結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年05月24日(金曜日)

故田島義博先生の遺志を継いで旺文社マネジメントスクール出発

新聞コラムの最高峰といわれる。
朝日新聞「天声人語」

「あなたなら、どちらの言葉が
心に響くだろうか」

A「ウソをつかないで」
B「ウソつきにならないで」

面白い。

心理学の実験をした。

Aはほとんどウソが減らなかった。
Bはウソが激減した。

「行動より人格のことを言われた方が
身が引き締まるようだ」

脳研究者の池谷裕二さん、
近刊『脳はなにげに不公平』で紹介する。

池谷さんが考えた応用例。

「裏切らないで」より、
「裏切り者にならないで」

「私の状況を理解して」より、
「私のよい理解者になって」

英語はもともとこんな表現をする。

米国研修の一日の終わり。
リムジンバスを運転してくれた運転手に、
私は感謝の気持ちを込めて言う。

“You are a very good driver!”

商売やマネジメントにも、
どこかで使えそうな気がする。

コラムはこの後、
朝日新聞らしく(?)自民党の批判。

同党がマニュアルを議員に配った。
「失言しないで」の願いが込められ、
手取り足取り。

しかし必要なのはむしろ、
「”失言するような政治家にはならない ”
という議員たちの決意ではないか」

自民党だけではない。
維新の会の議員の発言も、
最近は目に余る。

ただし「失言」を避ける努力は、
問題の本質を隠ぺいさせることになる。
「本心」こそ大事なことなのだから。

だから政治家に向けては、
「ウソをつかないで」も、
「ウソつきにならないで」も、
本当はどちらも意味がない。

そんな人間たちを、
日本国民の代表者にしてはいけない。

さて今日は、夕方から、
東京・虎ノ門。IMG_70749

法曹ビルだけに、
ロビーには正義の女神「テミス」像。
「ウソ」や「ウソつき」を見破る。IMG_70759

その地下1階の法経ホール。

今日は、
「旺文社マネジメントスクール」DSCN94289

昨年までの名称は、
「学習院マネジメントスクール」だった。

創始者は前学習院院長の故田島義博先生。

田島先生は日本の産業界にとって、
そして流通業界にとって、
大恩人の学者であり、教育者である。

とりわけ小売業にとって、
チェーンストアにとって、
忘れてはならない人だ。

だから先生のご遺志は、
是非とも継がねばならない。

林周二著『流通革命』は、
1962年に発刊された。
この歴史的な名著の、
生みの親が田島義博その人だ。

当時、日本能率協会から、
月刊「マネジメント」誌が発行されていた。
この媒体から『流通革命』が誕生した。

そして田島義博は、
この雑誌の若き編集長だった。

田島先生が務めた役職は、
学習院院長に限らない。

日本商業学会会長、
日本ダイレクトマーケティング学会会長、
社団法人消費者関連専門家会議会長、
通商産業省大規模小売店舗審議会会長、
国税庁中央酒類審議会会長、
農林水産省食品流通審議会会長など、
数え上げたらきりがない。

その田島義博学習院院長が、
2001年に創設したのが、
学習院マネジメントスクールだ。

その構想は、
「日本の企業と産業界の再活性化に
教育を通じて貢献する」

今年からこのスクールを、
一般財団法人日本生涯学習総合研究所が、
運営を引き継ぐことになった。

この財団法人は1994年、
㈱旺文社によって、
生涯学習の振興に貢献する目的で設立。

“田島マネジメントスクール”を継承し、
産業社会人に革新的な知見を提供する。

初めに事務局長の林純子さん。DSCN94309

そして生駒大壱さんが、
開講のメッセージ。
旺文社代表取締役社長。DSCN94339

そして開講の第一講義は、
結城義晴の「流通概論」DSCN94369

2007年12月から、
このスクールで講義を担当している。

実務的であり、なおかつ分析的、
アカデミックであり、
ジャーナリスティックであり、
なおかつ結城義晴らしい個性的な講義。
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与えられた時間は110分。
レジュメはA4版で22枚。
パワーポイントのスライドは150枚。DSCN94459
いつも田島先生の前で、
講義している気持ちなので、
どうしてもテンションが上がる。

私が持っているものは、
漏らさず伝えたいと考える。 DSCN94449

だから脱線はするし、
最後はいつもの超早回し。
それでも十分に語り切った。
DSCN94439

講義が終わったら、
湯沢威学習院大学名誉教授を中心に、
全員で写真。

湯沢先生は、
この旺文社マネジメントスクールでも、
顧問を務めてくださる。
ありがたい。
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“田島義博マネジメントスクール”、
再出発です。

よろしくお願いします。

〈結城義晴〉

2019年05月23日(木曜日)

カンブリア宮殿の「サミットスタディ」と竹野浩樹の涙

毎日毎日、何か出来事がある。
エブリデー・イベント。

今日は、鼎談。
「ていだん」と読む。

対談「たいだん」は、
二人が向かい合って話をすること。

それに対して「鼎談」は、
三人が向かい合って話をすること。

「鼎」は「かなえ」とも読む。
もともとは中国古代の器。
土器、あるいは青銅器。

よくある器の「鼎」は、
鍋型の胴体に3本の足が付いている。
その足も中空状態になっている。
さらに上部には2つの耳がついている。
運んだり持ったりするためだ。

この3つの足で支えられるということから、
「鼎」が「三」の意味となった。

その鼎談。

場所は横浜商人舎オフィス。

高木和成さんと和田光誉さん。
そして結城義晴。
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お二人とも昭和44年に、
チェーンストア産業に入った。

