横浜も急に寒くなった。
先週末までは妙に暖かかった。
みなとみらいの高層ビル群。
手前がランドマークタワー。
雨模様にもかかわらず、
空気がきりりと澄んで、
ビルの灯りが美しい。
大観覧車。
そして帆船日本丸。
イルミネーションに浮かび上がる。
みなとみらいのランドマークプラザ。
1階中央に巨大なクリスマスツリー。
プラザを抜けると、
クイーンズスクエア広場には、
巨大なモニュメント。
「モクモク ワクワク ヨコハマ ヨーヨー」
彫刻家・最上壽之の作品。
17mのステンレス製。
風の通り道をイメージして、
「たなびく雲」を表現した。
その横に広場。
石造の旧横浜船渠(せんきょ)2号ドック。
民間最古の石造ドック。
巨大な船がここで製造された。
美しいイルミネーション。
横浜に育って、
横浜で暮らす。
なかなか、いいもんです。
さて、セブン-イレブン・ジャパン。
本部社員の無断発注が問題化。
商人舎流通スーパーニュース。
セブン-イレブンnews|
本部社員の無断発注問題、通報窓口設置し全店調査へ
日経新聞をはじめ、
朝日や読売、毎日から地方紙まで、
全国的に取り上げられた。
共同通信が発信元となったようだ。
「本部社員」といっても今回は、
オペレーションフィールドカウンセラー。
つまり有名な「セブンのOFC」、
役割はスーパーバイジング。
おでんの具材などのアイテムを、
加盟店に無断で発注してしまった。
2人の無断発注が発覚し、
この2人には懲戒処分が下された。
OFCは1人が8店ほどを受け持って、
加盟店の経営指導や運営支援をする。
だから現在のOFCは、
2600人を超えているだろう。
商売において、
一番重要な仕事が発注である。
セルフサービスの商売では、
発注して、陳列して、勘定を受け取る。
これが三大要素だ。
その重要な発注に関してもOFCは、
POSデータやコーザルデータを駆使して、
加盟店主やそのスタッフを支援する。
それがフランチャイズシステムである。
しかしあくまでも指導や支援である。
加盟店主は独立した事業者であって、
商売の本質たる発注権は加盟店にある。
セブン-イレブン本部の社内規則でも、
加盟店に無断で行う発注は禁じられ、
厳正な処分が行われる。
おでんや弁当、惣菜は、
発注量が増えれば、
本部の売上げは即、増える。
OFCにしてみれば、
自分の担当の店の売上げが増え、
成績が上がる。
しかし、その発注増によって、
ロスが発生し、廃棄されると、
その分は加盟店が負担する。
加盟店がロスを負担するのは、
加盟店に発注の責任があるからだ。
したがって無断発注は、
発注権という商売の大原則を、
侵害することである。
売上げが上がるという功績は、
おのれがいただいて、
ロスという損失の部分は、
加盟店に押し付ける。
無断発注は、
それが売れれば表面化しにくい。
しかし売れ残ったら、
問題は顕著になる。
実際にセブン-イレブンでは、
この無断発注問題が起こっていた。
そこでトップマネジメントはまず、
電話通報窓口を設置することを決めた。
この電話通報窓口は11月27日から、
約1カ月間設けられる。
全国の加盟店オーナーから、
過去の無断発注について、
通報が受け付けられる。
同様のケースがなかったかどうか、
全店の、すべての商品を対象に、
徹底的な調査が行われる。
さらにこの対応は、
外部機関に委託される。
通報があれば調査を進め、
不正が確認されれば、
処分を含めた対応がなされる。
これら第一の処置は、
過去の問題の摘発である。
第二は、本部社員が発注できないような、
システムの構築を急ぐという。
これは今後の予防である。
しかし予防システムには、
いつか抜け道が考え出される。
いたちごっことしか言いようがない。
そこで第三に、
社員教育を徹底していくという。
しかし、摘発したり、処分したり、
取り締まったり、予防したりでは、
本来のフランチャイズチェーンではない。
社員教育の徹底も、
いまさらながらとしか、
言いようがない。
私の友人にも、
セブン-イレブンのOFC出身者は多い。
ここで商売の基本を徹底して学んで、
著名なコンサルタントになったり、
大学教授になったりしている。
最も親しかった故小森勝さんは、
セブン-イレブンで身に着けたことを、
一生の誇りにしていた。
今回の「無断発注」事件は、
その誇りが崩壊しかけていることを、
図らずも示してしまった。
処分された2人のOFCの問題か――
それだけではない。
その上司たちのマネジメントの問題か――
それだけでもない。
セブン-イレブン全体の、
商売哲学と組織風土に、
深刻な皹(ひび)が入っている。
大げさではなく、私はそう思う。
まったくの推測だが、ことは、
「無断発注」だけではないに違いない。
損得より先に善悪を考えよう。
倉本長治の「商売十訓」第一訓。
セブン&アイ・ホールディングスの祖業、
イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さん。
セブン-イレブン創業者の鈴木敏文さん。
このお二人には、
揺るぎない理念があった。
それが崩れ始めている。
セブン‐イレブンという、
超一流小売企業だからこそ、
あえて言っておこう。
極めて深刻な現状だと受け止め、
一から出直すくらいの決意がなければ、
歯止めはかからない。
〈結城義晴〉