昨日も今日も梅雨寒。
「つゆざむ」。
アジサイが美しい。
紫色だから紫陽花。
白色の花。
そして桃色のあじさい。
梅雨寒や
懸念せしこと
一つあり
〈稲畑廣太郎『ホトトギス』 2001年6月〉
朝日新聞「日曜に想う」
福島申二編集委員が書く。
タイトルは、
「溢(あふ)れた水はやがて乾く」
参議院選の真っ只中に、
安倍晋三首相に皮肉を投げかける。
それはさておき、
前田雀郎(じゃくろう)の川柳を引用。
明治30年生まれで、講談社や都新聞社で活躍。
大正から昭和の川柳作家。
磨く他ない
一足の靴である
「くたびれた一足きりの靴しかない、
貧乏暮らしのボヤキのように読める」
しかし福島さんは、別の解釈もする。
「一足の靴とは作者自身であって、
自分という靴を脱ぐことはできない。
磨き続けて生きていくのだ
という覚悟として読めば、
味わいはいっそう深い」
チェーンストアならば、
1店1店が「一足の靴」である。
そう考えるべきだ。
テキサス州のHEBはそれを、
「Each Store」と呼ぶ。
イーチ・ストア。
たった1店しかないと考える。
ウォルマートは言い続ける。
「私たちは最大の企業を、
つくろうとは思っていない」
「地域の1店1店を
最良の店にしようとだけ考え、
努力している」
これも「一足の靴」の発想だ。
福島編集委員。
「国民にとっては、国の政治も、
民意によって磨き続けるほかない
一足の靴といえる」
あなたの会社も同じ。
一足の靴だ。
「他国の政府に
履きかえるわけにはいかない。
汚れたら泥をぬぐい、
傷んできたら革を張り替える」
「人を選び政党を選ぶ国政選挙は
民主主義の靴磨きのときだ」
ここで参議院選のことになる。
「良い靴を履けば、
より多くの人が
安心して遠くまで歩いていける」
良い会社ならば、
社員は安心して、
一生を過ごすことができる。
しかし会社も、
磨き甲斐がなくなったら、
変えることができる。
辞めることができる。
転職することができる。
国だって、
磨き甲斐がなければ、
違う国籍をとることも、
できないわけではない。
アメリカのグリーンカードを取得して、
あちらに定住することもできる。
しかし、自分は、
変えることができない。
絶対に。
まさに自分は一足の靴だ。
だから、自分を磨こう。
だから、店を磨こう。
会社を磨こう。
国も磨こう。
店や会社や国を磨きながら、
自分を磨こう。
〈結城義晴〉