アスクル㈱の岩田彰一郎社長。
危機に陥っている。
今月の月刊商人舎特集。
アスクル&とくし丸
日本型ラストワンマイルの「三方良し」を探求する
私は今月号で、
米国のA・中国のAに対して、
「日本のA」と呼んだ。
㈱プラネット会長の玉生弘昌さんと、
岩田彰一郎さんに、対談してもらった。
そのアスクルの株主構成。
ヤフー㈱が45.13%、
プラス㈱が11.63%。
2012年5月にヤフーと資本・業務提携をし、
その10月にBtoCの「LOHACO」を始めた。
アスクルとヤフーの共同運営が、
インターネット通販サイトLOHACOだ。
今年1月に入ってから、
ヤフーがそのLOHACO事業の譲渡を、
アスクルに求めてきた。
それをアスクル役員会は拒否。
月刊商人舎の対談は5月31日だった。
あの対談のときも、
岩田さんの胸の中には、
ヤフーの厄介な案件があった。
その後、6月に入ってヤフーは、
「株主総会での反対」をちらつかせて、
「業績不振の責任を取る形で、
自ら退任するよう岩田社長に促した」
実は私にも、全く同じ経験がある。
私の場合は、理由は違ったけれど。
そこでアスクルは今日、
ヤフーに対して、
資本業務提携解消を申し入れた。
ヤフーは8月2日のアスクル株主総会で、
岩田社長の「再任議案に反対票を投じる」と発表。
アスクルの祖業のプラスも、
ヤフーに賛同の意を表している。
19年5月期のロハコ事業。
売上高は513億円で前年比23%の伸び。
しかし営業損益は赤字。
しかしアマゾンでさえも、
積極投資による赤字決算を、
「売り」にしていたくらいだ。
成長期のeコマースにとっては、
当期利益や短期的な収益よりも、
将来の成長のための投資が重要だ。
ヤフーは検索サイトとしての地位を、
完全にグーグルに奪われた。
eコマースはアマゾンジャパンと楽天に、
大きく差をつけられた。
そこでLOHACOを手中にして、
売上げをかさ上げしようと考えた。
アスクルは自社物流のインフラが命だ。
だからLOHACO事業の切り離しは困難だ。
アスクルは現在、
ヤフーに代わる資本提携先を探している。
複数の事業会社や投資ファンドと交渉中で、
出資に向けた詰めの段階に入っている。
焦点となっているのは、
「株式の売り渡し条項」である。
両社の2012年の提携契約には、
契約違反があった場合に、
アスクルが株式の売り渡しを、
請求できる条項が盛り込まれている。
ヤフーが行っている、
LOHACO事業譲渡や社長退任要求は、
この「契約違反」に当たらないか。
そこで「株式売り渡し条項」を活かして、
資本提携先との交渉を進める。
一方、ヤフーは、
「低迷する業績の早期回復、
経営体制の若返り、
アスクルの中長期的な企業価値向上、
株主共同利益の最大化の観点から、
抜本的な変革が必要」とコメント。
自社の正当性を主張。
しかし商人舎流通SuperNews。
アスクルnews|
年商3875億円7.5%・経常12.1%の好決算、LOHACO23%増
アスクル全体では、
売上高7.5%増、経常利益12.1%増。
業績は回復している。
営業利益率や経常利益率が1%台なのは、
B2B中心の現在のアスクルの本質が、
卸売業だからである。
日経新聞は中島茂弁護士の見解を示す。
企業の危機管理や企業法務の第一人者。
「株式の売り渡し条項」が、
「契約にあるならヤフーには不利に働き、
法廷闘争になれば長引く恐れがある」
アマゾンの例を挙げるまでもなく、
eコマースはスピードが大切だ。
それがないからヤフーのeコマースは、
アマゾンや楽天に後れを取った。
私はもちろん、
岩田彰一郎に肩入れしている。
自分の経験からも、
資本を持つ側からの横槍に、
負けては欲しくないと思う。
頑張れ、岩田。
負けるな、アスクル。
さて今日は午前中、
実はゆっくり静養させてもらって、
午後から東海道新幹線のぞみ。
このあたりに富士山がある。
しかしその姿は見えず。
富士川を渡る。
新大阪に着くと、
タクシーで移動。
天保山大観覧車。
そして舞洲(まいしま)ゴミ処理場。
故フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーのデザイン。
オーストリア出身の芸術家。
赤・白・黄の派手な外壁。
コンセプトは「自然にかえる」。
舞洲(まいしま)は、
大阪市此花区にある人工島。
そこにロッジ舞洲がある。
開放感のあるフロントスペース。
ポップアップストア。
レストランは舞洲キッチン。
明日から万代知識商人大学の合宿。
㈱万代の人事部マネジャーのお二人。
津田睦さん(中)と海野正敏さん。
約1万坪の敷地内には、
池がつくられていて、
その周辺にログハウスがある。
敷地内からは大阪湾が臨める。
その大阪湾に夕日が沈む。
美しい。
アスクルには「明日が来る」。
夕日は美しく沈んでしまっても。
頑張れ。
〈結城義晴〉