74歳。

高木さんはユニー、和田さんは長崎屋。

そろって幹部となって退任。

それからも高木さんはコンサルタント、
和田さんはジャーナリスト。

お二人とも、
商業経営問題研究会のメンバー。
かつて故杉山昭次郎先生を中心に、
「杉山ゼミ」という勉強会が開催された。

その師範代の役目を果たしていたのが、
故磯見精祐さん。

杉山先生に座長になっていただいて、
磯見さんを中心にして誕生したのが、
「商業経営問題研究会」
Retail Management Learning Circle。
略称RMLC。

磯見さんも逝去され、
師範代は高木さんとなった。
そして若輩の私が、
恐れ多くも座長を務めた。

和田さんもこのRMLCのメンバーだ。DSCN93349

RMLCは東洋経済新報社から、
本を発刊した。
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結城義晴編著、商業経営問題研究会著。
「小売業界ハンドブック」

和田さんも執筆陣に入っていただいた。

その高木和成さんと和田光誉さんと、
結城義晴の鼎談。
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午後4時から始めて、
7時くらいまで3時間に及んだ。

凄い内容で、
活字にはできない出来事が、
次々に語られた。

実に面白い。

他のメディアでは読めない内容。
月刊商人舎6月号で掲載予定。
ご期待ください。

鼎談が終わってからも、
「魚盛」に場所を移して、
飲み、食べ、語り合った。

結局、6時間も話し合いは続いた。

ありがとうございました。
心底、楽しかった。

帰宅してみると、
「カンブリア宮殿」
テレビ東京で放映中だった。

サミット㈱の物語。
主役は社長の竹野浩樹。
O

こちらも村上龍と小池栄子の鼎談。
サミットが4年連続最高実績を積んでいる。

商人舎流通Supernews。
サミットnews|
’19年3月期売上高2823億円2.3%増で過去最高

その絶好調の秘密を探る。

かつての社長、会長。
荒井伸也さんも、
雑誌『サミットスタディ』を読みながら、
番組に登場。

これは結城義晴の作品。
サミットスタディ

食品商業編集長のころ、
レギュラー号で1年間連載特集を組んで、
それを一冊にまとめた。

竹野さんのチラシ作戦。
白紙のチラシに、
「創業祭特価」㊙
詳しくは店頭で
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凄い発想。

大胆。
思い切り。
怖いもの知らず。

服部哲也さんも登場。
現在、取締役専務執行役。
コーネル大学RMPジャパン伝説の第一期生。
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最後に竹野さんが、
感極まって涙。
O

この言葉がよかった。
「会社の成長より
自分の成長を楽しんでくれている」

サミットの現在は、
この言葉に象徴されている。

私の言い回しでは「脱グライダー商人」

竹野さんはそれが、
何よりうれしいようだ。

ついでに結城義晴も、
ほんのちょっと登場。
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サミットストア鍋屋横丁のオープンの日、
取材をしていたら、
カメラクルーに呼び止められて、
アドリブで話をした。

感激屋の竹野浩樹。
その全人格が、
たちどころに全社員に受け入れられて、
新しいサミットの風土をつくる。

会社は人です。

しかし一人ではできない。

荒井伸也さんが基礎を築いた。
理論的にも実践的にも。

それがサミットの、
スーパーマーケット産業内の、
ポジショニングとなった。

テレビには出なかったけれど、
その後、前社長の田尻一さんが、
間違いなく展開・発展させた。
マーケティング面で。

竹野さんはそれらを否定することなく、
エネルギーがたまっていた器の、
蓋を開けた。

そして再びビジョンを与えた。

その蓋の開け方が、
素晴らしかった。
竹野浩樹にしかできないことだった。

それが今のサミットだと思う。

コンセプトは、
「日本のスーパーマーケットを楽しくする」

そのためには何よりも自分たちが、
心の底から楽しくなければいけない。

もちろんサミットのビジョン、
マネジメントとオペレーション、
店と売場と商品。

それらがあって初めて、
楽しさが生まれる。

その楽しさは、
自分が成長する楽しさ。

アブラハム・マズローの発展段階説。
その最終段階「自己実現の楽しさ」である。

〈結城義晴〉

2019年05月22日(水曜日)

双葉山69連勝と紀文正月フォーラムの「運と人と本気」

一年を二十日で暮らすいい男

江戸の川柳。

安永7年(1778年)、
相撲興行は晴天の8日間から、
晴天の10日間に延長された。

この江戸時代の「定場所」は、
春と秋の2回開催だった。

そこでプロの相撲取りは、
年間に20日間相撲を取る。
そうすれば暮らしていける、
「いい男」となった。

ただし、当時も地方巡業はあった。
大名に呼ばれて「御用相撲」も取った。

江戸から明治、大正を経て、
横綱双葉山が69連勝したのは、
昭和11年(1936年)1月場所7日目から、
昭和14年(1939年)1月場所4日目まで。

このころも1年間に2場所で、
1月場所と5月場所だった。

しかも昭和12年1月までは1場所11日制、
12年5月から13日制。

双葉は3年間も、
公式戦で負けなかった。

東前頭2枚目から勝ち始めて、
関脇、大関と上り、東横綱まで、
勝ち続けた。
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現在は年間6場所で15日制。

