帝国ホテル本館3階富士の間。
午後2時。
一般社団法人日本スーパーマーケット協会。
その創立20周年記念式典が開催された。
10分間の動画は、
設立からの10年とその後の10年を、
簡潔に描写して、いい出来栄えだった。
1999年7月に、
清水信次会長が設立し、
2009年7月に、
川野幸夫二代目会長に引き継がれた。
それからまた10年が経過した。
時代は変わり、
協会は一般社団法人となり、
スーパーマーケット産業も変わった。
20年前の清水信次さんの若さ。
川野幸夫さんも横山清さんも、
みな本当に若かった。
ビデオが終わると、
川野会長のスピーチ。
会場には1000名近くの参加者が集った。
協会加盟小売業のトップ・幹部はもとより、
取引先の製造業・卸売業などの首脳が、
ずらりと顔をそろえて、さながら、
日本の食品産業全体集会のようだった。
川野会長のスピーチは力強い。
この産業が果たす役割や責任は重い。
それに比べて社会的評価は不当に低い。
それを払拭しなければならない。
そのためにも政治や行政に対して、
この業界に関わる政策への、
意見具申や提言に力を入れて、
積極的な働きかけを、
行っていかねばならない。
まさにポリティカルマーチャントである。
次に清水信次名誉会長が登壇。
㈱ライフコーポレーション会長。
93歳ながら杖を突いて、
自分の足で壇上に上がった。
そして短く語った。
「お客様、従業員の皆さん、
お取引先の皆さんに、
お礼申し上げたい。
最後のお別れを兼ねて、
登壇しました」
割れんばかりの拍手が起こった。
祈念式典の後は、
20周年記念パネルディスカッション。
パネラーは現役社長の皆さん。
左から㈱エコス社長の平邦雄さん、
㈱ヤオコー社長の川野澄人さん、
㈱ライフコーポレーション社長の岩崎高治さん。
コーディネーターは結城義晴。
10周年記念パネルディスカッションでも、
コーディネーターに指名された。
10年前のブログに書いた。
パネラーは清水さん、川野さん、
横山清さんと亀井淳さんだった。
横山さんは㈱アークス社長で、
当時、日本セルフサービス協会名誉会長。
亀井さんは㈱イトーヨーカ堂社長で、
日本チェーンストア協会会長だった。
今回のパネルでは、
最初に質問した。
「20年前、あなたは何をしていたか」
平邦雄さんは、
アメリカに留学していた。
川野澄人さんは、
日本長期信用銀行に就職して、
その破綻に直面していた。
「長銀にはものすごく優秀な人が、
たくさんいました。
それなのに長銀は破綻した。
つまり経営が正しい方向を示さねば、
いくら優秀な人がいても、
組織はおかしくなる。
それを学びました」
岩崎さんは33歳で、
三菱商事からライフコーポレーションに、
入社したばかりだった。
その前は商事傘下の英国の食品会社、
「プリンセス」の社長だった。
三人とも20年前は、
今の会社にはいなかったか、
あるいは入ったばかりだった。
しかし、現在は見事に、
社長の重責を果たしている。
頼もしい限りだ。
そして結城義晴は、
この協会が創設された20年前、
㈱商業界取締役編集長で、
設立記念講演を仰せつかった。
テーマは、
「スーパーマーケットよ、永遠なれ」
パネルディスカッションの本題は、
「スーパーマーケットの未来を切り拓く」
最初に現下の問題をどうとらえ、
どう対処しているか。
岩崎さんはポリティカルな問題を、
鋭い切り口で見事に整理した。
川野さんはよく考えられた回答を、
丁寧に、解き明かした。
そして平さんは、
ユーモアを交えて、
ファミリービジネスとしての、
サバイバルの方向性を示した。
それからフォーマット問題、
マーチャンダイジング問題、
サプライチェーン問題など、
重要課題の未来を語ってもらった。
商品問題では、
ライフとヤオコーの協業に関して、
当事者二人に答えてもらった。
二人は阿吽の呼吸で、
譲り合いつつ正しい解答を披露した。
一番最後は、
「未来に向けてどんな会社をつくりたいか」
それぞれに応えてもらった。
私も商業の現代化やフォーマット論、
ビッグデータの鍵を握るもの、
そしてコンビニエンスストアの、
ボランタリーチェーン化など、
時代の見方、考え方を、
ちょとだけ披歴した。
岩崎さんは終始、討論をリードした。
平さんは面白おかしく議論を盛り上げた。
川野さんは生真面目に議論を整理した。
三者三様のパネラーぶりだった。
それそれの会社経営そのものの、
ポジショニングだった。
最後の最後は、
ラインホールド・ニーバーの「祈り」。
変わるものを変えられる勇気を、
変わらぬものを受け入れる心の静けさを、
それらを見分ける英知を、
お与えください。
パネラーの皆さんのご協力に感謝したい。
同時にご清聴いただいたみなさんにも、
お礼申し上げたい。
記念式典の後は、
2階の孔雀の間に所を移して、
20周年記念パーティー。
こちらも川野幸夫会長が挨拶。
消費増税に絡む問題点を指摘して、
これからの産業の在り方を示した。
経済産業省、農林水産省からの挨拶。
自民党と公明党の幹部のあいさつの後、
乾杯のご挨拶は、國分勘兵衛さん。
国分グループ本社㈱代表取締役社長。
10周年のときの乾杯の音頭も、
実は國分さんだった。
清水名誉会長、川野会長の功績を称え、
さらにパネルディスカッションにも、
言及してくれた。
「若手経営者の時代になって、
みんな変わるのに、
結城さんだけ変わらない」
褒めていただいたのかどうか、
よくわからないけれど、
ありがとうございました。
國分さんの音頭で、
全員で乾杯。
それから懇親。
まずは清水信次名誉会長。
そして川野会長と懇談。
記念の写真。
三菱食品㈱社長の森山透さんも加わって、
三人でポーズ。
國分さんを挟んで、
全日本食品㈱社長の平野実さんと、
スマイル。
㈱万代からは不破栄副社長が参加。
森下留寿さんは、
ライフコーポレーション取締役常務。
協会の若手経営者。
㈱マルイチ社長の高木大さんと、
㈱サンプラザ社長の山口力さん。
パネルディスカッションの話で、
大いに盛り上がった。
山口さんは、
大阪堺植物工場㈱取締役としても活躍中。
井上淳さんは、
日本チェーンストア協会専務理事。
最後にパネラーの皆さんと写真。
まずエコス社長の平邦雄さん。
ありがとうございましたと固い握手。
岩崎高治さん。
素晴らしいパネラーだった。
サミット㈱社長の竹野浩樹さん。
次のパネルディスカッションでは、
必ずパネラーをお願いします。
そして岩崎さんと竹野さんが、
固い握手。
川野澄人さんを挟んで、
三人がスクラム。
凄い写真です。
スーパーマーケットの未来は明るい。
10年後、20年後に、
彼らはどんな会社にしているのだろう。
どんな産業をつくってくれるのだろう。
大いに楽しみだ。
そして裏方の江口法生さん、
日本スーパーマーケット協会専務理事。
ほんとうにご苦労様でした。
日本スーパーマーケット協会、
20周年を経て、
まずは次の10年に挑む。
さらに20年を視野に入れて、
現代化を果たしたい。
スーパーマーケットは永遠である。
あらためて確信した。
〈結城義晴〉