立冬。
秋が極まり、
冬の気配が立ち始める日。
清少納言の「枕草子」。
「春は曙。夏は夜。秋は夕暮」
そして「冬はつとめて」。
この「つとめて」は「早朝」のこと。
昨日から千葉県長生郡長南町。
グレートアイランドホテル。
目覚めると目の前に、
名門グレートアイランド倶楽部。
グリーンキーパーが仕事を始める。
伊藤園レディストーナメント前の、
プライベートコンペ「ドクターズカップ」。
第20回。
マスターズの上を行く志で、
ゴルフに打ち込む。
だからドクターズ。
マスターは修士、
ドクターは博士。
スーパーマーケット経営者が集って、
毎年、春と秋に開催。
もう11年になる。
朝食の食堂から、
10番ホールを臨む。
朝日が昇る。
今回はエントリーが少なかった。
メンバーはみな多忙だ。
それでもその忙しさをぬって、
参加してくる。
私たちの組は3人。
中村國昭さんと本庄周介さん。
中村さんは㈱エレナ会長、
本庄さんは㈱伊藤園副社長。
エレナは長崎県佐世保市に本拠を置いて、
長崎・佐賀に45店舗を展開する。
九州有数のスーパーマーケットチェーンだ。
創業60周年を迎えている。
快晴の空に雲が浮かぶ。
風もほとんどなくて、
絶好のゴルフ日和。
ハーフが終わって、
クラブハウスに戻ると、
本庄正則像。
伊藤園の創業者で、
現本庄八郎会長とともに、
伊藤園を一部上場企業に育てた。
このゴルフコースをつくったのも、
本庄正則さんだ。
18番グリーンの横では、
観戦スタンドを構築中。
来週の伊藤園レディースでは、
このスタンドは最高の観戦ポイントになる。
テレビ中継されるので、
クレーンでテレビカメラ台を設置中。
スルーで回って、
中村さんは絶好調。
70台が出るだろうと、
私は期待した。
そして最終18番ホール。
久しぶりに3人で、
Go! Go! ポーズ。
私は絶不調、本庄さんはいつも通り?
中村さんは18番第2打で、
奇跡の水切りショット。
18番は3人ともパープレーで締めた。
ありがとうございました。
良いラウンドでした。
全員上がって、食事と表彰式。
優勝は伊藤園専務の神谷茂さん。
プロトーナメント直前のこの難コースで、
アウト40、イン42の82。
中村さんはベストグロスだったが、
残念ながら準優勝。
荒井伸也さんがご挨拶。
このドクターズ杯の最高顧問。
82歳で見事、ホールアウト。
ご存知、サミット㈱の元社長、会長。
オール日本スーパーマーケット協会会長、
現在は終身名誉会長。
「小説スーパーマーケット」で、
経済小説の道を切り拓き、
「スーパーマーケット原論」をはじめ、
多くの著書を世に出した。
「小説スーパーマーケット」の初出は、
販売革新誌の連載「他人の城」で、
私がその編集を担当したし、
安土敏のペンネームも、
荒井さんが二つの案を考え、
私が「こちらです」と選んだ。
その後の「スーパーマーケット原論」は、
食品商業誌に連載し、
これも結城義晴が編集した。
私は若いころ、細谷泰雄先生から、
「作家安土敏の編集者」と称された。
伊藤園特別顧問の江島祥仁さんが、
締めのスピーチ。
江島さんは早稲田大学雄弁会出身で、
現役時代は幹事長の重責を担った。
仲間には名だたる政治家がいた。
本庄正則さんや本庄八郎さんに師事し、
創業3年目の伊藤園に入社。
老舗の「暖簾商売」しかなかった時代に、
スーパーマーケットの販路を開拓し、
産地直送などのイノベーションを果たした。
日本人が緑茶や烏龍茶を、
ペットボトルで飲むようになったのは、
本庄さんや江島さんの功績だ。
昨年、副会長を辞し、
現在は関連会社数社の会長を務めつつ、
伊藤園最高顧問。
このドクターズの生みの親ともいえる。
解散してから、
荒井伸也先生ご夫妻を囲んで、
事務局の皆さんと一緒に写真。
帰りは松井康彦さんの車で、
東京湾に沈む夕日を見た。
松井さんは、
商人舎エグゼクティブプロデューサー。
朝日に目覚め、
夕日を拝む。
最高の一日だった。
10月はアメリカ研修から、
沖縄、奈良、大阪の出張。
そして月刊商人舎の入稿。
11月に入っても、間髪をおかず、
日本スーパーマーケット協会20周年。
仕上げがこのドクターズ。
充実していた。
今日の朝日新聞一面「折々のことば」。
第1634回。
終(つひ)に無能無才にして
此(この)一筋につながる
(松尾芭蕉「幻住菴記」から)
編著者は鷲田清一さん。
「奥の細道」を旅した後しばらくして、
芭蕉は琵琶湖畔・大津の山中に移り住んだ。
その住処の名は「幻住菴」(げんじゅうあん)。
「自分は仕官や出家を願ったこともあるが、
若い頃から俳諧をむやみに好み、
なおかつそれで世過ぎできたので、
他には身を入れないまま今日に至ると、
その生涯をふり返る」
そして庵の名のとおり、
人生も「幻の栖(すみか)」だと述懐する。
「器用より、
無骨に一筋。
いいではないか」
この道一筋が多分、
一番幸せな人生なのだろう。
本庄正則さんも江島祥仁さんも、
荒井伸也さんも、結城義晴も。
ありがとうございました。
おっと失礼。
荒井さんは多能多才だが、
本を書いて、この道一筋の人でもある。
「スーパーマーケットほど素敵な商売はない」
〈結城義晴〉