連勝記録の2番目は白鳳の63連勝、
続いて千代の富士の53連勝、
大鵬の45連勝。

すべて1年6場所、90日制での記録。

双葉山定次の凄さは想像を絶する。

いまは大関貴景勝光信。
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本当にいい力士だ。

残念ながら今場所は5日目から休場。
右膝内側副靱帯損傷、右膝骨挫傷。

しかし8日目の碧山戦で再出場。
この心意気はよかったが、
再び9日目から休場。

7月の名古屋場所はかど番で迎える。

今の貴景勝には、
「一年を二十日で暮らす」の環境を、
与えてやりたい。

日曜日の千秋楽には、
ドナルド・トランプ米国大統領が、
大相撲を観戦する。

バラク・オバマ前大統領は、
4度目の来日の際に、
広島の原爆ドームを訪れた。

一方、トランプは、
いきなりゴルフと相撲。
ゴルフは青木功プロとラウンドし、
大相撲では桝席で観戦した後、
土俵に登って、
優勝力士に大統領賜杯を手渡す。

ポピュリズムとパフォーマンスの男。
それに忖度する日本の首相。

ああ。

さて今日は朝から東京・浜松町。
芝大神宮の参道。
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新緑が深まってきて、
青い空に映える。
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㈱True Dataの取締役会。

カード会員数5000万人、
日本最大級のビッグデータ。

それを提供し、分析し、
マーケティングし続けるには、
日々、難題が訪れる。

ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ。

それらを解決していく。

横浜商人舎オフィスに戻って、
夕方、堀内慎也さんがやってきた。
㈱紀文食品の部長に昇進。
おめでとう。
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商人舎ゼネラルマネジャー亀谷しづえと、
三人で打ち合わせして写真。

堀内さんが就任したのが、
事業企画室正月ユニット部部長。

紀文正月フォーラムの責任者にして、
年末・正月商戦を仕切る。
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もちろん総責任者は弓削渉副社長。
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「紀文正月フォーラム」
今年も9月3日(火曜)・4日(水曜)両日に、
東京・東銀座の時事通信ホールで開催。
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皆さん、おいでください。
令和時代幕開けの正月商戦、
その戦略や政策をご披露します。IMG_70659
堀内さんは本当に稀な仕事の人となった。

一年を一つで暮らすいい男

しかしそのプレッシャーと苦労は、
並大抵ではない。

「ほぼ日」の糸井重里さん。
今日のダーリン。
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「なにかに成功した人や組織が、
“ああしたからうまくいった、
こうしたから勝った”
と言うことは多い」

つまりは、サクセスストーリー。

「じぶんから
語りたがることもあるだろうし、
それを聞いてじぶんの糧に
しようとする人びともいる」

「そういうなかで、
じぶんたちのうまくいったことを、
“運がよかった”であるとか、
“そこらへんは、よくわからない”だとか、
計算したわけじゃない要素を
混ぜて語る人のことは、
なんだか信用できる気がしている」

同感だ。

「勝ったり負けたりのある世界や、
成功や不成功が語られやすい
事業の領域などでは、
“こんなにアタマいいわたし”が
勝ちをつくっている…という文脈で
ものごとが語られやすい」

そうそう。

「他人のことも、じぶんのことも、
なんでも説明できて、
世界のことを含めて
世の中の流れがわかっていて、
やるべきことを見つけられる人が
山ほどいる。
ていうか、いるように見える」

「そういう人の言うとおりにやれば、
きっとなんでもうまく行くように
思えたりもする」

そんなことはないのにね。

「だけど、”こんなにアタマいいわたし”が、
実際に責任やリスクをともなう試合で、
なにかをやっているという例は
あまり見たことがない」

「また、
“こうやればうまくいく”という理論で、
じぶんがやってうまくいった例も、
伝わってこない」

そこで糸井の考察。

「たぶん
“こうやればうまくいく業界”とか、
“こんなにアタマのいいわたし業界”
だとかがあって、
そこでの”こうやれば”や”アタマいい”が
“商品”として流通しているのではないかと
思うのだ」

流通業界もその気(け)はある。

「その業界には”運がよかった”や、
“なんででしょうね”は
あってはならないのだろう」

いや、小売サービス業界こそ、
ドラッカー先生の「予期せぬこと」が多い。
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糸井重里。
「そんなことを考えると、平然と
“運がよかった”と言える人のことは、
実際の試合なり事業を
やってきたんだろうなぁと、
信用できると思ってしまうのである」

双葉山定次はそれだった。

イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さん、
ヤオコー会長の川野幸夫さん。
お二人は「お陰さまで」が口癖だ。

「ドラッカーは
“なぜかは、わからないけど”
というフレーズをよく使う。
“なぜかはわからないけれど、
事実はこうなっている”。
そしてその事実に対して、
ドラッカーは、
行動の原則と具体的な方法とを示す」
月刊商人舎2月号。
結城義晴「上田惇生を悼む」から。201902_coverpage-448x634

