梅雨前線が停滞して、
記録的な異常気象が続く。
これは日本だけの現象ではない。
パリもミラノもフランクフルトも。
商人舎流通SuperNews。
コスモス薬品news|
年商6111億円9.5%増、経常利益8.1%増/積極出店奏功
(株)コスモス薬品の5月期本決算。
売上高は6111億3700万円。
前年同期比9.5%増。
これでまた、
日本のドラッグストア業界の順位が、
変わった。
第1位はツルハホールディングスで、
売上高7824億4700万円、
前年同期比16.2%の大幅増。
2位からの躍進。
第2位がウエルシアホールディングスで、
7791億4800万円(同12.1%増)。
第3位にコスモス薬品が入って、
6111億3700万円、前年同期比9.5%増。
ツルハもウエルシアもM&Aで伸びた。
この産業はアメリカのように、
もっともっと経営統合が進む。
ツルハとウエルシアは、
そのトップ企業として、
合併吸収を推進するだろう。
ウエルシアはイオンの子会社で、
ツルハはイオンが12.8%の筆頭株主。
一方、コスモスは自前の出店ばかりだ。
それでいて9.5%の成長。
これがコスモスの特徴である。
現時点での成長性や収益性は、
M&Aをしないチェーンストアとして、
随一のレベルにある。
このM&A派のツルハ、ウエルシアと、
ノンM&A派のコスモス。
アメリカのチェーンストアでは、
M&A派の代表がクローガー、
ノンM&A派がウォルマート。
どちらも順調な成長を遂げてきたが、
クローガーのM&Aをしながらの、
マネジメントレベルの高さが際立つ。
難しいことをやっている。
ウォルマートのマネジメントのほうが、
オーソドックスだし間違いがない。
日本のドラッグストア第4位が、
サンドラッグで5880億6900万円、
前年同期比4.2%増。
第5位にかつての王者がいる。
マツモトキヨシホールディングスが、
5759億9100万円で3.1%増。
第6位がスギホールディングスで、
売上高4884億6400万円(6.9%増)だが、
6月1日に、電撃ニュース。
月刊商人舎6月号特集に詳しい。
「2019同盟決算」
ココカラファインとスギとの経営統合。
第7位のココカラファインの売上高は、
4005億5900万円(前年比2.5%増)。
両社が統合すれば単純合算で年商8890億円。
ツルハとウエルシアをごぼう抜き。
さらにココカラファインは今年4月、
マツモトキヨシと資本業務提携に向けて、
協議を進めている。
マツキヨとスギが統合することは、
今のところないだろうが万が一にも、
業界4位・6位・7位の3社連合が成就すれば、
年商1兆5000億円で断トツ。
月刊商人舎6月号に書いておいた。
「日本のドラッグストア産業のスケールを
2019年段階で7兆円と仮定しても、
この連合は21%のシェアを超えて、
一気に17%の”クリティカルマス”を
突破することになる」
ツルハは11.2%、
ウェルシアは11.1%。
クリティカルマスの17%には、
まだまだ届かない。
月刊商人舎6月号の結城義晴。
「本誌はこの間、
ドラッグストア業界のM&Aは
まだまだ序の口であると言い続けてきた」
日本にとって”すでに起こった未来”。
それが米国ドラッグストア産業だが、
かの地では顕著な2社による「複占」状況。
CVSヘルスとウォルグリーンブーツ。
日本のドラッグストアは、
その生き残りをかけて、
同盟戦略に邁進しているが、
産業全体が成長と膨張を繰り返すなかで、
「そのスピード感は、
実に華々しい”クリティカルマス”先陣争いと
化してきた」
しかし独自路線のコスモスが、
われ関せずで、3位に位置していることは、
それ自体、ポジショニング戦略である。
ほぼ日の糸井重里が、
毎日書くエッセイのようなもの。
「今日のダーリン」
「農業だとか狩猟だとかで生きていた時代は
“よくわからないことだらけ”だったろう」
日本でいえば、縄文時代や弥生時代。
厳密に見なければ江戸時代まで、
これだったかもしれない。
「お天道様の動きや、風や雲や、
植物や昆虫の様子、
月の満ち欠けなんかのことをいろいろ、
ちょっとずつ知っていって、
それを蓄積させて、
“こういうときは、こうするものだ”
と伝えていった」
「機械が登場して、
数学や物理の進化が加わると、
それまでの時代にしてきたことのなかに、
“これはちがってたんじゃないか”
ということが、たくさん見つかってきた」
「物理の法則を軸にした
“工業化”というものが、
文明を発展させ、
人間のできることを
増やしていった」
「損得でいえば得がたくさんあったし、
わざわざ”工業化”をやめる理由も
あまりなかったので、
たいていのことは、
“工業化”し続けていった」
「説明できるし、再現できるし、
予測もできるんだから、
そっちへ行くに決まってるとも言える」
これを「インダストリアリズム」という。
“industrialism”。
アメリカのクラーク・カー博士、
日本では小林宏さん。
しかし糸井はそれを問題にする。
「なんども言うけど、
いいことがたくさんあった。
そして、いまも、
たくさんあるのは知っているさ」
「だけど、なにもかも
“工業化”はできないんだよね」
そう、工業化によって、
コモディティが登場した。
しかし逆に、
ノンコモディティも価値を持った。
「もともと、そんなこと
できないはずだったんだ」
「でも、いまでも”工業化”が
進化だと考えられている」
あくまで、
商業の工業化を標榜し続ける人もいる。
「こうしてこうして、こうすればこうなる」
「トコロテンのつくり方みたいなこと」
これを信じている。
金太郎飴をつくろうとしている。
糸井。
「その前提になる考えは、
“同じ”ということへの幻想だ」
これを流通業界では、
意味を込めて「標準化」と呼ぶ。
しかし糸井。
「記号じゃないんだから、
ほんとは同じなんてないんだ」
そして重要な一言。
「”ここでは、
これを同じと考える”
しかないんだよね」
つまり「標準化」の根本思想は、
この場合はこれとこれを、
「同じと考える」であって、
「同じにする」ではない。
「”同じ”であることを元にして、
判断も予測もする」
「だから、つまらないんだよなぁ」
そう、その「つまらなさ」が、
顧客やマーケットから、
見透かされてしまっている。
まあ、ドラッグストア業界では、
トコロテンや金太郎飴のコスモスが、
まだまだ伸びてはいるから、
業界が膨張する時代には、
「これもあり」である。
〈結城義晴〉