昨日、湯河原から帰ってきたら、
関東甲信地方が、
梅雨入り。
それどころか東北南部まで、
平年より5日早い梅雨入り。
東海、北陸も梅雨入り。
しかし九州北部、中国、四国、近畿は、
いまだ梅雨入りの発表がない。
その九州の「西日本新聞」。
巻頭コラムは「春秋」で、
日経新聞と同じタイトル。
「九州も梅雨入りの季節。
雨に煙る街並みを眺めながら、
ふと考えた」
「雨って何色だろう」
コラムニストは多分、
今日が梅雨入りする日だと予測していた。
はずれた。
しかし、雨の色に興味を持った。
面白い。
北原白秋作詞の「城ケ島の雨」
「利休鼠(ねずみ)の雨がふる」
「利休鼠」は暗い灰緑色。
「わび茶を大成した、
千利休が好みそうな渋い色だ」
松山千春の「名曲」とコラムニストは言う。
「銀の雨」
「貴方の夢がかなう様に
祈る心に銀の雨が降る」
八神純子の伸びのある高音が印象に残る。
「ああ みずいろの雨」
瀬川瑛子の「涙色」
「涙の色は… オリーブの花を
優しく濡らす雨の色」
これは知らない、
というか浮かんでこない。
「切ない思いを雨に重ねる歌が多い」
しかし橋幸夫の「雨の中の二人」
「雨が小粒の真珠なら」
この歌はもう、知らない人も多いだろう。
コラムニストはかなりの年だ。
雨を歌った童謡も多い。
しかし童謡の「雨」はどこか悲し気。
「雨がふります 雨がふる
遊びにゆきたし かさはなし」
一方、「あめふり」は楽しそう。
「あめあめ ふれふれ かあさんが」
母さんが出てくると、
雨でも楽しい。
どちらも白秋の作だが、
コラムは今日のテーマから外れている。
コラムの結論。
「本来、水の粒である雨は透明のはず」
その通り。
「見る者の思いを
色にして映し出す水晶玉か」
まあ、そうだ。
梅雨のときの、
あなたの店の色は、
何色だろう。
色がなければいけない。
「人の心の数だけ雨の色もあっていい」
賛成。
それぞれのドラッカーならぬ、
それぞれの雨の色。
「74年前に広島と長崎に降った
“黒い雨”だけは
絶対に見たくない」
絶対に。
さて、今日は、
朝から成田国際空港へ。
第1ターミナル北ウィング。
ロビーにモニュメント。
いつものように、
素早く登場の手続きを終わらせて、
保険に加入、Wi-Fiルーターを入手、
そして両替なども手早く済ませて、
チェックイン。
イタリア・ミラノ行きの便は、
1時間ほど遅れて1時半の離陸。
今回は一人旅。
こんな旅も好きだ。
デルタ航空のラウンジで、
軽食をいただきつつ、仕事。
成田空港の滑走路は雨に濡れる。
利休鼠色か。
そしてアリタリア航空AZ787便。
イタリア第一の航空会社だが、
9・11のあと経営危機に陥って、
エールフランスに買収されそうになった。
その後も、経営は安定していないが、
今、アリタリア・イタリア航空として、
世界連合スカイチームのメンバー。
窓ガラスには雨粒が浮き上がる。
「銀の雨が降る」?
滑走路もかすむ。
「水色の雨」?
ちょっと遅れたけれど、
無事離陸。
12時間半ほどのフライト。
ヨーロッパへはシベリア周りで飛ぶ。
離陸してから7時間ほど経過すると、
眼下には一面、氷の世界が広がる。
これも美しい。
真っ白な世界に少しずつ、
ブルーが混じってゆく。
シベリアを外れて、
ロシアのヨーロッパ側へ。
そしてスカンジナビア半島へ。
毎年、ヨーロッパにはやってくる。
アメリカとは違って、
ちょっと落ち着いた気分になる。
ヨーロッパにも雨は降る。
しかし梅雨はない。
6月のミラノ。
最高です。
でもミラノに雨が降るとしたら、
きっと「真珠色」だろう。
〈結城義晴〉