「運がよかった」
「お陰様で」
「なぜか、わからないけれど」
謙虚だ。

それに対して、
アタマのいいひとのふりをするひとは、
ほんとうに情けない。

最後に糸井さん。
「運だけではないのだけど、あとは人。
と、少しの本気さかな」

同感。

一年を二十日で暮らすいい男や、
一年を一つで暮らすいい男は、
運と人柄と、かなりの本気でしょうか。

〈結城義晴〉

2019年05月21日(火曜日)

第1回令和名人会中止判断と駆け込み減資の「ゲリラと正規軍」

5月の台風だった。
初夏の低気圧前線で、
強風と豪雨。

正午の天気図。
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実は今日5月21日は、
第1回令和名人会の日だった。

1989年に始めたゴルフ名人会。
オリジナルメンバーは、
故小森勝さんが中心で、
浅香健一さん、鈴木國朗さん、
そして結城義晴。

小森さんは当時から、
コンビニ経営のトップコンサルタント、
浅香さんは立地調査のオーソリティ、
鈴木さんは商品と売場づくりの第一人者。
私はこの昭和から平成に変わった年に、
月刊食品商業編集長に就任した。

しかも1月1日付という異例の発令だった。

その結城義晴編集長誕生を記念して、
筆者の先生方が寄り集まって、
ゴルフコンペを開催してくださった。

白鳳カントリー倶楽部。

編集長に就任直後、
1月7日に昭和天皇ご崩御。

その日のうちに平成と改元され、
1月8日から平成元年となった。

そしてこの年の11月、
ベルリンの壁が崩壊し、
翌々年にバブル崩壊、
ソビエト連邦の解体。

激動の時代が続く。

1995年には阪神淡路大震災。

私は必至の思いで雑誌を作り続けた。

編集長就任ゴルフコンペのあと、
小森、浅香、鈴木、結城の4人で、
ゴルフの愛好会を始めていた。
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初めは会の名称もなくて、
自分たちで「迷人会」などと言ったりした。

2カ月に1回くらいの頻度で、
このゴルフ会は続いた。
毎月ラウンドする場合もあった。

どんどんゴルフの腕が上がっていった。

もちろん全員の仕事は、
ますます忙しくなった。

何しろ新編集長だから、
次々に原稿依頼をした。

小森さんも、浅香さんも、鈴木さんも、
毎月のように何本も原稿執筆して、
そのうえで迷人会に参加してくれた。

皆さんのご協力もあって、
雑誌の部数は伸びに伸びた。

しかしゴルフのほうは、
一定レベルまで上がって、
そこで停滞し始めた。

不思議だ。

仕事がうまくいけばいくほど、
ゴルフはうまくいかない。

部数が伸びれば伸びるほど、
スコアはダウンした。

私は1996年に、
㈱商業界取締役編集担当に昇格し、
99年に月刊販売革新編集長を兼務し、
21世紀に入って2002年に専務取締役、
翌2003年に代表取締役社長に就任した。

その間も、名人会は細々と継続した。
私にとっては、
ストレスからの解放の効用があった。

2007年、任期満了で社長を退任し、
翌2008年に㈱商人舎設立、
同年、コーネル大学RMPジャパン設立、
副学長に就任。

翌2009年4月、
立教大学大学院特任教授に就任。

このころから少しずつ、
私はゴルフに本腰を入れ始めた。

2011年3月11には、
東日本大震災が起こった。

日本は驚くべき復興を遂げた。

そうしたら2013年9月、
小森勝さんが逝ってしまった。
65歳だった。

それでも名人会は、
電通の土井弘さんを新メンバーに迎えて、
続けられた。
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浅香さんが引退したら、
新谷千里さんが参加してくれた。
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それから6年、平成は令和に変わった。

