九州では依然、大雨が続く。
心からお見舞いしたい。
しかし今日は、
半夏生。
「二十四節気」は1年を24に分ける。
「七十二候」はさらにそれを、
3つずつに分ける。
いま、二十四節気は「夏至」。
その夏至の最初の侯を「初候」という。
初候は「乃東枯」(なつかれくさかるる)。
つまり夏枯草が枯れる。
夏至の二番目は「次候」で、
「菖蒲華」(あやめはなさく)。
わかりやすい。
あやめの花が咲くという意味。
そして最後の「末候」が半夏生(はんげしょうず)。
烏柄杓(カラスビシャク)が生える。
カラスビシャクの塊茎が半夏(はんげ)で、
これは生薬である。
その半夏が生えるころ。
そしてこのころ、大雨が降ることが多い。
その雨を「半夏雨」(はんげあめ)という。
九州の大雨は、「半夏雨」だ。
さて、今日は一日、
横浜商人舎オフィスで、
月刊商人舎7月号の編集仕事。
今月の広告です。
そしてこれ。
SDGsラペルピンバッジ 。
国連本部認定。
SDGsは、
「Sustainable Development Goals」、
つまり持続可能な開発目標。
「エス・ディー・ジーズ」と発音する。
2015年9月の国連サミットで採択された。
国連加盟の193カ国が、
2016年から2030年の15年間に、
達成する目標を掲げた。
17の大きな目標。
そして169のターゲット。
このバッジをつけることで、
一人ひとりが持続可能なSDGsを認識し、
行動に反映させていく意思を表明する。
日本チェーンストア協会の小濵裕正会長。
㈱平和堂の夏原平和会長、
そのほかの経営者の皆さんが、
このバッジをつけている。
私のトレードマークは、
「フクロウのバッジ」
いくつか持っている。
フクロウは知恵と知識の象徴。
知識商人の養成を標榜する商人舎だから、
いつもフクロウのバッジをつけている。
しかしSDGsバッジもいいなぁと思う。
さて日経新聞の「私の履歴書」
今月は1日から中嶋常幸。
プロゴルファー。
その美しいスウィングは、
世界的に有名だ。
しかし先月は、
石原信雄さんだった。
もと内閣官房副長官。
歴代内閣の内幕が、
実にリアルに描かれて、
毎日毎日、楽しみに読み続けた。
その石原さんの履歴書の最終回。
日曜日の6月30日だったが、
現下の問題をズバリ言い切った。
92歳。
タイトルは、
「政と官」
「平成を通じて目立ってきたのが
政治の劣化である」
「小選挙区制の理想は、
政党が優秀な人材を集め、
全国各地に張り付けて
政策を競う選挙だ」
「しかし現実は、
“望ましい候補より勝てる候補”で
現職を優先し、世襲が多い。
優秀な新人が出てこないことに
国民の不満は高まっている」
「小選挙区制の導入が決まってから
今年で四半世紀を数えた。
小選挙区制がもたらした
政治の劣化をどう考えるのか」
石原さんが期待するのは、
「国民レベルの議論」。
小選挙区制導入の渦中にいた、
ご本人が言うのだから、
実に説得力がある。
橋本内閣の省庁再編に関しても、
「01年の省庁再編は
省庁の数を減らすことにこだわり、
行政分野の責任体制が
曖昧になってしまった」
「省庁の数は増えても
責任の所在を明確にすべきだ。
今ならIT省があってもよい。
省庁再編は不断の努力が必要である」
行政の省庁の「責任の組織化」が必須だ。
「14年から官邸が各省幹部の人事権を握り、
官邸一極集中の政治主導が強まっている」
これが安倍政権を強くしている。
「政治主導は、
政策の重点を政治が決めること」
「行政の公平性・中立性は別の話である」
「有力政治家に忖度(そんたく)して
行政の公平性・中立性が冒されるのは
民主主義の後退で、危険なことだ」
現在の政治の問題点はここにある。
「考えるべき問題意識の一つが、
人口減少である」
日本にとって最大の問題だ。
「民法などの法律や年金などの制度は
多くが人口増加を前提としており、
人口減少に適応する
法制度の議論を急ぐべきだ」
制度がすべて、
人口増加、高度成長を前提にしている。
「そこでは外国人の住む社会を
前提に考えることが重要になる」
同感。
「その先には
法制度の基礎をなす憲法がある」
そして石原さんの見解。
「すぐに手をつける必要性は感じないが、
憲法は一度改正したら
百年先まで長持ちすることが望ましい」
「何を見直すかの議論は
今から始めるべきである」
百年先を見通して、
しっかりと憲法論議をする。
政治家にならずに、
行政官として一生を貫いた。
その時代の見方は、
本当にフクロウのようだ。
心にとめて、見習いたい。
〈結城義晴〉