私の部屋から見えるラスベガス。
月刊商人舎2018年9月号。
2018US-Retail視察ガイドブック
商人舎編 注目都市圏 「アメリカの歩き方」
その「Las Vegasガイドブック」より。
「ラスベガスの変容の歴史を、
ネバダ大学ライト教授は
両手の指を使って表現する」
「1930年代にはラスベガスは
親指1本の街だった。
つまり男一人が
カジノを楽しむためにやってきた。
ギャンブリングの時代である」
「次に親指と人差し指の2本の時代に入る。
マフィアが一掃され、
カップルでやってくる街に変わった。
このころはゲーミングの時代となった」
「そして1990年代以降は、
小指を除いた4本指の時代。
つまりファミリーで楽しむ街になった。
エンターテインメントの時代である」
「そして最後は両手の指10本の時代。
会議や展示会を目的に
多数の団体客がラスベガスにやってくる。
コンベンションの時代だ」
「大事なことは、
ギャンブリング、ゲーミング、
エンターテインメント、
コンベンションと、
機能が付け加えられつつ、
それらの要素が融合してきたことだ。
次々に機能が変わってきたわけではない。
この融合こそが、
ラスベガスという街を象徴している」
その結果、人口が増え、
郊外の開発が進み、
小売業やサービス業が発展する。
「10分も走れば郊外に出るし、
30分も走れば砂漠や周辺の山に至る。
ラスベガスは意外にコンパクトな街で、
車で動きやすい」
「アメリカ小売業の
主だった店舗を学ぶには、
最適の地なのだ」
商人舎ベーシックコース
inラスベガス。
3日目の視察の後は、大試食大会。
場所はミスター・ママズ。
朝食と昼食だけのレストランで、
空いている夕方に、
特別に使わせてもらっている。
スタッフ総出で迎えてくれる。
ありがたい。
店に到着すると早速、
団員45人がチームごとに、
厨房組とフロア組に分かれて作業開始。
今回は、商品調査班として、
9つに分けたAからIまでの班を、
AB、CDというように、
2班ずつ組み合わせて、
1つのチームに編成した。
結果、10人3チームと、
15人1チームができあがった。
そのうえで全員がそれぞれに、
すべての班の調理メニューを試食する。
そして最も良いと思った班に投票する。
最も得票数の多い班を優勝として、
さらに合同チームの得票数に応じて、
チームも表彰する。
だからそれぞれの班は、
自分たちの班の優勝と、
チームの表彰を目指す。
各チームはおのおのコンセプトを決めて、
メニューを考え、食材を購入している。
Mr.ママズの調理スタッフも、
厨房の使い方だけでなく、
調理法もアドバイスしてくれる。
なにやら皆で鶴を折り始めた。
ママズのスタッフ女性に、
折り方を教えるJTBの小阪裕介さん。
こちらのチームはサラダづくり。
この班は衛生面に留意して、
手袋を着用して作業している。
1時間の調理時間で、
全班、全チームの料理が完成。
A版とB班のチームは、
来年に東京オリンピックを控えて、
日本食が世界に広まるから、
テーマを和食にした。
それをプレゼンテーションする。
そして写真。
C版とD班のテーマは、
母の日と父の日メニュー。
そして元気にポーズ。
E班とF班は赤いテーブルクロスを敷いた。
テーマは、母の日。
赤いカーネーションなども飾って、
お母さんの好きなメニューを揃えた。
そしてG班・H班・I班の大所帯は、
「時短メニュー」をテーマとした。
短時間で予算通りに料理を用意した。
G班はラムチョップの調理にチャレンジ。
I班は15分クッキングに挑戦。
そして自信満々で写真。
料理がそろったら、
試食タイム。
自分たちのチームの前菜、主菜、
デザートまでを楽しんで、
それから他チームのメニューを試食。
最後に全員が投票。
私も事務局も試食して投票した。
試食タイムが終わると、
表彰タイム。
その前に誕生祝い。
このツアーの間に誕生日を迎えたのが、
㈱マツモトの山下健一さん。
キューティ上松から、
ケーキのプレゼント。
そしてカリスマ佐藤が、
集計結果の報告をして、
第1位の班を発表。
それはH班。
おめでとう。
私もH班に票を入れました。
何よりもおいしかった。
そして優勝は、GHIチーム。
「時短メニュー」のコンセプトと、
おいしい料理を両立させた。
アメリカの食品小売業が目指すもの。
コンビニエンスとデリシャス。
それに挑戦したことの価値を、
全員の投票が証明した。
表彰が終わってから、
私の総括。
どの班、どのチームも、
ポジショニングを確立したことは、
高い評価ができる。
今回、ホールフーズマーケットが、
購買対象として圧倒的に多かった。
アマゾン傘下に入って、
低価格を出していることも奏功した。
したがって、影の勝者は、
ホールフーズだった。
それを全員で確認したことになる。
最後にクリスさんにお礼のプレゼント。
お世話になったMr.ママズのオーナー。
最後の最後に全員写真。
商人舎Basicコースの名物。
調理・試食大会。
自分で決めたメニューのために、
買物し、調理し、試食する。
その間、購入する店では質問し、
本物のレストランの調理場を使いながら、
Mr.ママズのスタッフの手助けで、
本格的な料理をつくる。
本当の交流ができる。
団員はそれを何より喜ぶし、
自分の経験価値を高めることができる。
忙しい研修スケジュールの中の、
ほんのひと時のイベントだが、
大きな経験価値マーケティングを、
実感できる。
その背景には、
ギャンブリングの街から、
ゲーミング、エンターテインメント、
そしてコンベンションの街へと、
変貌を遂げてきたラスベガスの、
人々が受け継いできた、
ホスピタリティがある。
(つづきます)
〈結城義晴〉