振り返って考えてみると、
私たちの迷人会改め名人会は、
平成時代の30年間続いたものだった。

だから後付けながら、
私たちの歴史を「平成名人会」と名づけた。

そして再出発する会を、
初めから「令和名人会」と名乗ることにした。

長々と綴ってきたが、
今日がその令和名人会の出発の日だった。

しかし初夏の台風のごとき荒天。
やむなく2日前の日曜日に、
中止の決断を下した。

ゴルフは自然との闘いだ。
だから雨が降ろうが風が吹こうが、
プレイする。

亡き小森勝さんは、
そうした信念の人だった。

しかし、令和名人会の平均年齢は、
64.8歳。

今日の豪雨強風では中止はやむを得ない。

何が難しいって、
ゴルフの中止くらい難しいことはない。

しかしそれをした。
これからの令和名人会には、
きっと晴れ間が見えてくるだろう。

令和拡大名人会をたびたび開催する。
レギュラーメンバー以外の皆さんの、
ご参加を募りたい。

さて、今日の本論。
昨日の月曜日の日経新聞、
「経営の視点」
編集委員の田中陽さんが鋭い指摘。

日経きっての流通の専門家。

タイトルは、
「ポイントか商人の矜持か」
「10月の消費税率引き上げを控えて
中堅の百貨店やスーパーなどで
首を傾(かし)げたくなる戦略が散見されている」

「”駆け込み消費”ならぬ”駆け込み減資”だ」

50社超の企業が「減資を実施または計画」

100年超の歴史を誇る老舗もある。

「ポイント還元支援など
政府の消費増税対策が受けられる
中小企業に自ら”格下げ”したのだ」

今回、減資を決めた小売業の大半が
資本金を5000万円までにした。

中小企業基本法第二条が、
「中小企業の範囲」を規定する。

①製造業・建設業・運輸業その他の業種
「資本の額(資本金)又は出資の総額が
3億円以下の会社並びに
常時使用する従業員の数が
300人以下の会社及び個人」

②卸売業
「資本の額又は出資の総額が
1億円以下の会社並びに
常時使用する従業員の数が
100人以下の会社及び個人」

③サービス業
「資本の額又は出資の総額が
5000万円以下の会社並びに
常時使用する従業員の数が
100人以下の会社及び個人」

そして④小売業
「資本の額又は出資の総額が
5000万円以下の会社並びに
常時使用する従業員の数が
50人以下の会社及び個人」

これによって、
資本金が5000万円以下の小売業は、
中小企業と定義されて、
政府の支援対象の条件を得る。

「ポイント還元だけでなく、
キャッシュレスを導入する店舗には
端末の導入費用が補助される。
至れり尽くせりの支援策に見える」

顧客はポイント還元される店で買う。
そちらを選ぶ。

だから減資して資本金を5000万円にする。
これは企業会計上、
許されないルールではない。

しかし田中さん。
「減資は企業にとってあまり
いいイメージを持たれない
資本戦略の一つだ」

「信用力低下リスクもはらむ」

「資本力のある大手と、
そもそも政府の支援対象となる
中小店に挟まれて
消費増税後の中堅小売業は
苦戦が予想される」

その通りだ。

「政府の誘い水を逃す手はない
と判断したのだろう」

この気持ちもわかる。

「小売業は機を見るに敏であり、
それが商才でもあるが
“信用という名を捨てて
支援という実を取る”
ことに大義があるのか」

「ポイント還元の期間はわずか9カ月。
持続的社会を目指す時間軸のなかでは
あまりにも刹那的すぎる」

田中さんの主張。
「信用、信頼の無形なものが
土台となる小売業や飲食業。
抜け駆け的な行為や
正直で透明性のある社会を
故意にゆがめることが
どれだけ社会的な損失を招くか」

「商人道の矜持(きょうじ)が試されている」

難しい問題だ。
ゴルフの中止などより、
はるかに難しい判断。

マイケル・サンデルの「白熱教室」で、
議論してもいいくらいのテーマである。

特に「減資した企業」の立場に立てば。

私は田中陽さんとは別の視点から、
2つの根本的な問題点があると思う。

第一に問題なのは、
政府であり、行政である。
これは間違いない。

競争は公平公正でなければならない。
市場原理に基づいて、
正々堂々の競争がなされるべきだ。

政府や行政はそれを促す立場にある。
それが経済全体を活性化させるからだ。

消費増税に絡めて、
一部の国民の人気取りとして、
軽減税率や中小企業の保護を織り交ぜる。
そこにあいまいな原則を盛り込む。

ここに問題の根源がある。

一方、第二の問題は、
減資しようとする企業群と、
それができないそれをやらない企業群が、
分断されている事実である。

田中陽さんの指摘のように、
社会的信用は何よりも重要であるし、
商人の矜持を持ち続けていたいと思う。

しかし、それでも消費増税を機に、
一気に消費者の購買マインドが、
冷え込んでしまう危険性も大きい。

そこで「機を見るに敏」な企業が出てくる。

反対に上場企業や資本金が巨大な企業は、
減資などできようもない。

そこで小売業界が分断されてしまった。

分断されて互いに文句を言い合うことに、
私は、問題があると思う。

そうして士農工商の序列は、
依然として続けられていく。

分断されているからだ。

協会や団体が乱立していることにも、
問題があるだろう。
そこで徹底的に議論して、
産業としての姿勢を打ち出すべきだ。
政治や行政に働きかけることで、
もともとこんな不公平な措置を、
阻止することもできる。

