「祝賀御列の儀」
天皇陛下の即位を祝うパレード。
秋の快晴のもと、
皇居から赤坂御所まで、
オープンカーでのパレード。
その前の皇居内の天皇・皇后両陛下。
「君が代」の演奏を聴いてから出発。
二重橋をオープンカーが渡る。
そして皇居前広場。
お二人を乗せたオープンカー。
やはり主役はクイーン。
雅子皇后陛下。
青山通りを抜ける。
そして赤坂御所までの4.6キロ、30分。
政府発表で約11万9000人が、
パレードに参集した。
警察官は2万6000人が動員された。
まだまだぎこちないところはあるが、
日本国憲法に則って、
日本国の象徴として、
重いお役目を担っていただく。
東京の空も国民の心も、
日本晴れだった。
そのパレードのすぐそばに、
秩父宮ラグビー場がある。
ここで大学ラグビー界屈指の好カード。
関東大学対抗戦。
早稲田大学対帝京大学。
第1試合は明治大学対慶應義塾大学。
明治が40対3で慶応を圧倒したあと、
早稲田対帝京。
今年はこれまで両校ともに、4戦全勝。
明治が慶応に勝って5戦全勝。
対抗戦の優勝候補は、
9連覇している帝京大学。
早稲田も2010年に勝利して以来、8連敗。
9年ぶりの勝利を狙う。
前半は早稲田のペナルティゴール、
帝京のトライなどなど、
取ったり取られたりで、
17対25の帝京リード。
後半に入るとすぐに、
スタンドオフの岸岡智樹が、
ゴール下にトライ。
東海大学仰星高校出身の指令塔が、
自ら相手のギャップを突いて、
見事なトライ。
主将でスクラムハーフの齋藤直人が、
日本代表並みの力量で、
コンバージョンを決めて、
24対25の1点差に追いつく。
ここからがこの試合の真骨頂。
後半28分、帝京は、
相手ゴール前でフォワードの執拗な攻撃。
ゴリゴリの体力勝負。
そしてゴール下にトライ。
早稲田も必死の防戦。
これはワールドカップでは、
ウェールズが得意とする戦法だ。
あと10分を残して24対32の8点差。
1トライ1ゴールでも追いつけない。
しかし後半35分、早稲田は、
左ラインアウトからドライビングモール。
1年生のフランカー相良昌彦が、
左すみにトライして、29対32。
コンバージョンキックは惜しくも決まらず。
インジュリータイムが4分あって、
残りは約9分。
それでも3点差。
じりじりと時間が進む。
後半44分のラストプレー。
帝京陣のスクラムから、
早稲田は左へ展開。
センターの中西亮太郎が、
縦に抜け出してゴール前まで突進。
そこからスタンドオフ岸岡が左へ抜け、
すかさず右にボールを振って、
ゴール前でラックをつくる。
ラックの混乱の中から、
主将の齋藤が楕円球をつかむと、
この写真の直後、
ラックの上をダイビングしてトライ。
まるでアメリカンフットボールのようだった。
このトライで5点が入り、
34対32で早稲田が勝利した。
齋藤主将がマン・オブ・ザ・マッチに選ばれ、
ちょっと涙を流した。
それほど、うれしい勝利だった。
齋藤直人は神奈川の桐蔭学園出身、
165センチ73キロの小兵。
スタンドに礼をする両チーム。
観客は今季最高の2万900人。
ワールドカップ直後のラグビー。
早稲田ラガーも帝京ラガーも、
いつも以上の気迫だった。
一日中、日本晴れだった。
〈結城義晴〉