イタリアの経済の中心ミラノ。
到着して一晩寝れば、
元気全開。
万代ドライデイリー会は、
3つのグループに分かれて、
それぞれに視察研修。
Aグループは外食研究。
Bグループは食品小売業研究。
Cグループは市場や百貨店、ホームセンター研究。
私はもちろんBグループ。
最初に外国勢の店を訪問。
まずフランス勢の、
オーシャン。
典型的な郊外型店舗。
業態はハイパーマーケット。
6000坪級の1フロア巨大店舗で、
低価格で量販。
オーシャンはヨーロッパや中国などでも、
ハイパーマーケットを展開する。
しかしミラノでは先月、
イタリア小売業のコナードに、
約1600店舗を売却。
シチリアの店だけ残して、
イタリア撤退。
海外進出はそう簡単なものではない。
フランスのカルフール。
イタリアで8番目の規模だが、
こちらも目覚ましい成果は、
上げられない。
ミラノ市中心部の店。
カルフールエクスプレス。
レジ3台ほどの超小型スーパーマーケット。
日本でいえば、イオンのまいばすけっと。
生鮮も圧縮陳列で並べる。
グロサリーも陳列線を高く設定して、
便利な店を目指す。
しかしこれと言って、
イノベーションはない。
一方のリドル。
ドイツから出てきた、
ハードディスカウンター。
ドイツナンバー1小売業は、
シュワルツグループ。
その先鋭的なボックスストア。
入口のバン売場がいい。
パンの香りが漂う。
顧客が自分で選んで、
長い棒で取り出す。
そして自分で番号を打つと、
シールのプライスカードが出てくる。
グロサリー売場も生鮮売場も、
御覧の混みよう。
冷蔵冷凍食品は蓋つき平ケース。
ドイツでの展開方法と同じ。
平台では衣料品や非食品を、
投げ込み陳列。
安ければコンビニエンスアイテムとなる。
セミセルフケースで冷凍食品など、
豊富な品ぞろえにする。
1000㎡の店とすれば十分である。
プロモーションを適度に配置して、
小さな店にアクセントをつける。
リドルはイタリアでは9番手に入るが、
ドイツ国内でライバルのアルディが、
ここには本格出店していないこともあって、
独壇場の躍進ぶりだ。
ミラノ中央駅。
ムッソリーニが作った豪壮な駅。
石造り建築では世界一だそうだ。
大きな美術館のようだ。
このミラノ中央駅の地下に、
コナード。
スーパーマーケット。
オーシャンの1600店を受け継いで、
コナードがイタリア第1の小売業となった。
入口にはクォリティブランドのコーナー。
駅立地であるため、お土産需要がある。
コナードはこのために高級PBを用意した。
青果部門は狭いけれど、
上手に品揃えしてある。
チョコレートのプロモーション。
2.99ユーロ。
これもお土産需要に対応する。
そして黒い什器の寿司売場。
一番奥にベーカリー、サンドイッチ、
デリカテッセンの対面売場。
レジは一列に並んで、
スピーディに顧客をさばく。
地元イタリア企業として、
パムがある。
4つのバナーで680店を展開。
24億ユーロ(1ユーロ120円換算で2440億円)。
小型コンベンショナルスーパーマーケットだ。
この店はレジが3台。
パン売場はセルフ方式だが、
リドルの価格に圧倒されている。
それでもサラダキット商品。
オリジナルアイテムで、
2パック5ユーロ。
既存のイタリア小売業は、
統合を繰り返して、
一定規模には成長するが、
店舗にイノベーションは見られない。
そして新興勢力のMD。
生鮮はそこそこ。
肉の品揃えも悪くない。
グロサリーの売り方は、
リドルそっくり。
もちろん価格は安い。
700店になって、
すごい勢いのイタリア勢。
リドルやアルディの独壇場ではない。
イタリアの意地を見せている。
伝統のペック。
デリカテッセンの店。
そのミラノ本店。
入り口を入ると右手にチーズ。
そして加工肉のデリカテッセン。
左手は生パスタ。
奥は対面の惣菜売場。
どれもこれもおいしそう。
そして店舗左手は肉売場。
これまたペックにしかないメニューばかり。
それらを食べてもらうために、
店舗中央にレストラン。
イータリーに先行して、
ペックはグロサラントをやっている。
デリカテッセンの店といっても、
野菜・果物もしっかり品揃えされている。
そして最後はチョコレート売場。
これは観光客へのお土産物だ。
地下には広い広い酒売場。
黄色いレモネード酒は、
ペックの人気アイテムだ。
イタリアの企業として、
自然食品有機食品のスーパーマーケット。
ナチュラッシ。
イタリア国内に264店舗展開する。
オーガニック農法の商品だけ扱う。
農産品から乳製品へ。
そしてベーカリー。
加工食品、雑貨にオーガニック製品を
多数、取りそろえる。
レジは一人。
イタリアでは、
オーガニックスーパーマーケットは、
ローコスト運営が基本だ。
フランスからやってきた、
ビオセボン。
イオンが提携して、
ライセンス契約で日本で展開中。
入口に対面の乳製品売場。
そしてすっきりとセンスの良い店内。
こちらもオーガニック商品だけの品揃え。
バルクコーナーを設けて、
ナチュラッシとの違いを出す。
60坪ほどの狭い店だが、
オーガニックを求める顧客には、
とても貴重な存在だ。
自然食品・有機食品分野では、
ナチュラッシとビオセボン。
レギュラーでは、
コナード、パムと、MD。
リドル、カルフール、オーシャン。
イタリアでは国内企業と海外企業が、
それぞれの分野で競争している。
そのオーシャンはコナードに買収された。
ミラノの街の中では小型店。
郊外に出ると大型店。
入り混じって、競争は展開される。
そこにスターが登場。
イータリー、そしてイーペル。
そしてエッセルンガ。
それは明日。
今日のランチは、
ナヴィリオ地区。
有名な運河の下町。
河畔にバルが並ぶ。
その1軒に入って、
今、イタリアで大人気のカペロール。
ランチはこれ。
夕食はコントロヴェント。
シックなつくりのイタリアン。
ワインと生ハム、チーズ。
シメはリゾット。
食事を堪能したら、
長い長い6月のミラノの夜にも、
闇が迫ってきた。
お疲れ様。
明日はミラノ視察のハイライトです。
(つづきます)
〈結城義晴〉