Political Marchantでなければいけない。

またしても、してやられた。
そんな気分だ。

最後に私の著書から引用。
「正規軍とゲリラ」

正規軍は、勝たなければ、
すなわち負けである。
ゲリラは、負けなければ、
それで勝ちになる。

ベトナム戦争におけるアメリカ軍は
明らかに前者であったし、
ベトコンは確かに後者であった。

古くは共和制時代の
ローマ軍とカルタゴ軍の間でも、
長らくこの対立関係が続いた。

湾岸戦争ではなぜか、
ブッシュもフセインも
正規軍とゲリラ軍に分かれつつ、
どちらも勝った気でいた。

減収減益が相次ぐ今。
そして、消費マインドが
停滞しきった観のある現在。

「勝たねば負け組」には、
つらい逆風が吹く。
「負けねば勝ち組」には、
意外にも順風が潜んでいる。

「勝ちに不思議の勝ちあり。
負けに不思議の負けなし」
この野村克也の言葉の、
勝ちの不思議は「神風」である。

「勝った負けたとさわぐじゃないよ」
と歌う水前寺清子は、
「あとの態度」を大事にする。
これは「負けに不思議なし」を言っている。

あなたはゲリラか、はたまた正規軍か。
逆風を選ぶか、順風を好むか。

どちらであっても、
小売流通業は常に、
不思議の神風を感じる
機会にめぐまれている。

ビジネスそのものが、
不思議の神風を知るために、
為されている。

しかし、そのとき、
これだけは忘れてはならない。

労働法無視のゲリラになるな。
顧客不在の正規軍になるな。
『メッセージ』(商業界刊)より

最後の最後は、
働く人たちと顧客が、
どう判断してくれるか。

そして不思議の神風を呼び込めるか。

ここにかかっていると思う。

さらに最後の最後の最後には、
どの企業が生き残ったかという事実が、
意思決定の正しさをを示してくれる。

まことに恐ろしいことだが。

〈結城義晴〉

2019年05月20日(月曜日)

万代知識商人大学第4期の「戦略的人間力経営」講義

Everybody! Good Monday!
[2019vol20]

2019年の第21週。
そして5月第4週。

読売新聞の巻頭コラムが、
「編集手帳」
今日は堺屋太一さんの「団塊」の世代と、
その子どもたちの「団塊ジュニア」がテーマ。

「団塊」とは鉱業の専門用語で、
「堆積岩中に周囲と成分の異なる物質が、
丸みを持った塊となっている状態」

それを堺屋さんは世代に当てはめた。

その日本の団塊世代は、
戦後の1947年から49年生まれ。
私よりちょっと上の世代だ。

団塊ジュニアはその子どもたちで、
1971年から74年ごろの生まれ。

かつて国は楽観していた。
「団塊ジュニアが適齢期になれば、
人口は増える」

しかしこれが大きな読み違い。
それが日本国を苦境に陥らせる。

「堺屋太一さんは生前、
“3番目の日本”を創ろうと唱えた」

明治の「強い日本」
戦後の「豊かな日本」
それに続く「楽しい日本」

まさにその通りだ。

さて私は昨夜、大阪入りして、
今日は朝9時から万代知識商人大学。
2016年から初めて、
今年はもう第4期になった。

団塊ジュニアの世代、
それ以降の世代が中心となる。

東大阪市渋川にある㈱万代本社会議棟。

32名の第4期生が元気に集う。
DSCN9157-1

進行は津田睦さん。
人事部マネジャー。
DSCN9177-1

前回の今期第2回講座テーマは、
「ロジカルシンキング」だった。
このテーマに関して、
全員にレポートを課したが、
ニ人の4期生がその内容を発表した。

山中一高さん、宇治樋ノ尻店店長。
客数増についての施策を、
ロジカルシンキングでまとめた。
DSCN9168-1

もう一人は生駒裕香さん。
デイリー部バイヤー。DSCN9170-1

三つのテーマを発表したが、
業務の中の自らの時間管理が面白い。
よく勉強した。
DSCN9173-1
二人の発表内容はとても良かったが、
私は発表スタイルについて、
さらに要望を出した。

パフォーマンスを高める方法。

そして講義。

今日のテーマは、
「ヒューマンリソースマネジメント」

マネジメントには大きく分けると、
6つの体系がある。
その一つが今回。

午前の第1・2講義は私が担当する。
IMG_70359

講義テーマは「戦略的人間力経営」
“Strategic Human Resource Management”
DSCN9178-1

人は資産である。
活かされる存在である。

その資産の強みを、
どのように活かしていくのか。

1日を通してそれを学んでいく。DSCN9180-1

まず最初に「人間力経営」の意味。
心の力・頭の力・技の力。
人間力経営はその掛け算の力である。

そして万代のマネジメントの特性と、
最近の万代の組織や人材の傾向を分析。

それから戦略的人的資源管理の三段階、
Human Resource Managementの変遷。
DSCN9182-1

さらに日本のマネジメント教育が有する、
共通の特徴と理論的な背景。
それがもたらした弊害。
DSCN9183-1

いつものように、
マネジメント体系図を示して、
全体の理解を促す。
DSCN9184-1

最後はドラッカーとミンツバーグに至る。
午前9時から休憩をはさんで2時間30分、
一気に語った。
DSCN9188-1

昼食は万代渋川店で弁当を購入。
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購入のために毎月、店を見る。
一丁目一番地は青果部門。
葉物フェアーを展開中。
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果物コーナー。
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万代の強みの鮮魚部門。
IMG_70439

サバのタイムサービス。
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そして惣菜部門。
IMG_70459
ここで毎月、新作の弁当を食べる。
今日は中華丼。

ご飯がうまい。
あっさりしてコクのある味もいい。

最後にデイリー部門。
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ランチの後の午後の第3講義は、
「万代の労務管理」がテーマ。
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講師は河野竜一さん。
取締役人事部門担当。

万代カレッジでは、毎回、
万代幹部が講義をする。
これが企業内大学の良さである。

河野さんは1期から続けて、
労務管理について講義している。
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少子高齢化によって、
人口動態がどう変化していくのか、
その時の経営環境は、
どのように変わっていくのか。

