[Message of May]
もっとお客に近づこう!
“Staying Close”――
「いつもお客さまのそばにいて、
お役に立ちます」
古くからのウォルグリーンのクレド。
ウォルグリーンは米国ドラッグストア。
「ネイバーフッドマーケティングとは、
お客さまの喜びに参加して、
その一部を分けていただくことです」
戦前のジョー・アルバートソンの言葉。
米国アルバートソンズの創始者。
マス・マーケティングから、
STPマーケティングへ。
そしてone to one Marketingへ。
どんどん、顧客に近づいていく。
それは我々の想像を超えて
スピードアップしてくる。
リージョナルから、
コミュニティへ、
ネイバーフッドへ。
さらにラストワンマイルへ。
そして最後にホームへ。
どんどんお客に近づいてゆく。
限りなくお客のそばに寄り添っていく。
商品そのものやサービスの中身よりも、
お客に近づくことのほうが重要になる。
とりわけコモディティの提供において。
生活が向上し、
消費が成熟してくると皮肉なことに、
コモディティ領域は拡大してきて、
ラストワンマイルからホームへが、
最も重要なカギを握ることになる。
しかしそのときにも、
顧客のそばにいるという姿勢と、
顧客の喜びに参加して、
その一部を分けてもらうという意識は、
永遠に変わることはない。
ラストワンマイル戦略こそ、
ネイバーフッドマーケティングである。
だから、もっとお客に近づこう。
お客のそばに寄り添おう。
お客の喜びを分けてもらおう。〈結城義晴〉
さてラスベガスのベーシック研修。
昨日の3日目の夕方からは、
調理・大試食大会。
その模様は後日のブログで。
そして今日の4日目は朝8時から、
バリーズホテルのいつもの会議室で、
結城義晴のセミナー。
セミナーの前に、
30分間の理解度テストを実施。
これは商人舎だけの特別カリキュラム。
研修の成果は格段に上がる。
参加者自身の理解度を確認するテストだ。
3つの設問、30分で回答する。
ただし、記述式。
2回の座学セミナーで学んだこと、
バスの中での講義、
そして視察店舗を事例にしながら、
記述してもらう。
皆、よく書いてくれている。
まるで大学や大学院の筆記試験のように、
みんな大量に記述してくる。
私と事務局がその内容をしっかり読んで、
優秀者を表彰する。
テストが終わると今日のスケジュール。
亀谷しづえが案内。
商人舎ゼネラルマネジャー。
その後、結城義晴の2時間セミナー。
成田から数えて4度目の講義。
ベーシックコースといっても、
やや高度な内容となる。
クリティカル・マス、
範囲の経済、
そしてポジショニング戦略体系。
さらにプライベートブランド論、
米国オーガニック産業の本質。
アメリカ流通業の視察が進んだ段階で、
高度な内容を語ると、
さらに理解が深まる。
講義が終わると、9つのチームごとに、
2日目、3日目に店頭調査した、
商品の分析とPFグラフを作成する。
PFとはプライスとフェーシングの意味。
商品の価格を横軸に、
陳列フェーシング数を縦軸にとって、
各社の価格政策をグラフ化する。
そして各社の折れ線の形状や、
価格帯などを比較する。
容量が異なれば、
電卓で一定の単位に換算する。
各社の商品戦略が、
グラフ化することで見えてくる。
明日の5日目の朝、
9チームごとに、
調査結果と分析を発表してもらう。
それを評価して、上位3チームを表彰する。
皆、真剣に議論しあう。
午前のすべてのプログラムを終了して、
専用バスで最後の視察先へ。
初めにダウンタウン・サマリンへ。
新しい郊外住宅地にある商業施設。
ライフスタイルセンターとパワーセンター。
この新しいショッピングセンターが、
見事にコンビネーションされた商業施設。
その中にあるシェイクシャック。
ここで昼食。
一人ひとりが、
好きなハンバーガーをオーダーする。
オーダーされた商品は、
すぐに厨房で調理される。
事務局がサポートするが、
必ず、自分で注文する。
これも勉強となるからだ。
私はいつものメニュー。
「シャックスタック(Shack Stack)」。
