アメリカ視察の場合、
私は、到着したら必ず、
ウォルマートを訪れる。
シリコンバレーの、
スーパーセンター。
アメリカの小売産業は、
ウォルマートを中心に回る、
メリーゴーランドのようなものである。
ちなみに「スーパーセンター」は、
業態用語ではない。
日本で言えば経済産業省の定義で、
「総合スーパー」。
欧米や中国などアジアでは、
「ハイパーマーケット」と呼ばれる。
「スーパーセンター」は、
ウォルマートが名づけた、
独自のフォーマット名だ。
ターゲットはこれを、
「スーパーターゲット」とネーミングする。
そのスーパーセンターの入り口には、
バレンタインデーの島陳列。
ウォルマートは全店が必ず、
その時期の販促テーマを、
確実に提案している。
青果部門の最後には、
バナナの売場。
1ポンド(454グラム)52セント。
サービスデリは、
対面販売の加工肉とチーズの売場だ。
その前のベーカリー売場には、
毎日インストアで焼いたパンが島陳列。
牛乳はロールバックで、
1ガロン(3.8リットル)2.90ドル。
1ドル100円換算で1リットル76円。
グロサリー売場の菓子部門は、
もちろんバレンタインデー向けの、
チョコレートがずらりと並ぶ。
6000坪の店舗の奥中央は、
家電売場で、
パソコンやスマホが、
アップルストアのように並ぶ。
こういったガラスケース売場が増えた。
やや高級・高額の商品が、
鍵付きのケースに収納されている。
そしてシーゾナルゾーンは、
もちろんバレンタインデー。
こちらにもチョコレート売場が設けられている。
入り口付近のレジ横には、
ウォルマートのネットで購入した商品の、
受け取りピックアップタワーと、
ピックアップロッカー。
ウォルマートは現在、
オンライン販売を強化しているが、
実店舗にも相変わらず、
きちんと集客している。
ウォルマートの次は、
ホールフーズマーケット。
2018年8月28日に、
アマゾン傘下に入ったとはいえ、
相変わらずの素晴らしい青果部門。
スーパーマーケットにとって、
青果部門は命綱である。
その青果と連動するのが、
バルクコーナー。
そしてスペシャルティ部門。
ホールフーズでは、
チーズとワインとチョコレートを、
一括りにして部門を構成している。
それを「スペシャルティ」と呼ぶ。
そしてこのスペシャルティ部門に、
対面コーナーを設ける。
壁面のセルフのチーズコーナーも、
木製什器を使ってクォリティ感を出す。
ワインの売場にはセラーがある。
最高額ワインは、134ドル。
ナパのオリン・スウィフト。
そんなに高くはないが、いいワインだ。
グロサリーのエンドも美しい。
美しい店であることが、
ホールフーズの特徴の一つだ。
精肉はLAND、シーフードはSEA。
その対面コーナー。
魚に氷をかけて、
鮮度感を出している。
エンドでは、陳列効率は悪いが、
視覚効果が高いプレゼンテーション。
乳製品売場はリーチインケースで、
壁面が斬新な売場だ。
冷蔵リーチインケースを多用する。
これもホールフーズの特徴だ。
熱効率が高くて、
地球温暖化への対応となる。
店舗の右手がベーカリーと惣菜、
そしてアレグロコーヒーのカウンター。
その隣にビールバーがあって、
グロサラントの展開をしている。
アマゾンに買収されてから、
1年半が経過して、
ずいぶん落ち着いてきた。
うれしい限りだ。
初日の店舗視察の最後は、
トレーダー・ジョー。
看板ワインのチャールズショーは、
2ドル49セントに値上げされていた。
それでもコストパフォーマンスは、
極めて高いワインだ。
それをもとの価格に戻した。
つまり1ドル99セント。
そこで第1エンドで大展開。
世界で最も売れているワインの一つ。
店舗入り口に花売場があって、
それから本格的な売場のトップには、
カットフルーツなど即食青果が並ぶ。
即食青果から即食レトルト、
そして精肉と続いて、
そのあとに生野菜などが登場する。
「この店は即食の小型店ですね」
㈱マルイチ社長の高木大さんが、
鋭くこの店のコンセプトを読み取った。
そしてそのコンセプトは、
日本の未来のスーパーマーケットに、
大きな示唆を与えてくれている。
青果の平台は斜めに設けられている。
これもトレーダー・ジョーの特徴。
デモンストレーションコーナーには、
必ず誰かが入って、試食提案をしている。
トレーダー・ジョーは相変わらず、
2020年となっても、
その素晴らしさが変わらない。
視察の途中で寄ったのが、
アップルパーク・ビジターセンター。
シリコンバレーには、
アップル社の本社がある。
それをアップルパークと呼ぶ。
本社内には一般人は入れないが、
その巨大な本社施設の前に、
見学者のための建物がある。
それがビジターセンター。
1階の左サイドには、
本社の模型が飾られている。
円形の宇宙船のような建物が、
アップル本社。
敷地の全体像がモデルとなっている。
アイパッド上でクリックすると、
本社の内側が見られるようになっている。
ビジターセンターの中央が、
アップルショップ。
Tシャツなどアップルグッズが展示され、
販売されている。
ビジターセンターの左サイドは、
カフェとなっている。
階段で屋上にのぼると、
光が降りそそぐデッキとなっている。
ウッディなイスとテーブルがあって、
この場所でくつろげる。
目の前に巨大なアップル本社が見える。
三層の、しかも最大のガラス張りの建物。
それをビジターセンターの屋上から眺める。
それだけで満足できる。
スティーヴ・ジョブズが、
コンセプトをつくったが、
ジョブズが亡くなってから完成した。
だからジョブズの魂や未来ビジョンが、
アップルパークに乗り移っている。
ジョブズのイノベーションの精神を、
受け継ぐ気構えで、全員写真。
空港からシリコンバレー。
そしてサンフランシスコのダウンタウンに入って、
ステーキディナー。
オムニホテルのボブズ。
ビールはアンカースティーム、
特製のパンとサラダ。
そしてスープ。
ステーキはプライムのリブアイ。
長いながい一日の疲れが、
吹っ飛んだ。
初日はウォルマートと、
ホールフーズ、トレーダー・ジョー。
これから研修が本格化する。
(つづきます)
〈結城義晴〉