最初から4期生の心をつかむ。

さらに労働基準監督署で起こった実例の数々、
具体的、実務的に労務管理の手法を講義。

わかりやすく、かつ身近な事例ばかりで、
4期生にとっては関心の高い内容だった。DSCN9201-1

2時間の講義はあっという間に終わった。

来期は、さらに講義時間を増やそう。
河野さん、よろしく。
DSCN9202-1

第4・第5講義は再び結城義晴。
ここでドラッカーのマネジメント手法を、
簡潔に解説指導。

そして最後は、
ケン・ブランチャードのリーダー手法。DSCN9218-1

リーダーシップの4つのスタイルと、
部下の発達4段階。
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これらを組み合わせることで、
発達段階に応じた教育訓練ができる。DSCN9215-1

4期生一人ひとりに、それぞれの、
リーダーシップ・スタイルを聞いていく。DSCN9211-1

後列では阿部秀行社長と、
河野取締役も聴講。
お二人にも自分自身の、
リーダーシップ・スタイルを聞いた。DSCN9217-1

万代カレッジでは、
一つのテーマを終日、徹底的に学ぶ。

これによって理解を深める。

受講生はそれを毎月、
自らの業務に活かして検証していく。
これを繰り返す。
DSCN9210-1

終日聴講してくれた加藤徹さん。
万代知識商人大学理事長、
そして親会社の㈱万代油脂工業社長。DSCN9221-1

最後に事務局と写真。
私の隣が河野取締役。
そして人事部マネジャーのお二人。
海野正敏さんと津田睦さん。
IMG_70519

万代も豊かな日本を実現させ、
さらに楽しい日本づくりに、
貢献してほしい。

もちろん万代知識商人大学は、
豊かな日本と楽しい日本を目指す。

心の力、頭の力、技の力によって。

では、皆さんも、
人間力で、楽しい日本を目指そう。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2019年05月19日(日曜日)

コンビニ「24時間営業と見切り」問題への岡田元也とイリイチの解

今日は午後から新幹線のぞみ。
富士川を渡るが、富士は見えず。DSCN91409
西のほうから雲の軍団が北上中。

米原を超えて伊吹山。DSCN91519

そして佐和山城跡と、
彦根カントリー倶楽部。DSCN91539

新大阪に着いて、
小洒落たフランス料理。
「前芝料理店」

豚の頭のひき肉料理。IMG_63709

㈱万代の人事部マネジャー。
海野正敏さんと津田睦さん。IMG_63719
白ワインと赤ワインも少しだけ楽しんだ。

さて、昨日の続き。
生物学者の福岡伸一さん。
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why(なぜ)疑問と、
how(いかにして)疑問。

「why疑問文」は、
大きい問いであり、
深い問いでもある。

「大きな問いに答えようとすれば、
答えは必然的に
大きな言葉になってしまう。
大きな言葉には解像度がない」

「それは結局、
何も説明しないことに
限りなく近い」

そこで「小さなhow疑問」を、
解く行為に徹すること。

「いちいちのhowに答えないことには、
決してwhyに到達することは
できないからである」

そこでコンビニの24時間営業や、
「見切り」問題。

土曜日の日経新聞一面トップ。
「コンビニ 成長モデル転機」

中村直文さんの署名記事。
編集委員で流通の専門家。

セブン-イレブンの24時間営業。
東大阪市の加盟店オーナーが「待った!」

「ローソンも今期の出店数を減らし、
24時間営業をしない店の実験など
経営路線の修正を余儀なくされた」

さらに実質的な「見切り」のポイント還元。
セブン-イレブンが電子マネーnanacoで、
見切り分を本部もちで5%程度の還元。
相前後してローソンもPontaで、
6月から実験開始。

実質的な加盟店の「見切り」販売。

これによって廃棄は減り、
加盟店オーナーの負担は緩和される。

コンビニの4大原則。
鈴木敏文さんがつくり上げた鉄則。
⑴クレンリネス
⑵品揃え(欠品しないこと)
⑶鮮度
⑷フレンドリーサービス

この鮮度と欠品防止に対して、
「売れ筋でロスを出せ!」と指示が出た。

売れ筋商品に関しては、
ロスを出すくらい多めの発注で、
在庫をもって品揃えをせよ。
そうすれば鮮度がいい商品が、
絶対に欠品しない。

残れば廃棄してもよろしい。

これに対しても、
オーナーたちから反論が出た。

ここで鈴木さんの鉄則は、
「how疑問」から発したものだったが、
いまや「why疑問」となっている。

今の時代に沿った「how疑問」に、
正当な答えが求められている。
それが今回の「見切り」ポイント還元だ。

中村さんの結論。
「コンビニだけでなく、
チェーン経営の小売店は
割安な労働力に依存し、
規模拡大による収益の拡大を目指してきた」

「だが日本は人口減時代に突入し、
従来の成長モデルは通用しない」

最後の最後の言葉。
「デフレの中で長く続いてきた”安売り時代”が
大きく変わるかもしれない」

この最後のところは、
今回の論旨とずれている。

今日の日経新聞「総合面」
岡田元也イオン(株)社長
2面全面でインタビュー記事の展開。
okada
この中で、コンビニの24時間営業問題に、
解を出す。

「24時間営業が適正かどうかというのは
本質的でない議論だ」

「コンビニ業界で
本部がこれだけもうかっているのは
富の再配分に問題がある」

富の再配分の問題。
これは実は「how疑問」への解である。

そのうえで、
「加盟店にはもっと自主的な判断で
経営をする権利があるはずだ」

私は3月7日のブログで、
イヴァン・イリイチを引用して説明した。

「コンヴィヴィアリティ」、
「自立共生」の考え方。
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「社会は、新しい生産システムの
全体的効率に対する、
自立的な個人と一次集団の貢献度を
より大きくするような方向で、
再建されねばならない」