チーズバーガーにシュルームバーガーを、
コンビネーションしたアイテム。
マッシュルームを揚げたのが「シュルーム」。
そしてアイスコーヒー。
ロピアの若手と一緒に満足の写真。
ライフスタイルセンターの核店舗は、
百貨店のメイシーズとディラード。
一方、パワーセンターの核を担うのが、
ノードストローム・ラックなど。
ノードストローム百貨店で、
売れ残ったブランド商品などを、
ディスカウントして販売する。
アパレルやバッグ、アクセサリーなど、
一流ブランド品が安く手に入る。
しかし探し出さなければならない。
ダウンタウン・サマリンで大人気なのは、
トレーダー・ジョーだ。
日曜の母の日を前に、
プロモーションを展開中。
ここで、立教大学院の愛弟子にばったり。
㈱USEI社長の朝川康誠君。
USEIでは毎年この時期に、
ラスベガスの自主社内研修を行っている。
朝川君は一度、
自ら商人舎ベーシックに参加して、
それを自社用にアレンジして、
研修に使っている。
成果が上がっている。
われわれはマーク店長にインタビュー。
トレーダー・ジョーに、
25年務めるベテラン。
自分の会社の良さを、
詳細に自慢げに話してくれた。
団員からはたくさんの質問が出た。
「なぜ入り口を入ってすぐの多段ケースに
青果ではなく、肉とチーズを配置したのか?」
的確な質問をしたのは、
㈱ユニバースの横田悟さん。
店舗運営部エリアマネジャー。
確かに、入り口の花売場に続く多段冷蔵ケースは、
最初にミートがコーナー化されている。
マーク店長は自分の経験と市場分析から、
この店にはこれがいいと判断している。
トレーダー・ジョーでは、
それも許されている。
女性陣からも質問が飛ぶ。
トレーダー・ジョーのファンは、
日本にも多い。
視察する場合にも皆、
喜んで買物をする。
つまり、すぐにファンになる。
マーク店長は語った。
「うちのクルーはすぐに、
カスタマーの名前を覚える」
「もっとお客に近づこう!!」
トレーダー・ジョーは小型リアル店舗だ。
その実店舗の現場で顧客に近づく。
それが何よりも強い。
マーク店長のご協力に感謝。
全員でマーク店長を囲んで記念撮影。
最後の日のもう一つの視察先は、
ラスベガス・プレミアム・アウトレット。
正面入り口に、
シェイクシャックがオープン。
この店も人気が出そうだ。
オープンエアのアウトレットモールで、
有名ブランドショップが、
150を超えて軒を連ねる。
団員たちにとっては理解度テストも終え、
買物を楽しむ余裕もできた。
中央部分には、
広いフードコートがあって、
観光客も多い。
こうして4日目の視察を終了。
あとは最終日の発表を残すだけ。
私はホテルに戻ってからすぐに、
ミラージュホテルへ。
シルクド・ソレイユの「The Beatles LOVE」。
現在、ラスベガスでは、
シルクド・ソレイユが6つのショーを展開中。
その中の「LOVE」は、
ビートルズの物語。
バックには楽曲が流れ続ける。
写真撮影が不可なので、
具体的に報告はできない。
しかしジョン・レノンの幼少期から、
4人のビートルの解散までの足跡が、
楽曲とともにサーカスとダンスで描かれ、
もう、何とも言えない感動だった。
大学に入って最初につくったバンドは、
「Himagine」という名だった。
ビートルズの「Something」を、
一番初めにコピーした。
そのSomethingももちろん、
印象的なパフォーマンスで使われた。
全体にアルバム「Abbey Road」から、
多くの楽曲が使われたと思う。
私にはそれが良かった。
フィナーレは、
ヘイ・ジュードから、
All you need is loveまで。
ショーの終了後は、
「The End」の歌詞が映し出される。
And in the end, the love you take
Is equal to the love you make.
「結局、あなたが得る愛は、
あなたが与える愛に等しい」
結局、あなたが顧客から得るものは、
あなたが顧客に与えるものに等しい。
だから、もっとお客に近づこう!
(つづきます)
〈結城義晴〉