2019年のカウントダウン。
あと5日。
明日から9連休という会社も多い。
私たちは今日が最後の責了日。
そして今年最後の業務日。
(株)商人舎も9連休です。
月刊商人舎2020年1月号。
書き納めの原稿を書いて、
責了しました。
インパクトのある特集となりました。
発刊は1月10日。
楽しみにしてください。
そして今年1年、
ありがとうございました。
女性陣は5人が5人、
オリンピックカラーのセーターを着用。
青、黄、黒、緑、赤。
来年はオリンピックイヤー。
よろしくお願いします。
さて、今日の日経新聞電子版。
「コンビニオーナーは納得するか」
サブタイトルは、
「物足りぬ経産省改革案」
編集委員の田中陽さんの執筆。
素晴らしい。
プロフェッショナルの記事だ。
最近、日経の社説に文句をつけてきたが、
田中陽さんは別格だ。
経済産業省主催で、
コンビニの経営課題を議論する、
有識者検討会が開催されている。
今年6月からスタートして、
4回の検討会が行われた。
そして第4回目の12月23日、
事務局の経済産業省が、
報告書骨子案を公表した。
田中さんはこの骨子案を評価した。
「今年、コンビニを巡っては、
深刻な人手不足や人件費高騰などで
ビジネスモデルの基幹である
24時間営業の維持に
不満を漏らすオーナーが続出。
消費期限切れの商品を廃棄する
食品ロスの多さも社会から批判を浴びた」
「有識者検討会は
こうした問題の解決を導く施策を
見いだす狙いだったが、
骨子案ではいくつか、
抜け落ちた視点がある」
鋭い。
その第1は「オーナーの資質について」。
昭和の時代にスタートしたコンビニ。
初めは酒販店からの転換が多かった。
それから米穀店、青果店などの業種店。
もともと商売人だった人たち。
土地も建物も所有して、
セブン‐イレブンでは、
Aタイプと称されるフランチャイジー。
平成になると、
未経験者がオーナーになった。
脱サラ組など、
商売をしたことがない人たち。
Cタイプという。
現在の新規加盟店舗は、
ほとんどがCタイプだ。
この違いは大きい。
いわば素人が商売を始める。
今、起こっている問題点の、
本質のひとつがここにある。
田中さんはその点を指摘している。
現場を熟知した視点だ。
「有識者検討会の骨子案には残念ながら
コンビニオーナーに
なろうとしている人たちの
商人としての素養については
触れられていない。
本部のオーナー選びの
厳格化を求める指摘もない」
コンビニは商人が経営するものだ。
セブン&アイ創業者の伊藤雅俊さんの、
「商いの心」が大切だと思うし、
それをどう評価しておくかも重要だ。
第2の指摘は、
スーパーバイザーの問題。
「オーナーと
店舗運営を担当する店舗指導員との
コミュニケーションへの踏み込みも
骨子案では弱い」
これも現場に根差した指摘だし、
ずっと問題にされてきたことだ。
そして第3は、
会計システムの問題。
「骨子案の中で最も拍子抜けしたのが
コンビニ経営の基幹となる
会計システムに言及していない点だ」
「コンビニでは、
会計処理などの煩雑な業務を
本部が受け持ち、
オーナーは売りに専念できる
システムを構築している」
しかしこの仕組みが、
複雑でわかりにくい。
「特殊な会計システムを改め
誰からも分かりやすく、
透明性のある普通の会計システムに
移行すべきではないのか」
同感。
「有識者検討会を傍聴したり、
議事録などを読んだりすると、
コンビニ経営の窮状を訴えるオーナーの
切実な声に若干、
引きずられすぎているようにも思える」
「現場で取材をしていると
そうしたオーナーの気持ちはよくわかる。
ただ、骨子案は
オーナーが求める改善点を
対症療法として打ち出した施策が
目立つ気がする」
同感。
「あるコンビニの幹部は
“有識者検討会の一部の委員は
コンビニ本部を『悪』と決めつけている。
経産省が主催する会議なのに、
コンビニを産業としてみてくれていない。
悲しいことだ”と語る」
私も議事録を読んでみて、
強く同感した。
「日本でコンビニが誕生して50年近く」
「会計システムが
制度疲労を起こしているにもかかわらず
手を付けてこなかった。
業界自体が猛省すべきではある」
厳しい指摘だ。
「それができないがゆえの有識者検討会なら
持続可能な提言をすべきだ」
「一部の有識者検討会の委員が
コンビニ会計の”問題点”について言及した」
これは根本重之委員のことだ。
流通経済研究所理事。
前拓殖大学教授。
私もかつて、
農林水産省の委員会でご一緒した。
「1月にまとまる報告書にどれほど
抜け落ちた大切な視点が
盛り込まれるのか。
そうでなければ
令和のコンビニ像は描けない」
日経新聞電子版の田中陽さんの記事。
読んでみてください。
いっそのこと、
田中さんを委員に選べばよかったのに。
最後に朝日新聞「折々のことば」
今日は第1681回。
「もめごとが
避けられないとすれば、
わたしの時代に
それを片づけて、
子供には平和な暮らしを
させてやりたい」
(トーマス・ペイン)
編著者の鷲田清一さん。
「米国の独立運動に与(くみ)した思想家は
1776年、独立戦争のさなか」に、
「後退を強いられる自軍兵の
士気を高めんと草した」
独立反対派の一人が言った。
「ともかく、わたしが生きている間は
平和であって欲しいんです」
それに対してペイン。
「こういった物言いは誤りだ」
「真に子供を思うならこう言うべきだ」と、
冒頭の発言をした。
(有名な「コモン・センス」から)
コンビニも、
今、私たちの時代に、
もめごとを片付けておかねばならない。
そのためには、
商人と商売と現場の視点こそ、
不可欠である。
〈結城義晴〉