アメリカはいま、
ホリデーシーズン。
サンクスギビングデーから、
クリスマスまでの1カ月間。
一年で一番の書き入れ時。
宝石店や玩具店、
ステータスブランドも、
観光客の購買を除けば、
ホリデーシーズンで利益を出している。
そのホリデーシーズンに、
大異変が起こっている。
ブラックフライデーnews|
米国オンライン販売が前年比43%増の74億ドル
もちろん「ブラックフライデー」は、
サンクスギビングデーの翌日の金曜日。
11月第4木曜日の「1年で一番売れる日」
今年は11月29日だった。
その今年のブラックフライデーで、
オンライン販売が激増した。
前年比43%増の74億ドル。
1ドル100円換算で7400億円。
1日のオンライン販売額として、
これまでの過去最高は、
昨年のサイバーマンデーだった。
サンクスギビング週間の翌日の月曜日。
1年で一番、オンライン販売が多い日。
昨年は79億ドル(7900億円)。
今年のブラックフライデーのeコマースは、
昨年のサイバーマンデーに次ぐ規模だった。
しかもeコマースの39%が、
スマートフォンでの買物だった。
アドビ・アナリティックス社の予測では、
今年のサイバーマンデーは、
94億ドル(9400億円)に達する。
つまりアメリカでは、
オンライン販売自体が激増する。
リアル店舗での最高販売日まで、
オンラインが増えている。
流通スーパーニュースは言い切る。
「アメリカではますます、
人々が店にやってこなくなる」
一方、
全米小売業協会news|
感謝祭の週末に1億8960万人が買物/平均361.9ドル
感謝祭当日からサイバーマンデーまでの5日間、
ショッピング客数は1億8960万人。
昨年の1億6580万人から14%増。
その平均客単価は361.90ドル(3万6190円)。
昨年比で16%増。
この5日間の購買客数順位。
面白い。
⑴ブラックフライデーで、
購買客数8420万人。
⑵スモールビジネスサタデーの5990万人。
ブラックフライデーの翌日の土曜日。
⑶サンクスギビングデー(感謝祭当日)3780万人。
⑷感謝祭の週の日曜日の2920万人
⑸サイバーマンデーの2180万人。
そして問題のオンライン販売。
⑴ブラックフライデーの購買客9320人。
⑵サイバーマンデーは8330万人。
初めて、ブラックフライデーが、
サイバーマンデーを超えた。
⑶スモールビジネスサタデー5820万人
⑷感謝祭当日4970万人
⑸日曜日4310万人
このオンラインの購入動機。
当然と言えば当然だが、
49%の顧客が「無料配達」を、
その理由として挙げている。
オンライン注文&店舗受け取りは20%。
ウォルマートのサイト・ツー・ストア型は、
昨年比で15%増。
平均すると、消費者はこの5日間で、
ホリデーシーズンの買物の52%をする。
クリスマスよりも、
圧倒的にサンクスギビング週間の方が多い。
この傾向は高まる。
そしてオンライン販売も激増を続ける。
店舗販売はその分、減っていく。
中国や韓国も同じ傾向にある。
日本はどうか。
ここでよく考えなくてはいけない。
ピーター・ドラッカーは言った。
予測や予言はしてはならない。
真実を見誤ることがある。
そのかわりにモニタリングせよ。
つまり継続的に観察せよ。
そうすれば「すでに起こった未来」がわかる。
新しいものに飛びついてはならない。
しかもアメリカで起こったことが、
そのまますぐに日本で起こるとは限らない。
「波は短期的に動揺と混乱を引き起こすが、
長期的には波の下にある潮流のほうが
ずっと重要である――」
アル・ライズ&ジャック・トラウト。
毎日のように書いているし、
語っている。
このフレーズは気に入った。
何を見ても、何を読んでも、
「波の下」を考える。
「すぐ役立つことはすぐに役立たなくなる」
(橋本武先生の言葉)
これも頭に残ってはなれなくなったが、
同じ現象が私のなかで起こっている。
波の上の動揺や混乱を、
云々かんぬんする輩がいるが、
それを聞いてはならない。
わかる人にはわかるだろうが。
テレビを見ても、
本や新聞や雑誌を読んでも、
ネットの発言を覗いても、
波の下の潮流を見透す心構えをもちたい。
さて日本で、
オンライン販売は増えるのか。
よく観察し、
深く考察すれば、
間違いなく増える。
しかしアメリカでは、
アマゾンもウォルマートも、
他の有力小売業も、
オンライン販売のシステムや、
その「無料化」に、
大きな投資をしてきた。
それがベースにあって、
現象が起こっている。
すなわち因果関係がある。
だから伸びている。
さて日本では、
どこがどう投資をしているのか。
それが問題だ。
その意味で、
イオンのオカドとの提携を、
軽く見てはいけない。
〈結城義晴〉