今日は「大暑」
二十四節気の立秋の前の16日間の節気で、
「快晴が続き、気温が上がり続けるころ」
去年の今頃は炎天続きだった。
大暑の今日は埼玉で41.1度だった。
国内最高を記録した。
東京も39度だった。
一転、今年の7月はこれまで、
最高気温30度超の「真夏日」は東京で1回、
35度超の「猛暑日」はまだ0回。
これまでの7月の平均気温は、
昨年に比べて東京で6度低い。
大暑といっても、
まだ小暑が続いている。
前年踏襲の商売は、
絶対にうまくいかない。
その異常気象の中で昨日、
吉本興業の岡本昭彦社長が記者会見。
途中10分の休憩をはさんで、
5時間半に及ぶ長時間の質疑応答。
雑誌「AERA」の電子版AERA Dotなど、
吉本興業・岡本社長会見【全文】を掲載。
暇な人は読んでみてください。
新聞各紙の巻頭コラムも、
さまざまな見解を示した。
全国紙では、
毎日新聞の「余禄」
「”しゃべくり漫才”の元祖・花菱アチャコにも
吉本興業での闇営業があった」
「遊芸(ゆうげい)稼(かせぎ)人(にん)」
戦前の芸人の鑑札(かんさつ)名。
「鑑札」とは、営業に対して、
役所から与えられる許可証。
その名称が「遊芸稼人」。
アチャコは、
山口県の百貨店が開催した公演に出たが、
警察の鑑札検査が入って、
闇営業がばれた。
帰阪後は「謹慎」となった。
吉本興業にとって謹慎は日常茶飯事だ。
「興行界と暴力団の結びつきが
強かった時代の話」
創業者は吉本せい。
朝ドラ「わろてんか」のモデル。
二代目社長はその弟の林庄之助。
アチャコ・エンタツを育てた人で、
山口組の田岡一雄組長と親しかった。
余禄。
「一連の騒ぎで分かったのは、
所属芸人の扱いにおいてアチャコの時代と
さして変わらぬ会社の体質だ」
「所属芸人の”遊芸稼人”扱いは、
もうこれまでにした方がいい」
常識的な結論だ。
産経新聞「産経抄」
「所属する芸人までもが、テレビ番組で
“おぞましい会社”と言い切り、
上層部の退陣を訴えていた」
「誰もが、いつでも笑顔や笑い声を
もてる社会の実現を目指す」
「こんな経営理念を掲げる”笑いの王国”に、
笑顔が戻ってくるのはいつの日か」
産経抄のコラムは無責任に静観した。
北海道新聞の「卓上四季」
「大映」の看板女優・山本富士子の事件。
映画大手5社は、互いに協定を結んでいた。
自社専属のスターを、
「貸さない・借りない・引き抜かない」
一種のカルテルだ。
大映は「5社協定」をもとに、
フリー宣言した山本富士子を、
映画界から締め出したばかりでなく、
舞台への出演まで妨害した。
「売り出してやった恩を忘れ、
会社に弓引く者は”村八分”という
理不尽がまかり通ったのである」
ジャニーズ事務所も、
公正取引委員会から注意を受けた。
「山本さんが追放された時、
映画界は傾きつつあった。
多くのスターを抱えて5社協定を主導した
大映の倒産は、その8年後のことだ」
北國新聞「時鐘」
「お前らクビや」がヤリ玉に上がると、
ドキッとする。
コラムニストも言われたし、言った。
「善意や思いやりのある叱責、
奮起を促す言葉も、相手次第では、
嫌がらせになる」
パワハラの本質だ。
「褒めて伸ばす教育や人材育成の手引が、
書店で目に付く。
叱るより褒める風潮。
だが、厳しさ抜きの接し方で
いいのだろうか」
こちらは教育論に置き換えた。
日経新聞は、
編集委員の中村直文さん。
「吉本興業、残念なワンマン大崎体制のひずみ」
「過去10年以上にわたり、
実力者として君臨した大崎洋会長の
功罪を検証してみた」
「22日の岡本昭彦社長の会見はひどかった。
記者の質問に対して
回りくどい表現を並べ立てる」
「大崎氏が強すぎて
忖度経営になったのだろうか」
「岡本社長、そして藤原寛副社長も
ダウンタウンのマネジャー出身と
気心の知れた後輩だ」
「上司には有能にみえても
所属タレントに
まともに接することができず
まともな会見もできない社長を就けたのは
“ワンマンの弊害”と言われても致し方ない」
組織問題として斬った。
では私の見解は?
日曜日のブログで書いた。
ビートたけしの「猿回しの”猿”芸人論」
私が見たいのは、
突出した天才の芸人の芸だ。
花菱アチャコも、
山本富士子も、
横山やすしも、
ビートたけしも。
チャップリンもエノケンも。
たけし。
「そういうことを全部忘れて、
明るく、くだらねえなぁって
いうことが芸なんだから」
それを組織にしたり、
大会社にしたり、
テレビ局を牛耳ったり。
ついでにパワハラしたり。
それではフツーの会社と同じだ。
突出した天才は出現しにくい。
吉本の危機の本質は、
このパラドックスにある。
さて、今日は、東京・大手町へ。
駅前の高層ビル。
通称「新丸ビル」、
新丸の内ビルディング。
右手に丸の内OAZO。
江戸時代は熊本藩細川家の屋敷、
その後、明治から旧国鉄本社。
2004年に商業集積としてオープン。
とはいっても、それほどのものではない。
丸善。
私はときどき訪れる。
入り口を入ると、
見事なくらいのエンド陳列。
これもスーパーマーケットのエンド。
エンドから続く陳列棚も、
単品大量。
かつて書店の棚は、
「図書館方式」だった。
「1品1フェース」が鉄則だった。
それがエンドは「エンド陳列」に変わった。
Amazonに対抗するには、
リアル店舗のボリューム訴求。
もちろん本は再販制度の商品だから、
ディスカウントはできない。
一方、取材班は、
神奈川県の三浦半島へ。
ベイシアの神奈川進出一号「三浦店」。
三浦店副店長の松村拓磨さん(右)と、
広報部広報グループマネジャーの田中悠里さん。
ありがとうございました。
図書館方式が変わって、
スーパーマーケットのエンドになる。
芸人社会も近代化され、
コンプライアンスを遵守する。
変わることはいいけれど、
変わらないものもいい。
しかし私は相変わらず、
図書館方式の書店が好きだ。
毎日のようにアマゾンで買うし、
そんな書店は潰れていってしまうけれど。
〈結城義晴〉