と呼ぶ。
どちらも必要だが、
10連休の準備とその期間中は、
小売業には「行動体力」が必要で、
10連休の反動の時期には、
「防衛体力」が求められる。
〈結城義晴〉