結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年06月15日(土曜日)

「レジ袋有料化の義務化」と「ひとつ拾えばひとつだけきれいになる」

レジ袋有料化が義務付けられる。
時期は来2020年4月1日から。

世耕弘成経済産業大臣が、
G20エネルギー・環境閣僚会合で発言した。
「東京五輪・パラリンピックに間に合う、
20年4月にできるようにしたい」

政府として、
時期を明言したのは、
初めてのことだ。

各紙が報じた。

G20の主要テーマの一つが、
海洋プラスチックごみ対策だ。
いわゆる「廃プラ」問題。

今回のG20大阪サミットの開催は、
来週の6月28日(金)29日(土)の2日間。
大阪国際見本市会場(インテックス大阪)。

それに先立って、今日明日と軽井沢で、
エネルギー・環境閣僚会合が行われた。

この2日間の会合を通じて、
国際的な廃プラ対策の合意を目指す。

国内のレジ袋は、
年間20万トン程度排出される。
廃プラ全体の約2%。

プラスティック製品のレジ袋問題は、
それを提供する小売業の責任でもあるが、
政府は「レジ袋の有料化」によって、
使い捨てプラスティックに対する、
国民意識の変化を促す。

有料化するレジ袋の素材や範囲は、
今後具体的に検討される。

レジ袋有料化は、今年5月、
政府が策定した「プラスチック削減戦略」に
すでに盛り込まれた。

プラスティックごみに関しては、
第1に石油資源の浪費や焼却処理による、
CO2の排出という問題がある。

第2に大量の「廃プラ」が、
川や海に流れ込んで汚染し、
環境に深刻な影響を及ぼす問題がある。
人体への影響すら懸念される事態だ。

そこでプラスティックごみを回収し、
処理し、リサイクルする必要が生じる。

国際的にみると1980年代以来、
中国が各国から廃棄物を輸入してきた。
それによって中国内の業者が利益を得た。
さらに廃棄物の中から金属類などを、
工業製品の原料として再利用した。

つまり2017年まで中国は、
世界中のプラスティックごみの処理を、
ほぼ一手に引き受けていた。

その中国が、2017年12月、
輸入停止に踏み切った。

自国の環境汚染問題が表面化したからだ。

そこでアメリカや日本、香港など、
多くの先進国で大量の「廃プラ」が、
行き場を失ってしまった。

そのリサイクルに関しては、
日本は世界の優等生だと思われてきた。

しかしここに数字のマジックもあった。

日本におけるリサイクル率は84%とされ、
これは世界トップクラスとされる。
リサイクル率は、
「廃プラ」の資源有効利用率のことだ。

しかしその日本の内訳は、
「サーマル・リサイクル」が57%を占める。
これは焼却時に発生した熱を回収し、
発電や熱供給などを行うこと。

このサーマル・リサイクルは、
「和製英語」で「熱回収」という。
英語では”Energy Recovery”と表現され、
逆にCO₂の増加要因となるとされる。

そこでパリ協定では、
「リサイクル」とは評価されない。

日本のリサイクル率は、
実はそんなに高くはないのだ。

OECD(経済協力開発機構)加盟各国の、
「都市ごみ」の処理手法を比べても、
日本は突出して焼却処理が多い。

さらに昨2018年6月、
カナダで開催されたG7サミットで、
日本と米国が「海洋プラスチック憲章」に、
署名しなかった。

昨年10月末にはインドネシアで、
海洋環境保全の国際会議が開催された。
「New Plastics Economy Global Commitment」
世界の290の企業と団体が、
プラごみ削減の共同宣言を発表。
残念ながら日本企業の名前はなかった。

使い捨てプラスティックに関して、
国民1人あたり換算で使用量を試算すると、
世界で一番多いのがアメリカ、
二番目が日本である。

そんななかでのG20を控えた、
エネルギー・環境閣僚会合での、
世耕大臣のレジ袋有料化のコメント。

昨年、スターバックスとマクドナルドが、
使い捨てプラスティックストロー非使用を発表。
すかいらーくグループも同じ動きを示す。

西友は2012年7月から、
全店でプラスティックレジ袋を有料化。
イオンも2012年9月1日に、
エコプロジェクトを発表。
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レジ袋の有料化を進めてきた。
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多くのセルフサービス企業で、
同様の動きを推進してきた。

しかし産業挙げてという印象はない。
それぞれの企業がやっている印象。

自治体もプラスチックごみ削減に向けて、
取り組みを表明している。

神奈川県「かながわプラごみゼロ宣言」は、
2018年9月。
「かまくらプラごみゼロ宣言」は、
2018年10月。

京都府亀岡市では、
「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」をし、
2018年12月に国内で初めて、
プラスチックレジ袋使用禁止を条例化した。

朝日新聞の記事。
「小売業界は対応を迫られる」

「大手スーパーなどはすでに
有料化を進めているが、
コンビニではレジ袋を希望する客が多く、
レジ袋の辞退率は2~3割程度と低い」

そこで大手コンビニの広報担当者。
「スーパーと違い、コンビニは、
ふらっと立ち寄る場所。
エコバッグを常に持っている客は少ない」

「セブン-イレブンは2030年をめどに、
レジ袋使用をゼロにし、
紙袋などに変える方針を打ち出している」

対応が急がれる。

この問題は小売りサービス産業を挙げて、
真剣に取り組みたい。

生団連などこのテーマに、
率先して取り組むだろう。

考え方の基本は、
鍵山秀三郎さん。

「ひとつ拾えば
ひとつだけきれいになる」

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「ゴミを捨てる人は捨てる一方。
まず、拾うことはしない」

「反対に、拾う人は
無神経に捨てることもしません」

「この差は年月がたてばたつほど
大きな差となって表れてきます」

プラスティックレジ袋の使用も同じ。

「人生はすべて
こうしたことの積み重ねです」

鍵山さんの持論は「凡事徹底」
「ともすると人間は、
平凡なことはバカにしたり、
軽くあしらいがちです。
難しくて特別なことをしなければ、
成果が上がらないように
思い込んでいる人が多くいます。
そんなことは決してありません」

「世の中のことは、
平凡の積み重ねが
非凡を招くようになっています」

ただし世耕経済産業相が、
鍵山さんの言葉を使ってはいけない。

「それを言っちゃあ、おしまいよ」

長らく中国に、
廃棄ごみを売っていたことを、
我々も忘れてはいけない。

〈結城義晴〉

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