「その新しい生産システムは、
そのシステム自身が定めた
人間的な必要をみたすように
作られているのだ」

why疑問に答えているようで、
イリイチはhow疑問を積み重ねている。

〈結城義晴〉

2019年05月18日(土曜日)

豊島将之新将棋名人誕生と福岡伸一の「how疑問」

将棋界に新名人が誕生した。
豊島将之、29歳の天才。
史上初の平成生まれの名人である。

王位、棋聖の二冠を保有しているが、
さらに棋界最高峰の名人位を獲得。

第77期名人戦7番勝負の第4局を完勝して、
4戦連勝の完全制覇。
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133手目、豊島の6四桂の王手。
ここで佐藤名人が投了。
統領図
豊島将之は三冠となって、
羽生善治九段(48歳)の次の時代の、
令和の王者に名乗りを上げた。

佐藤天彦前名人もまだ31歳だが、
無冠となって出直し。

この令和の攻防も、
藤井聡太七段の登場によって、
将棋界全体に活力が生まれた結果だ。

愛知県出身で、2007年に、
17歳でプロ入りしている。
これも超のつく天才だ。

藤井聡太も愛知県瀬戸市出身だから、
尾張名古屋が逸材を輩出している。

羽生はもとより、豊島も藤井も、
本当に穏やかな性格で、
誠実な努力家だ。

それが日本の令和時代を象徴するようで、
頼もしいとともにうれしいことだ。

若いのに良い人柄で、
品格が備わっている。

それが日本人の一つの典型となって、
令和時代が幕明けた。

日本の小売流通の世界も、
こんな人材の登場が待たれる。

今日の朝日新聞「折々のことば」
第1465回。

大きな問いに
答えようとすれば、
答えは必然的に
大きな言葉になってしまう。
(福岡伸一)

「人間や生命がそもそも
なぜ存在するのかという問いは重要だが、
その解像度は低い」

生物学者の福岡さんは言う。

「それより身近な現象の有り様を
丹念に見るほうが世界の解像度は上がる」

ビジネスの解像度、
商売や商業の解像度、
それが問題だ。

例えばコミュニケーション。
「その本質は何かと問うより先に、
椅子をどのように並べたらいいか
考えるべきなのだろう」

編著者の鷲田清一さんにしては、
珍しくわかりづらい。

初出は「福岡伸一の動的平衡」
朝日新聞の連載コラムの昨年6月7日版。
タイトルは、
問い続けたい「いかにして」
福岡伸一

「世界の成り立ちの問い方として、
why(なぜ)疑問と、
how(いかにして)疑問がある」

「why疑問文は大きい問いであり、
深い問いでもある」

「なぜ私たちは存在するのか、
なぜ地球はこんなに
豊かな生命の星になったのか。
なぜ家族を作るのか、
科学や芸術を含む人間の表現活動は、
究極的にはwhy疑問に対する
答えを求める営みだ」

哲学といわれるものだ。

「しかしここに落とし穴がある」

「大きな問いに答えようとすれば、
答えは必然的に
大きな言葉になってしまう。
大きな言葉には解像度がない」

たとえば、
「世界はサムシング・グレイトが作った」
Something Greatは「偉大なる何者か」。

「それは結局、
何も説明しないことに
限りなく近い」

気をつけねばならないことだ。

「だから表現者あるいは科学者が、
まず自戒せねばならぬことは、
why疑問に安易に答える誘惑に対して
禁欲すること」

表現者や科学者に限らない。
政治家も経営者も実務家も、
学者もジャーナリストも。

「そして解像度の高い言葉で、
(あるいは表現で)丹念に
小さなhow疑問を解く行為に徹すること」

小さく始めよ。
シンプルに考えよ。

「なぜなら、いちいちの
howに答えないことには、
決してwhyに到達することは
できないからである」

商売にとっては、
この点が極めて重要だ。

日経新聞「私の履歴書」
今月は脚本家の橋田壽賀子さん。
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今日の「亭主関白」の稿で、
ドラマの脚本の書き方の神髄を語る。

「テレビの世界では視聴率は
絶対的なものと思われている。
しかし私はあまり気にしない」

「私が書くものは辛口ドラマと
呼ばれるようになるのだが、
確かにドラマで問題提起をして、
視聴者の共感を呼ぶのは容易ではない」

そこで橋田さん。
(1)身近なテーマ
(2)展開に富んだストーリー
(3)リアルな問題点――
この3つの要素を持っていれば、
必ず視聴者の心をつかむことができる。

福岡さんのhow疑問への回答そのものだ。

これは羽生善治や、
豊島将之、藤井聡太の、
天才的行為と同じだ。

彼らの一手一手は、
how疑問への回答である。

そしてこれは、
私たちの仕事のやり方と同じである。

ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ。

「コンビニの見切り問題」への回答も、
ここから解き明かされねばならない。
(明日へ続く)

〈結城義晴〉

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