結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年09月16日(月曜日)

「”3”の呪縛/”4″の福音」を否定しつつ「寡占/鼎占/複占」の考察

Everybody! Good Monday!
[2019vol37]

2019年第38週。9月第3週。
第3月曜日は敬老の日

一昨日のブログで書いた。
9月15日の老人の日と、
9月第3月曜日の敬老の日のこと。

Old ManとSenior Citizen。

月刊商人舎webコンテンツ。
月曜朝一の2週間販促企画。

直近の秋の彼岸商戦を提起する。
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さらに10月1日の消費増税を控えて、
駆け込み消費を促す販促や、
ポイント還元合戦が華々しい。
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「しかし消費者は踊っていない」

食料品は軽減税率導入で、
税率8%に据え置かれる。

しかし外食は10%。
小売業に有利だという指摘もある。
2%分は有利なのだろう。

ただしアメリカやヨーロッパでは、
フードサービス業に消費税・売上税がついて、
その上にチップが15%から30%もつく。

この1年くらいの間、
ずっと言っている。

アメリカでは食品などの税率は0%、
売上税率は州ごとに違うが8%くらい。
イギリスは軽減税率7%で標準税率20%、
ドイツも7%と19%。

だからレストランで食事するというのは、
特別なもの、特別なことなのだ。

それだけフードサービス業には、
特別な価値がなければいけない。

その分、欧米の小売業は、
優遇されている。
アメリカで8%分、
イギリスで13%、ドイツで12%。

しかしそういった国々で、
小売業は上位寡占、鼎占、
あるいは複占となっている。

「寡占」は数社によって、
その市場のほとんどが占められる状態。
私の造語だが「鼎占」は3者によって、
「複占」は2社によって、
ほとんどが占められる状態。

今回の消費増税も、
寡占から鼎占へ、そして複占への、
助走となるのか。

今日の日経新聞オピニオン欄、
「核心」
論説委員の西條都夫さんが書く。

「”3”の呪縛・”4″の福音」

「日本人は3という数字を偏愛する」

「石の上にも三年」「三種の神器」。
「御三家」や「三羽がらす」。

「ところが、世界には3という数字を、
何か”よくないことの予兆”のように
感じる人たちがいる」

そうか?

「独占や寡占を嫌い、
自由競争を信奉する
競争政策当局の人たちだ」

独占はたった1社。
これは各国が独占禁止法で、
取り締まっている。

寡占は数社。
しかしどんな市場でも、
数社くらいが実質的には、
自由競争を展開している。

論説委員は得意の分野を語る。
「3という数字で彼らが連想するのは、
例えば米国のビッグスリーである」

ゼネラルモーターズ、
フォードモーター、
クライスラー。

「デトロイトに本拠を構える3社は
巨大な米自動車市場に君臨し、
長らく桁外れの利益を享受した」

これこそ鼎占だった。

しかし「変化に対応できず、
緩慢な衰退の末に、
3社のうち2社までが破綻を経験した」

名著『覇者の驕り』
デイビッド・ハルバースタムの著。
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「デトロイトは決して
人の話に耳を貸そうとしない」と、
ハルバースタム。

論説委員。
「寡占ゆえの傲慢さを批判、
それが退潮の根底にあると指摘した」

鼎占のほうがぴったりくる。

日本ではビール市場。
「”3の呪縛”に陥りそうだったが、
1963年のサントリーの参入で
流れが変わった」

日本の鼎占の市場は、
メガバンクや外航海運なども。

最も目立つのは携帯3社だ。
NTTドコモ、KDDI、
ソフトバンク。

その日本の携帯通信事業の歴史。
「1990年代半ばには、
簡易型のPHS事業者を含めると
東名阪では実に7社が競合したが、
その後、淘汰が加速」

12年にはソフトバンクが
「第4の携帯会社」イー・アクセスを買収して、
現在の3社体制が固まった。

論説委員。
「その結果、教科書どおりの事態が起きた。
欧州諸国などと比べて料金が高止まりし、
家計負担が膨らんだのだ」

その中で「第4の携帯会社」に、
名乗りを上げたのが楽天。

成功するか、失敗するか。

論説委員は指摘する。
「カギを握るのは起業家精神だ」

日本の通信自由化は80年代に幕を開けた。
「旧国鉄や東京電力、
トヨタ自動車や総合商社などの、
そうそうたる大資本が一斉に参入したが、
再編の海に沈んだ」

現時点で大手3社に名を刻むのは、
稲盛和夫氏のつくった現KDDIと、
孫正義氏のソフトバンクのみ。

あとは電電公社だったNTT。

論説委員の結論。
「本物の起業家だけしか
生き残れない厳しい市場で、
楽天の三木谷浩史会長は3社寡占の壁を破り
“4の福音”を消費者に届けられるか。
真価が問われる」

あえて日本の小売業に当てはめると、
全国チェーンの総合スーパーは、
イオンリテール、
イトーヨーカ堂、

そしてユニーが残った。

そこにドン・キホーテが登場した。
「業態」を「フォーマット化」することによって。
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そしてユニーを飲み込んで、
MEGAドンキUNYで、
また新しい「鼎占」となった。

コンビニは、
「4の福音」だったが、
サークルK サンクスが、
ファミリーマートに飲み込まれて、
くっきりと鼎占となった。

ここには「4の福音」はなさそうだ。

「4」は福音ではない。
少なくとも小売業においては。
それが私の見解だ。

小売業の鼎占は、
マクレガーの「小売りの輪」によって、
高質化、高額化した3者が、
新しい破壊的イノベーションに打倒される。

自働車や海運や製鉄などの重厚長大、
ビールや食品などの軽薄短小でも、
巨大工場を有する装置産業は、
「鼎占」が市場価格の高騰をもたらす。

小売業は新規参入の壁が低い。
楽天・三木谷浩史も、
突き詰めれば小売り屋だ。

祝日の月曜日から、
ちょっとハードな考察。

この論説はまだまだ続く。

ではみなさん、
今週も、頑張って、
「消費者は踊っていない」
Good Monday!

〈結城義晴〉

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